読者増加数ランキングで1位を独占中のメルマガ『【最も早くオシャレになる方法】現役メンズバイヤーが伝える洋服の着こなし&コーディネート診断』発行者の現役ファッションバイヤー・MBさんと、無料メルマガ『マンガ家の生活』も好評なファミコン世代にはおなじみのマンガ家・鈴木みそ先生の「メルマガ発行者対談」、待望の後半戦をお届けします。前半戦は、MBさんがブログとメルマガをなぜ分けるのかを語り、元販売員としてどう生きていけばよいか、なぜメルマガ読者が増えるのかなどをレクチャーするなど「独壇場」に。しかし、今回はみそ先生も「いいこと思いついた!」「よし、これでいこう!」と、メルマガの新しい活用法について次々とアイデアが飛び出す展開に。爆笑とうなずきが交互に押し寄せる怒涛の後半戦、どうぞお楽しみください。
メルマガで5万字も書くのに「めんどくさい」!?
編集部(以下、編):ところでMBさん、このたびは単行本『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社刊)の出版おめでとうございます。
MB(以下、M):ありがとうございます。一応、現時点での集大成的な感じではあるんですけど。おしゃれの教科書みたいなイメージですね、なにをどうしたらいいか基本的なことが書いてあるという。いまマンガの監修(『服を着るならこんなふうに』)もやらせてもらってるんです。
鈴:はあ~、そうなんですか! マンガの監修もそうですけど、本って一番最初のキッカケですもんね。そこから定期読者になってもらうための導入のものですよね。
M:そうですね、本を出すことがゴールではなくて、本はファンになってもらうためのツールとしてとらえています。
鈴:そうですよね、はいはい。すると、本の最後には当然メルマガの会員になってもらうための宣伝文が入っているわけですか。この本だって、実際はタダで配ったっていいわけですよね、そういう意味では。
M:本当は、そうかもしれないですね。ただ、出版社から出ているのでそうもいかないんですが(笑)。僕もはじめはそうしようと思ったんですよ。電子書籍で自分で出版して。みそさんは、すでにやってらっしゃると思いますけど。ダイレクトパブリッシングでやろうかなと思ったんですが…めんどくさいですよね。
鈴:めんどくさいですね。でも、めんどくさいって言う人はMBさんみたいに毎号5万字もメルマガを書かないから(笑)。たぶん、めんどくさいものの方向が違うんですね。マンガ家って、すごくめんどくさいんですよ、1ページ描くのも。それを毎月描いてる人たちが、ちょっとネットをやっただけで「めんどくさい」って言うんですよ、あんなめんどくさい仕事してるのに(笑)。 このへんの、めんどくささの質の違いっておもしろいですよね。
M:確かにそうですよね。あれだけ細かい作業やって、「フォントの打ち替えがめんどくさい」っていうのはおかしいですよね(笑)。
鈴:そうなんですよ、ちょっと打てば描くよりラクですよ、全然。スキャンがめんどくさいとか、それ以外のことはしたくないとかね。で、みんなで飲み会にいくと、箸袋の裏側に絵を描いたりするわけですよ(笑)。
M:(爆笑)そっちのほうが、よっぽどめんどくさいですね。
鈴:わざわざメルマガを始めようって思う人はどういう人が多いのかなと考えたんですが、他人に売ることができるなにかをもっていて、1人でなんでもマルチにできるような人だと思うんですよ。悪い言葉で言えば、器用貧乏になる危険性がある(笑)。そこらへんのめんどくさい作業とかを、例えばまぐまぐさんとかにうまく橋渡ししてもらって、もっとたくさんの「変わった人たち」によるおもしろいメルマガを発行できるようになったらいいなって思うんです。
M:そうですね、そうだと思います。
鈴:そうなると僕らは、メルマガでは、よりとがった情報を与えなければいけないわけですよね。だから、中身はより「個別」になる。全体的な話だったらブログでいいし、ホームページで構わないわけですから。そうなると、今度はセルフパブリッシングの問題として、どのように宣伝していくかっていうことがありますよね。どのようなツールと、どこの媒体で、どのくらい宣伝すると人が集まってくるのかという問題。だから、本を出したりして、別のところで自分の名前や顔を出して、メルマガ購読につながるようにする必要があるわけですよね。
「誰でもおしゃれに見えるロジック」は確実に存在する
鈴:MBさんのブログ、いま月にどのくらいアクセスがあるんですか?
M:いま、月に100万PVくらいですね。
鈴:すげーーーー! ひ、100万ですかぁーーー。
M:でも、正直よくわからないんですよね。みそさんのサイトってどのくらいなんですか?
鈴:僕のところはねぇ、1日に1000ぐらいしかきてないから(笑)。
M:いちばんはじめにブログはじめた時って、半年で19記事しか書かなかったんですよ。でも、その時点で20万PVくらいあって。
鈴:結局、習慣性を持たせることしかないんですよね。
M:そうなんですよ。もしかすると、僕のような情報を発信する人が極端に少なくて、ものすごく「穴」になってたのかもしれません。
鈴:だから情報の価値が相対的にとても高い、と。
M:そうだと思います。それに、みんな「感覚的」に語るんですよね、「今年の流行は青が気分」とか。「気分」ってなんだよって話じゃないですか(笑)。それを、僕は「気分の理由」を説明するんですよ。80年代にこういう流れがあって、それがいま90年代になってその流れが終わって、ファッションというのはサイクルをもって繰り返すものだから、2年前にパリコレでこれが発表されたから今、日本国内におりてきて、これが出てくるから青が気分なんだよ、って。つまり、論理的に説明するというのが新しいところで、その情報の価値が相対的にとても高かったんだと思うんですよ。
鈴:うんうん。だからブログにもたくさん人がきてるし、それよりもっと細かい説明をメルマガでやるということですね。読者は男性よりも女性が多いんですよね?
M:いえ、男性のほうが多いです。
鈴:えええええーーーーーー。
M:99%男性です。
鈴:そうなんだ!
M:メンズのことしか語らないですから。
鈴:あ! だから「論理化」して、「言語化」することが大事なんですね!
M:そうです、男なんで。
鈴:男だから! なっるっほっど~! それは確かにいない、というか見たことないわ。
M:そこに注目した点は、みんな「おもしろい」と言ってくれますね。服を選ぶ理由を論理的に説明する、っていうのは、たぶん男性はみんな好きだと思います。普通、みんな逃げるじゃないですか、途中で。論理的に説明できなくて、モノのよさに逃げたりしますよね。この素材は、何とか地方で採れたからいいものなんだ、とか。でも、その地方で採れたからおしゃれだ、とは誰も言ってないっていう(笑)。その質じゃなくて、あくまで客観的な「見た目のおしゃれ」を論理的に語る人って、いままでいなかったんですよね。
鈴:確かに、それを語れる人っていないですよね。聞いてみたくなる…なるほどな~。これって、最終的には「自分とマンツーマンで何を着たらいいか直接語ってほしい」というところまでいきますよ。で、自分が服を着た写真を送って診断してもらう、とか。たとえば、自分に合う服を定期的に送ってくれるサービスとか、そういうこともできますよね。サイズさえ書いておけばいいわけだし。
M:そうです、それをできることが最終着地点ですね。
鈴:ですよね。それに10,000人ぐらいが申し込んできたら、10〜20人くらい雇ってまわせばいいわけですから。
M:でも、いろいろな会社が服を送るサービスだとかレンタルサービスだとか、同じようなことをやろうとしていますけど、なかなかうまくまわっていないんですよね……。
鈴:なぜうまくいかないんですかね!?
M:結局、みんな「人によって好みがある」とか思っているからじゃないですかね。画一的に送られてくるものばかりなので。
鈴:そっか~、なるほど。
M:みんな「正解がない」って思ってるんですよね、きっと。となりの人は似合っても、自分に似合うかどうかはわからないっていう世界が、アパレルってすごく広がっているんです。でも、それって誤解だと思うんですよ。
鈴:誤解なんですか!
M:はい、「誰でも似合うロジック」というのが存在しているんですよ。これをこうやって着れば、別にどんな顔していようが、どんな髪型していようが、似合う、似合わないじゃなくて「おしゃれに見える」というロジックは、確実に存在します。これとこれをこのぐらいのサイズで買えば大丈夫、というものは答えとしてありえるということです。
鈴:なるほど~。でも、アパレルとかって、全部「お似合いですよ」と言って買わせようとしてやがる! ということがずーっと不信感につながっていったわけですよね(爆笑)。
M:(爆笑)そういうことです。そうした現状に反旗をひるがえしたいと。
鈴:ふんふんふん。でも逆に、業界からめちゃめちゃ叩かれる危険性をもっていますよね。
M:普通はそうなんですけど、基本的にメルマガで悪口は書いていないんです。いまのところ、業界のみなさんは好意的ですね。逆に、悪口は言わずにロジックを書いて、そこで具体的な商品名を挙げているから宣伝にもなる。商品名を挙げたメーカーやブランドは大喜びしてくれます。
鈴:でも、同じようなことを始める同業者も出てきているんじゃないですか?
M:出てきましたね。
鈴:ちょっと違うポジションとかですか? たとえば、男性の服じゃないとか…。
M:いやもう、丸パクリみたいなのがやっぱり…。
鈴:パクリ屋! やっぱりきましたか!
(一同爆笑)
M:出てきてはいるんですけど、やっぱり未完成なんですよね。論理に落とし込めていないというか。どこか感覚で語っちゃっている。アパレルの人って、すごく感覚人間なので……。
鈴:もともと感覚の人がきてるからね。マンガの世界も、ものすごく感覚的なんですよね。でも、論理的じゃなければネームなんて切れないわけで。その論理のところを編集者がフォローしているっていうマンガ家は案外多いんです。しゃべるマンガ家が少ないのは、そのせいだろうと思われているんですよ。
M:みそさんはすっごいしゃべりますけど。
鈴:僕、しゃべるんですよ。
M:はははは!
鈴:そ、僕もともと編集あがりなんで。
M:あ、そうなんですか!
鈴:ええ。いちばん最初はいろんな人に発注して、原稿書いて、ページ作って、ということをやっていたんです。その経験があったから、というところがありますね。
M:そうなんですね~。ほんと、感覚人間でいまだにパソコンもいじれない人って結構多いんですよ、アパレルの世界は。だから、論理的に話もできないし。でも感覚だけで文字を書いても伝わりにくいじゃないですか。直接会ってしゃべるんだったら違いますけど。
メルマガで「マンガの描き方」を伝授?
編:MBさんのメルマガは、いつもQ&Aコーナーに質問がギッシリきていますけど、これだけ見ても中身が詰まっている感じですよね。
鈴:いや、すっごいな~。このメルマガ、実際5万字も書くのに1日ぐらいはかかりますか?
M:だいたい2日間ですかね。
鈴:え、2日間も!?
M:はい、丸2日あれば書き終えるくらいですねー。
鈴:なるほど~。でも、もうこれだけで食えるわけですから、そういう意味では2日間かかってもいいのか。残った時間がほかのことに使えますよね。
M:そうですね。あと、どんなに会員が増えても2日間という時間は変わりませんから。
鈴:あ、そうですよね! 逆に購読者が少ないほどつらくなるわけですよね。どこからラクになるラインなんですか? 1000人超えたあたり? 500人?
(一同爆笑)
M:気分的には500人くらいじゃないですか(爆笑)。
鈴:500人ですか、いい話聞いたな~!
M:はじめは、やっぱりツラかったです。軌道にのるまで。60人しか読んでないのに書くのはツライな〜と。
鈴:ですよね! 僕が最初に「有料メルマガはツライな~」って思うのは、読者10人でもすごい大変な思いして書いて、で500円じゃなぁって(笑)。
M:そうなんです、だからはじめはQ&Aどころか、きた質問は100%返します、というのをやっていたんですよ。そうしたら、初期からの読者がたくさん残ってくださってます。「昔は個別で返信してましたよね~」「MBさんが有名になっていくのが、すごく切ないです」みたいな感じの人が増えてきました。その苦労もムダじゃなかったかなーと、いまでは思うんですけど。はじめはつらいですね~。
鈴:僕がメルマガをやる価値について考えたとき、マンガ家が何について深く掘り下げて話せるかといえば、マンガなんですよね。僕自身が何を食べたとか、そういうのはあんまり価値がない(笑)。でも、「この本を読んでおもしろかった」というのは結構、引きがあったんですよ。もっとやってくれという声がありました。マンガ家がすすめるマンガというのは、ちょと価値があるのかなと。
編:「マンガ家の発想源」というか、そういうところが気になるんですよね。
鈴:あー、やっぱり発想ですかね。
M:僕はリターンが明確だとすごくいいなーと思っていて。たとえば、僕のメルマガとかコンテンツだと「読めばおしゃれになれる」っていうところだと思うんです。株のメルマガだったら「読めば金が儲かる」みたいな。読めばなにができる、とか、読めばどういうリターンがあるのか、というところが明確だとすごく動きやすいのかなと思いますね。たとえば、技術をもっている方であれば、マンガの描き方とかになるんですかね?
鈴:いま、プロと呼ばれているマンガ家が6000人くらいで、プロに準ずるアマチュアが3万人くらい。さらに、ちょっとマンガ家になってみたいなという人が20万人くらいいるだろうと言われてます。その層に対して、アプリの使い方や「こういう風に描くと絵がうまくなるよ」的なことをやる、これはありですよね。うん、ということは有料化するためには…あ、なぜか有料化を考える……。
(一同爆笑)
鈴:そうか、「こうするとマンガがうまくなる」だ! 「人気マンガ家になるための…」あ、これは嘘かな~。
(一同爆笑)
鈴:人気マンガ家になってねーしなオレ、みたいな。
M、編:いやいやいやいや。
編:マンガを電子書籍で出す、というだけは「プロが電子化するためのノウハウ」になってしまうからシブイんですよね。えらく技術的な話になってしまう。
M:そうですね、マンガの描き方とか、やっぱりノウハウ系がいちばんわかりやすいですよね~。
編:アニメーション監督の方がアニメの作り方という、gifアニメを入れたメルマガを配信しているんですけど。いまは連載が2年以上止まってるのに、バックナンバーが毎月ずっと売れ続けているんです。
鈴、M:おおおおーすごい~!
鈴:バックナンバーを1本ずつ売るって方法もあるんですか!
編:そうですね、月間単位で売っています。
鈴:なるほど、なるほど。売り方が単行本みたいですね。
M:これが、なかなかバカにならないんですよね。
鈴:そうか、月ごとに売るパターンだけじゃなくて、完成コンテンツを作って本を購入してもらうように売ることもできるってことですね。それも、昔からやってらっしゃるんですよね?
編:バックナンバー自体は売ってますね。連載をやめてもずっと売り続けてます。
鈴:は~、なるほど。その場合、たとえば5ヶ月分みたいな買い方をするんですか?
編:はい。MBさんのメルマガも、今月から読み始めた人が、第一巻:14年1月からバーーッと一気に買うイメージですね。
鈴:いま買ったら昔のバックナンバーが全部タダで読めるんじゃなくて? 昔のコンテンツも有料でそれぞれ売っているんですか!?
M:はい、売っているんです。
鈴:ひゃ~、それはデカい!
(一同爆笑)
鈴:そうだったのか~、それだ! やろう!
(一同爆笑)
編:イラストが書けてもネームはムリとか、⚪︎⚪︎ができないとか。結構、マンガ家の卵からそういう話をよく聞きますね。たとえば月ごとに、今月は集中で「ネーム月間」とか、「コマ割りの極意はこれだ!」とか。意外に、ノウハウを伝授するというのはないかもしれないですね。いちおうマンガの描き方のメルマガはあるんですけど、先ほどおっしゃっていたような編集者的視点のものってないんですよねぇ。
M:買ったぶん、Q&Aもすごく需要があると思いますね。
鈴:この間、新人でプロデビュー1回くらいの子が作ってきた60ページくらいのマンガが持ち込まれたんですよ。「先生、批評してください!」って。で、読んでみて、ココとココが良くないよとかやっていたんですけど、これって「コンテンツになるな」ってちょっと思ったんですよ。
M:あ、まさにそれですよね。
鈴:「君が考えたアイデアは、これはアイデアと呼ばないんだ!」とか「独自性がないんだよ」とか答えてね。そして、たとえばこういう風にしたら?っていうのを5パターンぐらいバババーーって、でっちあげるんです、その場で。そうすると、だいたい向こうが「おおおお!」ってなる。
M:あー、なるほど~。すごくいいと思います。
鈴:てことは、添削みたいなものをやることによって、マンガがもっとおもしろくなる方法なんだ。
M:そうですね、もっと言うとブログでマンガの描き方みたいなものを書いて、添削は有料メルマガのQ&Aで……。
鈴:そうだ、 それだ! さすが!
M:ある程度の金額を払うサロンになると、みんなでマンガを描いたりとか。マンガ塾みたいになる(笑)。
鈴:ああ、ものすごく明確だ、これは。そこに行き着くのかぁ。ものすごく参考になりました。
優良なユーザーを集めるには、やっぱりメルマガ
鈴:メルマガも有料と無料を同時にやっている人もいるんですよね?
編:はい、結構いらっしゃいます。パターンが幾つかありまして、無料の方ではさわりだけ、大事なところは有料で、という方もいらっしゃいます。あとは、政治家の方だと、書いてある内容は無料も有料も一緒、ただし応援したいという方は有料版を買ってください、というパターンもあります。
鈴:あー、なるほど。
編:みそさんもマンガの中で触れていたクラウドファンディングのようなものですね。個人献金よりも簡単ですから。また、無料版では日常を綴って、そこから出てくる記事は有料版で、ということもあります。たとえば、こういう人と会ってこういう話をしたんだ、と無料版では伝えて、話の中身は有料版で、というやり方です。無料版はまさに玄関のように間口を広く空けておいて、興味のある人を自動ドアでどんどん入れていって、その中から「ここから先は100円玉を入れたら中に入れますよ」という感じです。
鈴:無料だと、ものすごくたくさんの読者を集めてる人もいますよね。どれくらいの数がいるものなんですか。
編:一番多い方だと20万人くらいです。
鈴:20万人! なるほどねー。
M:大変な数ですよね。それだけで広告価値がある。
編:数万人くらいだと結構いらっしゃいますね。
鈴:そうですよね。twitterだと10万人、100万人とフォロワーがいる人もいますが、メルマガだとそこまで増えないんですよね。より「濃い」からですかね。
編:twitterの場合は放置できますが、メルマガは届いたものを放置できませんからね。なので、中身がよくないメルマガはどんどん減っていくのが普通です。その代わり、残ったものは長年読み続けられているものも多いです。例えば読者数の少ない発行者さんでも、10年くらいずっと書き続けられていて、ちょっと入院されて1、2週間発行が出来なかったら、大丈夫ですか? と問い合わせが来たりして。今週来なかったけれど? と。この辺もラジオパーソナリティと一緒でメルマガを中心に緩やかなコミュニティが生まれるような感覚があります。
鈴:なるほどー。なんでもない、その辺にいそうな方が発行されているメルマガもあるんですか?
編:結構いらっしゃいますね。
鈴:それはやっぱり、とても身近な内容で、読者の数もそんなに集まっていないという感じなんですか?
編:読者がさほど集まっていないメルマガもあります。そういうところに光を当てて、実は面白いコンテンツがこんなに沢山あるんだよ、ということをやっていくために、まぐまぐニュース!などのウェブメディアをやり始めたところなんです。
鈴:そうですよね。もっと拾い上げて欲しいですよね。コンテンツはいっぱいある筈なんですよね、隠れたコンテンツが。
編:全部は見きれないというのもありますね。それと、ウェブに載せても大丈夫な内容かどうかという判断のところですね。
鈴:そうか。基本的に書く内容は発行者に任されているから。
編:それをウェブ転載した場合には、こちらにも責任が出てきますから。ちょっと危ないかなっていう内容のものも中にはありますから。
鈴:そうかそうか、なるほどー。下手をするとコピペで運用している人もいるかもしれない。
M:でもその逆も往々にしてありますよね。有料メルマガで発信していたものをコピペしてブログに貼られてしまったり。
鈴:ああ、それ困りますよね。
M:見つけようがないんですよね。たまたま何個か見つけたものはしらみ潰しにやるんですが、それは本当に困りますね。
鈴:ネタ元を書いてくれればいいんですけどね。
M:そうですよね。元を書いてくれれば何の文句もないんですけどね。どうぞどうぞって。
(一同爆笑)
鈴:電子はコピーして広められますからね。
M:それはデメリットとしてありますね。
鈴:僕は電子で本を出す時にコピーガードを付けないようにしているんです。多少、拡散されるとか、知り合いに回すのはしょうがないし、立ち読みこそ、そうやって広がっていくものだから、コピーに関してはあまりガチガチ言わないように考えているんですけどね。
編:1巻目だけ無料にしたり値段を落としたりしていますよね?
鈴:ああ、そうです。1巻目だけ値段を落として、その次の週には無料もやってみて。ただ案外、無料でそんなに伸びるわけではないんですよね。
M:そう書かれてましたよね。
編:タイムラグがあるんですかね。無料だからとりあえずとっとく感じで。
鈴:100円で売った時の後ろの伸び方に比べて、タダって、ほとんど動かないんです。1%もいかないんですよね。タダで手に入れたものってほとんど読んでないんですよ。で、ああこんなのもあったんだって。だから強烈な積ん読になっているんですね。そこをどうやって掘り返していくかっていう。値段と本の連携っていうのは面白いデータなんですけれど、これは販売する面白さだから、決して読者が増えてるわけじゃないんですよね。
編:個人がネットでやっていく場合、宣伝が一番難しいと思います。お二方は強い宣伝ツールをお持ちなわけですが。
M:でも絶対、埋もれますよね、ネットって。書店は平積みで並べられるけれど、ネットはココにしかない、っていうのはそうだと思うんです。
鈴:書店は、「本を買いに行くぞ」という目的を持った人たちが集まってくるから。ユーザーが能動的じゃないですか。コレいいものですからどうぞ、って言ってもネットではなかなか買ってくれない。
M:そうなんですよね。さっきの話に戻りますけど、やっぱり能動的な動きをされる方を集める方法というものが必要なんじゃないかなって。
鈴:そこです、そこです。優良なユーザーってことですよね。単にお金を払うだけではなくて、とても物事に興味があって、そこに価値を感じているからお金を払ってくれる。そういう人たちとともに共同体として情報を共有していくことが大事ですよね。
M:本当にその通りです。どちらかというと、タダで釣って「パクッ」てくる人は、やっぱりそれでしかないというか。
鈴:そうそうそうそう(笑)。
M:大事な読者さんというコミュニティを如何に広げるか。優良なユーザーをいかにそこへ呼んでいくか、というやり取りの方が建設的のように感じるんですよね。
鈴:そうだ、そうだ。そこですよ。そのために、メルマガも優良なコンテンツを頑張って作って、そこに価値を感じる人を集めていく。そして、その方法を上手に見せていく。これですね。そのツールとして、本当にメルマガは有効ですね。やっぱりブログ、メルマガ、それぞれ違いますね。twitterも違う。
M:僕もなんかいろいろなことを考えてやってきたんですけれど、タダでやるとなると書くときに自分にも甘えが出てしまう。やっぱり有料で、本当にいいものを書かないとダメなんだと。
鈴:ああそうかあ。そうですよねえ。
M:それを考えるとプライドも出てくるんですよね。絶対にこれは500円以上の価値があるだろ、って。ふざけんなよ! って(笑)。
編:そうですよね。毎週5万字ですもんね。
M:そうなんですよ。だから今週つまらなかったみたいなことはあんまり言われないんですけれど、言われたら、別に止めりゃいいじゃんって。絶対5000円以上の価値あるよって。そういうものを作って広めるのが、やっぱり一番真っ当なんだろうなっていうふうに思いますね。
鈴:真っ当ですね。
M:真っ当ですよね。
鈴:よし、今日は「真っ当」のコピーで行こう。
(一同爆笑)
新しいメルマガの方向性が見えてきた
編:みそさんの無料メルマガ『マンガ家の生活』は、この先どこへ向かっていくのか、創刊号から何号か読んだけでは全く見えない、分からないですが、今後の展開を教えてください。
鈴:そう、僕もブログとメルマガの違いって上手く切り分けられていなかったから。でも今日、ちょっとヒントがありましたね。個人に届いていくものだから、もっと個人的な話だったり、専門的な話でいいんだなって思いました。この先どこに向かうかっていうと、元々は「タダだったら読もう」と思って僕個人に興味を持って欲しいということだったんですよ。だから自分自身のパブリッシングとして、こんなおっさんがこんなふうに生きてますよ。この文章面白いからマンガも読んでみよう、というところに行ってくれたらいいなくらいに思っていたんです。でも、それより「もっともっと深いところ」にシフトしたほうがいいのかもしれないし、自分の得意分野にグッと引っ張ってきて、そこから有料会員のために、より価値の高いコンテンツを作ったほうがいいんだなって思いましたね。
編:そうですね。メディアとしての、ファースト、ミドル、エンドというものを切り分けることが重要になってくると思います。twitterで、今週こんなマンガを読みました、なんてつぶやいて、無料メルマガにその内容を書いて、そこで登録してもらって囲ってしまう。さらに有料メルマガではマンガの書き方講座や添削もやってますよ、ということになると、一旦広げたものがググッと狭くなって、そこにお金を払う人がいます。そういったものが外にも見えたら面白くてわくわくするものになるんじゃないかと。
M:実は皆さんがやられていることって逆なんじゃないかと思うんですよ。皆さん、ブログに日常のことを書かれていますよね。でも、日常では人を集めることなんてできないし、日常で人を集めても濃いファンなんて絶対に集まらない。日常は、濃いファンを集めて関心が集まったところで書くべきこと。ブログの使い方をみんな根本的に間違えてるなってことはよく思いますね。やっぱりブログはノウハウなんかの、リターンが確実に見えるところで、メリットを感じるっていうところを書くと濃いファンがそこに向かって集まってくる。それを、有料メルマガに移して、もっと濃い情報を与えていくとどんどん宗教化していって、今度は、普通の人が今ブログでやっているような「ラーメン食べました」みたいな情報が、ものすごく価値を持ってくるわけです。
編:「あの人が、このラーメン食べた」と。
M:そうです。そうです。だからブログに書くことが逆のような気がしているんですよね。
鈴:うんうん。この人のことなら何でも知りたいという。
M:そうなんですよ。でもブログってなんとなく皆さん日記って思われてるから、日記を書いちゃうんですけど、日記では人なんか集まるわけないんだけど、芸能人とかがみんな日記を書いてるから、それを真似ちゃう。
鈴:うんうん。それでいうと、きっと個人によって山の大きさが違うわけですよね。裾野が広ければそれだけ大きな山になって。ちっちゃくてもみんなそれぞれ山を持っている可能性があるわけですよね。すると、ノウハウは似てますよね。
M:似てます。僕は最終的にその山が出来たら、今度は山の作り方みたいなのもやってみようかと思ったりとか。今、メルマガの一部分でビジネスマインドみたいなものもやっているんですけど、ノマドワーク的に個人でも稼げるから、この三角形を一緒に作りましょう、とか。そういうことをやれたら、三角形を自分でどれだけいっぱい持てるかということをやっても面白いなって思ってます。
鈴:面白いですね。山の作り方、この形自体がHow toになるのかなっていう感じですよね。
M:なるかもしれませんね。たぶん大手企業はなだらかなものだし、逆に尖った情報であればあるほど狭くはなると思います。
鈴:裾野が狭いから、どうしても角度を高くせざるをえないんですよね。
M:そうですね。
鈴:そうかそうか。
編:でも、お二人ともメルマガって古いコンテンツだと思いませんでしたか? どうしてメルマガを始められたのか、そのキッカケを教えてください。
鈴:先日、編集者の方と対談した時に「一番強いのはメルマガとLINEです」と言われました。最も読者にピンポイントで届くから。より広く伝える方法をいつも考えているけれども、絶対持たなきゃいけない媒体はメルマガですよと。たくさんの媒体で作家の作品情報を発信するのが編集者の仕事だから、最も最適化したものを出したいので、我々編集者は6種類の外部のものを使っている、それがFacebookとtwitter、インスタグラム、LINE、ブログ、そしてメルマガである、と。それぞれの媒体で意味合いが違うけれど、メルマガはダイレクトに届くし、販売日や発売日にも必ず来る、最も強い宣伝媒体になるんだからやらない手はない、って。じゃあ明日からやりますよって始めたんです。メルマガの最初の号にも書いたんですけど、今まではメールで届くのがウザくて嫌いだったんですよね。だから、自分が出すときには、何時に届いたら怒られないのかなと考えましたよ。夜中に来たら怒っちゃうし(笑)。
編:自分からオプトインしたものは、そんなに怒らないですよ(笑)。そもそも読みたくて購読してますから。ああ来た来た!という喜びの方が大きいんじゃないですかね。
鈴:そうそう。メルマガは、直接届く、そして濃い。濃い代わりに「ウザい」という危険性を持っている(笑)。そこでいうと、昔から僕は媒体とのあっさりした関係が好きだったんで、欲しいときに取ればいいし、見たいときに見ればいいし、読み飛ばしてしまったらそのまま流れていくような、そういう媒体が好きなんですよ。だからtwitterは自分の中では好みだった。これはもう好みとしか言いようがなくて。
編:いろんな媒体が出てきましたからね、昔と違って。その中で、一つだけ確実に情報を得たいときには、メールが一番いいんじゃないでしょうか。
M:そうですね、それはそうだと思います。
鈴:メルマガは忘れないですからね。ブログだと、行かなくなっちゃうんですよね。何度も来ていた人も、いつの間にかマシントレーニングと一緒で「行かねえわ!」って(笑)。一回離れちゃうと行きづらくなっちゃうから、メルマガは定期的に届けちゃうところがいいのかもしれないなって。でもメルマガって毎日来たらどうなんですかね。毎日あったほうがいいんですか。
編:ものによると思いますね。それこそ経済情報とかだったら毎日来てくれないと困っちゃいますよね、株の情報とか。
鈴:うんうん。それはコンテンツによって決まるんですね。
編:コンテンツがホントに宗教的なものだったら毎日来たほうがいいですし。
鈴:ということは、アイドルの場合は毎日のほうがいいですね。
編:オススメとしては、定期配信にプラスして号外を打つ、というのが結構印象的だったりするんですよ。毎週何曜日に出しますよ、といっておいて、何か嬉しいこととか出来事があった時に、今ここにいます、みたいな号外をポンポンポンと出してくると、これってメルマガ読んでる人にしか届いてないんだって。そういう特別感は出てきますね。
M:ハッとしますね。
鈴:面白いなあ。これは完全にメルマガ変わるなあ、次回から。
(一同爆笑)
M:楽しみだなあ。
編:どうでしたか今回の対談は。
M:いやあ、もうなんか、タイムマシンで小学生の時の自分に自慢したいくらいです。すごく嬉しかったです、ありがとうございます!
鈴:こちらこそ、ありがとうございます。もう僕はあんまりファッションに興味がなくなってしまったんですけど(笑)、論理的に説明しているところとか、その辺がちょっと響いたので、何本か有料で買って読んでみますよ。
M:もう、ブログだけでもいいので、読んでみて下さい。
鈴:そうですか、はい(笑)。
M:初月無料なので。初月の内に解約いただければお金もかからないですし。動画もやってるんですけどね、ニコニコ動画で。そちらも、ぼちぼち会員が集まりつつあります。「ファッションなので画面で見ないと」という部分を補足する意味合いですね。
編:本日はどうもありがとうございました。
鈴:いやあ、ありがとうございました。
M:ありがとうございます。
メルマガの新しい可能性を示してくださったMBさん、そして新しいメルマガの使い方を思いつき始終興奮気味だった鈴木みそ先生。「古くて新しい」メルマガというコンテンツの魅力と使い道について、前編後編に分けてたっぷりとお話しいただきました。お二人のメルマガに興味を持たれた方は、一度ご登録してみてはいかがでしょうか、MBさんのメルマガは初月無料、みそ先生のメルマガは無料です。
構成:まぐまぐニュース!編集部
鈴木みそさんメルマガ『マンガ家の生活』
マンガ家鈴木みその日常を赤裸々に描いた日記。を中心に、面白いマンガ、本、映画、食べ物などの話題からマンガの描き方まで。マンガを描くことに興味ある人からどっぷりファンまで。ちょっと覗いていきませんこと?
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