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韓国に「第2の国辱」を招いた金泳三を、国家葬に美化した思惑

11月22日に亡くなった金泳三元大統領を国家葬とする方針を固めた韓国。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』には、金泳三氏を英雄視するその裏に朴槿恵政権の「いくつかの思惑」があると記されています。

【韓国】反日大統領だった金泳三氏を国家葬にした朴槿恵大統領の思惑

韓日関係に暗雲? 産経判決と自民の歴史検証組織発足控え

今月の26日に予定されていた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長判決公判延期され、来月の17日に行われることになりました。また、今月29日には安倍自民党総裁直属の組織として、日清戦争以降の歴史を検証する「歴史を学び未来を考える本部」が発足されることが決まりました。

この2つが日韓関係への懸念材料になる可能性を先の朝鮮日報は報じていますが、とくに後者については、すでに東京新聞などは、「歴史修正」に繋がるといった記事を掲載して、牽制しています。

自民が歴史検証組織 東京裁判など「修正主義」指摘も

「歴史を学び未来を考える本部」の設置が決まったのが11月20日、産経新聞の判決公判の延期が決まったのが23日ですから、うがった見方をすれば、日本の出方韓国国内の世論の動向を見てから、判決を決めようという腹づもりなのかもしれません。

産経新聞の元ソウル支局長が起訴されたのは、セウォル号事件の際に朴槿恵大統領に「空白の7時間」があり、その間に密接な関係にある男性と会っていたのではないかという噂を報じたという点でした。もっともその噂は朝鮮日報が報じており、産経新聞の支局長はその記事を引用して報じたにすぎません。

にもかかわらず、もともとの朝鮮日報は何ら起訴されることはなく、産経新聞だけが標的になることが、恣意的な日本攻撃なのではないかという批判がありました。また、報道の自由に反することだということで、国際的にも批判を浴びていました。

こうした背景があるため、韓国の司法も、国内外のさまざまな評価を気にして、判決を延期したのでしょう。

聯合ニュースによると、地裁関係者は「十分な時間の余裕をもって、証拠関係と法理上の争点を慎重に検討してから、結論を導き出すために延期した。記録や法理の検討、外国の判例などを深く検討するのに、時間がさらに必要だ」と述べたそうですが、普通、先進国の判例を参考にすれば、無罪になることは間違いありません。もっとも、中国や独裁国家の判例を参考にすれば、有罪にできるのかもしれませんが。

急遽判決公判延期のわけは…「外国の判例検討に時間必要」 日韓関係へ「潜在的影響力大きく」

もしも外国の言論に対して、韓国の司法が「有罪」としたなら、今後の韓国は近代国家としての資質を問われ、さまざまな問題に直面することになるでしょう。この裁判は、産経新聞社の問題というよりも、韓国の国家としてのあり方の問題なのです。韓国の経済は中国に押さえられ、政治と軍事は北朝鮮に脅かされ、日本、さらには世界まで敵に回したら、韓国はもう歴史の終わりでしょう。

そんな折に金泳三元大統領が亡くなりました。金泳三は初の文民政権として韓国の民主化を進めたという功績がある一方で、政権当時の1997年、アジア通貨危機によって韓国は国家破産し、IMFの管理下に入るという「第2の国辱」を招いた張本人でもあります。

加えて、1993年には300人近い死者・不明者を出した西海フェリー沈没事故、1994年には32人が死亡した聖水大橋の崩落事故、1995年には500以上の死者を出したビル崩壊事故である三豊百貨店事故など、大事故が次々と起こったのも金泳三政権です。そのため、これまで韓国国内では金泳三氏の人気はあまり高くありませんでした。

一方で金泳三氏は、こうした経済崩壊や国内の混乱に対して、反日による政権の支持率浮揚を初めて行った韓国大統領でもあります。1995年には旧朝鮮省督府の建物を日本時代の負の遺物、つまり「日帝残滓」だということで爆破解体し、竹島に埠頭を建設し、さらに中国に反日教育を拡散した江沢民と手を組んで、「日本の礼儀作法を必ず直してやる」と息巻き、国内での人気を集めました。

反日愛国に精出す 竹島に埠頭“独島愛国主義”のスタート切る

また、韓国国内に残っていた日本統治時代の測量用の杭を、「朝鮮半島を衰退させるために風水上の要所に杭を打った」という妄説を信じてその撤去を命じたのも、この政権でした。

加えて、河野談話が発表されたのも、金泳三政権時代です。河野談話の文面自体、金泳三政権の関与が発覚しています。発表前に、日韓で文面のすり合わせがあったことが、安倍政権の検討チームの報告書で明らかになっています。

日韓の綿密なすり合わせ明記 検討チーム報告書

もっとも、金泳三元大統領も、日韓基本条約ですべては決着済みであるので、賠償を取れないことはわかっていたのでしょう。あるいは、慰安婦問題そのものが虚構であることを知っていて、さすがにそこまで要求するのは無理だと理解していたとも考えられますが、金泳三氏は「日本に賠償は求めない」と発言しています(朝日新聞1993年3月18日付)。それを信じた日本は、倍賞を請求されないらならばということで、それまでの立場から踏み込んで、「強制性」があったかのような河野談話が発表されてしまったのです。

日本のお人好しぶりがよくわかりますが、結局、それによって現在まで続く禍根を残してしまったわけです。

韓国の歴代大統領を見てみると、引退後はたいてい「不幸」な境遇に陥っています。初代大統領の李承晩は国を追われ、次の朴正熙は凶弾に倒れ、全斗煥と盧泰愚は有罪判決で禁錮刑、盧武鉉に至っては自殺しています。

大統領退任後に天寿を全うできたのは、いまのところ金大中と、国内外で人気がもっとも低かった金泳三くらいしかいません。金泳三は、退任後に台湾の李登輝総統に会いたいと申し込みましたが、きっぱりと断られました。

今回、朴槿恵政権は金泳三氏を国として最高レベルの国家葬にすることを決定しました。ちなみにこれまで国葬になったのは朴正熙、金大中の2人しかいません。盧武鉉は一段下の国民葬でした。

11月14日にソウルで大規模な反政府デモが起こり、朴槿恵政権はこれを力で弾圧しましたが、現政権に対する韓国国民の不満はますます高まっています。

そこで、金泳三氏を英雄視し、その業績を美化することで、自分たちの反日による支持率アップを正当化してくる可能性があります。すでに朝鮮日報などは、「日本を痛罵した直言居士」ということで、評価の見直しを奨励するかのような記事を載せています。

「日本の礼儀作法を直してやる」 金泳三元大統領、数々の直言が話題に

また、「第3の国辱」となる国家破綻が迫っている朴槿恵大統領としては、かつて国家破綻を招き、激しい反日を展開した金泳三氏を国葬にすることで前例を作り、自分の行く末を守るという計算もあるのかもしれません。

それはともかく、金泳三氏の業績を鑑にするならば、「日本に賠償は求めない」という言葉をきちんと継承してほしいものです。

 

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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