国際金融資本が中国を見捨てる日
というわけで、私は、「国際金融資本は中国が覇権国家になるのを容認している」という信仰をもっていません。
彼らが中国を育てたのは、「儲けるため」。
中国で儲けられなくなれば、当然「中国を見捨てる」と思います。
そして、実際欧米の「国際金融資本」は中国を見捨てつつあります。
夕刊フジ11月25日付
「中国売り」「韓国売り」が止まらない 欧米大手金融が撤退の動きを急加速
を見てみましょう。
かつては高い成長率を背景に、欧米の金融機関や投資家が積極的な投資を行っていた中国だが、経済の失速もあって、いまやマネーは逆流している。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米シティグループが、広東省の地方銀行、広発銀行の株式20%の売却に向けて協議していると報じた。シティは2006年に企業連合に加わり広発銀行を買収、当時の取得額は約6億2000万ドル(約760億円)だったが、シティが目指す売却額は明らかになっていない。
シティが、中国地銀の株を売却するそうです。
シティだけじゃないですよ。
米経済メディアのブルームバーグによると、ドイツ銀行も北京にある商業銀行、華夏銀行の持ち分35億ドル(約4300億円)を売却する可能性を示唆しており、欧米の主要金融機関で、中国の大手銀行に大きな持ち分を持つのは、交通銀行に出資する英HSBCホールディングスだけになる。(同上)
ドイツ銀行も売却するそうです。
そういえば、冷戦終結後中国に取り込まれたルービンさん(前述)は、ゴールドマンサックスの元会長です。
中国の発展に大きく貢献したゴールドマンは、どうなのでしょうか?
シティやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス・グループなどが2012年の初め以降、中国の銀行株を少なくとも140億ドル(約1兆7000億円)相当を売却したという。
投資先としての中国の落日ぶりを象徴するのが、ブラジル、ロシア、インドを含む4カ国に投資する「BRICs(ブリックス)ファンド」をゴールドマンが閉鎖したことだ。
ゴールドマンはBRICsの「名付け親」として新興国投資ブームを作ったが、中国が人民元を突如切り下げた時期にあたる8月12、13日の会合で閉鎖を決め、10月に別の新興国向けファンドと統合した。
「予見できる将来に資産の急増が見込めない」と閉鎖理由を説明している。(同上)
「ゴールドマン」は、「儲かるから中国を助け」「儲からなくなったから中国を見捨てた」「国際金融資本」と中国の真実の関係も、同じでしょう。
「国際金融資本」は、「儲かる」から中国を育て、「儲からなくなった」から中国を見捨てている。
起こっている事実を完全に無視して、「国際金融資本と中国は『愛』で結ばれた『オシドリ夫婦の』ようだ」と信じつづけるのはやめましょう。
最近、「日本の大手企業が続々と中国から逃げている」という話をしました。
日本の大企業だけではありません。
欧米の大手金融機関も、続々と逃げ出している。
中国はまさに、「沈みゆくタイタニック号」といえるでしょう。
皆さんも是非お気をつけください。
image by: Shutterstock
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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