人民元の主要通貨入りで「パンドラの箱」を開いた中国

 

人民元を主要通貨として歓迎しているのは欧州各国であり、日米は相変わらず難色を示していました。これにより、日本経済への直接的な影響はないとされていますが、ドル、ユーロに次ぐ第3位の通貨の地位を得ることで、日本円の国際的存在感が低下するのは避けられないようです。

人民元主要通貨入り:IMF、お墨付き 欧州が後押し

このところ中国はイギリスに対して多額の経済協力をもちかけるなど、欧州の取り込みに必死になっています。すっかり力を失った欧州の弱みに付け込んでAIIB設立に加担させ、さらにはIMFの主要通貨に承認させることに成功した中国ですが、その国力は宣伝しているほどではありません。

中国の外貨準備高は3.8兆ドルとされていますが、外国人のみならず、中国人もその数字を信じていません。地下銀行などを通じて、共産党の腐敗官僚が膨大な資金を海外に逃避させていることは、よく知られているとおりです。すでにここ10年間で3兆ドル以上の資金が逃避したと目されています。そして、外貨準備高の3分の2はすでに消失している、あるいは最初から水増しされていたとも言われています。

加えて中国はやたらと他国に金を出すものの、少なくとも2.5兆ドルの純対外債務国であり、隠し債務も含めるとその額は2,000兆~3,000兆円にも達しているとされています。

今回、欧米が人民元の主要通貨入りに対して大きな反対がなかったのは、こうした対外債務を踏み倒されないように、中国の管理通貨制度全般にメスを入れようという狙いもあったと推測されているのです。

だいたい、中国そのものが、リスクの塊のような国です。

ご存知のように、北京の大気汚染は改善されるどころか悪くなる一方です。11月30日には、ついに中国政府が定める大気汚染数値の上限を超えたことで警報が発令されました。PM2.5の値は一時、1立方メートルあたり898マイクログラムと、日本の環境基準の25倍を記録する地点もあったようです。

北京の大気汚染「上限」超え 深刻な状況に

環境汚染が世界で話題になり、先進国入りしたいなら大気汚染を改善しなければならないといった風潮にあった頃、中国政府は大金を投じて環境汚染対策に乗り出すようなことを言っていたはずです。しかし、それから数年たっても何の効果もなさないばかりか、何の対策も取られていません。

IMFはさらなる通貨制度改革を中国に求めるとしていますが、すでに主要通貨入りを果たした中国が履行するとは限りません。

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