【書評】「もしドラ」の続編がすごい。野球部なのに選手が0人!?

 

イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである

◆七つの機会

第一 予期せぬことの生起

第二 ギャップの存在

第三 ニーズの存在

第四 産業構造の変化

第五 人口構造の変化

第六 認識の変化

第七 新しい知識の出現

予期せぬ成功ほど、イノベーションの機会となるものはない。これほどリスクが小さく苦労の少ないイノベーションはない。しかるに予期せぬ成功はほとんど無視される。困ったことには存在さえ否定される

イノベーションの母としてのニーズは、限定されたニーズである。漠然とした一般的なニーズではない。具体的でなければならない。それは、予期せぬ成功や失敗、ギャップと同じように企業や産業の内部に存在する

コリンズは、生前のドラッカーとも親交の深かった経営学者だ。いうならば「ドラッカーの後継者」のような人物である。その彼が、この本の中で「偉大な企業は、まず人を集めた上で事業を決める」との調査結果を発表していた

「『人事』というから堅苦しく聞こえるけど、要は『居場所を作る』ってことなんだよ」(中略)「ーーつまり、『居場所を作るのが、夢の居場所」ってわけ」

「『説得』というのは、『依頼』ではないのよ」(中略)「『説得』とは、相手にとっての『得』を『説く』ということなの。相手に、『あなたにはこれだけの得がありますよ』と教えてあげること。こちらの都合に合わせて、お願いしたり、頼んだりすることじゃないのよね。だから『説得』という字を書くのよ」

浅川学園においては、まだ選手が集まる前から、グラウンド整備専属の部員が正式に参加した。そのことが、マネージャーたちに新たな視点をもたらしたのである。それは、「部員は必ずしも選手、あるいはマネージャーではなくともいい」ということだ。それ以外の仕事をする人間でも、組織の成果につながるのであれば、あるいは彼らがそこに居場所を見出すのなら、部員として所属させた方がいいということだった

夢は、今度は「人が誰かに必要とされるのはどういうときか?」ということを考えてみた。人はどういうときに誰かに頼りにされるのか? するとそれは、「自分では解決できない問題を、その人なら解決できるとき」というのが分かった

マネジメントが「居場所を作る」一方で、居場所を奪うこともある。そんな矛盾にも、本書は明確に答えており、本格的なロボット時代の到来にあっても、われわれが生きるヒントを示してくれています。

『イノベーションと企業家精神』とは、ずいぶんマニアックなところを突いてくるなと思いましたが、意外やこれは、現代的問題に答えた、タイムリーな一冊です。

ぜひ読んでみることをおすすめします。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。

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