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【海外の反応】安定の斜め上を行くNIPPON式ロボットに世界は?

産業用ロボット市場でシェア1位を誇るニッポン。ロボットが接客する「変なホテル」に、自然対話型の美女ロボット「ERICA」など、どこかクールジャパン的なものを売りにした独自のロボット開発を加速している。さらにはソフトバンクのPepperが「性行為」禁止規約を発表し、開発だけではなくロボットに対する倫理観も提唱し始めた。経済産業省によると、現在の日本国内のロボット産業市場は約1.5兆円(2015年)で、2035年には9.7兆円までに伸びると予想。ますます加速する日本のロボット産業を世界はどう見ているのかを考察した。

ホテルの受付の恐竜ロボットに「ゾッ!」

2015年に長崎県佐世保市のハウステンボスにオープンした「変なホテル」。

「究極の生産性」を追求したこのホテルは、チェックインからチェックアウトまでロボットが対応するという名前の通り、奇妙さが売りのホテルだ。このホテルについて海外メディア各社が大々的に取り上げている

英ガーディアンでは「日本のロボットホテル:受付には恐竜、ルームサービスにはマシーンが対応」と題し、「物騒な外見の恐竜が英語で接客し、日本語対応の女性型ロボットが瞬きしながらお出迎え」する人件費削減のためにロボットが接客する奇妙な有人ホテル、と紹介。

また英デイリー・メールでは、「不完全なホテル?」と紹介し、「5つ星ホテルでは通常最高の料理と接客を提供することが彼らのプライドであるが、日本では違うようだ」とし、「荷物運びも部屋の掃除もすべて人型ロボットが対応する。そして受付の笑顔も」と、少々皮肉まじりの紹介

英テレグラフも「このホテルのアイデアはよくできている」と論じた一方、「多くの旅行者が腑に落ちていないということを考慮するべきだ。(なぜなら)リアルな人間にとってかわるものがないから」と論じている。

しかし、「日本はロボット産業においてトップクラスに入り、日本政府はロボットを経済成長戦略の大きな柱として拡大している」(英ガーディアン)と高く評価する見方もあり、今後のニッポン式ロボットへの注目度は高いようだ。

 

一家に一台、美女ロボットの時代が到来!?

自分自身を完コピしたロボットや、タレントのマツコ・デラックスに瓜二つのロボット「マツコロイド」を開発したことで有名になったロボット開発の第一人者の石黒浩教授が、共同研究として最新作の自然対話型のロボットERICA」を2015年夏に発表。世界のメディアでも話題を呼んだ。

英BBCのサイトでも、石黒教授のもとを訪れ、取材を敢行。

人工知能が組み込まれた「ERICA」と実際に会話した英語圏のリポーターが、ERICAに日本語が変だと笑われて当惑する様子をレポートしている。

英ガーディアンにおいては、「すべての家庭にERICAがいるという状況はもう少し時間がかかりそうだが、ここ数年で日本は日常生活においてロボットの恐るべき受容を実証してきた」とこれまでの功績を高く評価。

ガーディアンが予測するように、近い将来この166cmの美女ロボットが家庭に一台という日がやってくるかもしれない

ロボットとの「性行為」を禁止する規約も話題に

このようにロボット開発に注力する日本だが、ロボットに対する倫理観への意識も高まりつつある

ソフトバンクが共同開発したロボット「Pepper」 のユーザー規約には、「性行為やわいせつな行為を目的とする行為、又は面識のない異性との出会いや交際を目的とする行為」を禁止事項にあげたことは海外でも話題になった。

 英WIREDは「ソーシャル・コンパニオンとして、人の感情に反応するように設計されたロボットは、性的な快楽のために作られてはいない」とし、ただ「この規定を破った場合にどうなるかというアクションが明確ではない」という疑問点を指摘。

英デイリー・メールでは、「性行為ロボットは禁止されるべき」と強調した上で、Pepperを紹介。日本でのロボットの性行為禁止に同調している。

このロボットと人の性行為に関するトピックは欧米においても今様々な議論を呼んでいるが、禁止規約を正式に発表したのはまだ日本のケース以外にはないようだ。

ただ海外のメディアが指摘するように禁止規約を破った場合の処置についてはわからないままである。

 

最先端すぎる日本のおもてなしに海外からツッコミ意見多数

このように奇妙だが革新的な日本のロボット事情について、世界のメディアも注目しつつあることはわかったが、海外のユーザーからの反応は果たしてどうだろうか。

「変なホテル」についてのユーザーのコメントはというと…。

「なんてクレイジーなんだ!」
「これってすごく気味が悪い!」
「また一つ日本の奇妙なストーリーのお出ましだ」
「ロボットと恐竜…。いきなり狂い始めて、みんなに危害を加えたりしないのだろうか」
「日本はロボットに対してちょっと違った方向に向かっているんじゃないの」
「これは観光客用にただ人目をひくためだけのホテルだね」
「人件費削減だって?ロボット開発にかかるコストのほうが莫大だろ!」
「日本は最も高齢化社会が進んでいる国だ。だが移民の受け入れも消極的。だから、ホテルの人員配置について他のやり方を見つけなければいけないんだ。そして、お年寄り向け友達ロボットの普及にも注力している。ゾッとする展望だ」

欧米を中心とした世界のユーザーからは「またニッポンが変わったことをやっている」という引き気味のツッコミ意見が多かった。

そもそも欧米と日本ではロボット観が異なる

「ドラえもん」や「アトム」などに慣れ親しんだ日本では、人型ロボットに対する憧れや想いが強く娯楽用の人型ロボット(ヒューマロイド)の研究に力を入れる傾向にある。

対して、欧米ではグーグルによる車の自動運転、最近では日本でも話題になっているドローンなど、実用的なビジネスとしてのロボット開発に注力しており、日本とはロボットビジネスのアプローチが異なる

最近ではAppleが人の表情から感情を分析する人工知能技術を開発するスタートアップ「Emotient」を買収したことで話題を呼んでおり、より一層人工知能の開発に力を入れているようだ。

アニメや漫画から食文化まで日本独自のコンテンツを世界に発信してきている日本。

ロボット産業においても日本流クールジャパン路線で、世界の流れとは一線を引くのか。

かつての携帯電話が最先端と言われながらも、あっという間に世界のスタンダードに取り残されてしまった日本。

その現象からガラパゴス化の代名詞として取り上げられたが、携帯の二の舞にならないように、世界の最先端をいきつつも、海外に受け入れられるロボット産業のビジネス展開が期待される

image by: ハウステンボス株式会社

文責/MAG2NEWS編集部

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