「現在の激しい社会の変化を考えると、これからはひとつの組織に一生面倒を見てもらうという働き方は終わる」と語るのは、『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者・土井英司さん。今回は、これからのキャリアの考え方について、とても勉強になるという1冊を紹介しています。
『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』藤原和博・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
こんにちは、土井英司です。
「デキる人の予言する未来は、大抵実現する」。
これは、土井が高校生の頃、父親から聞いた言葉です。半信半疑になりながら、いろんな本を読んできましたが、いまはこれが正しかったことがよくわかります。
梅棹忠夫さんが「情報の文明学」で書いた通り、情報産業の時代が到来しましたし、堺屋太一さんが「団塊の世代」で書いた通り、コンビニが全盛となりました。そしていまわれわれは、20年前にビル・ゲイツが予言した通りのインターネットライフを謳歌しています。
もちろん、細部における違いはありますが、デキる人の予言の大枠は実現するのです。
本日ご紹介する1冊は、これから10年先の働き方について、元リクルートフェロー、教育改革実践家でベストセラー作家の藤原和博さんが予言した1冊。
自身、リクルートで部長職、メディアファクトリー創業、ヨーロッパ駐在、同社フェロー、都内で義務教育初の民間校長、大阪府知事特別顧問、武雄市アドバイザーなど、さまざまなキャリアを歩んできた著者だけに、キャリアに対する多面的な見方が参考になります。
なかでも象徴的だったのは、30~40代がピークの「富士山型一山主義」ではなく、人生の後半に複数ピークがある「八ヶ岳型」を目指せという話。
社会の変化が激しく、個人が長寿化する時代、複数の仕事を組み合わせてキャリアを考えるという著者の思想は、とても勉強になります。
ニッポンで働く普通の人の時給格差:800円から8万円
天才でない人が「希少性」を高めたければ、キャリアを3つ掛け算しましょう
「自由」=「クレジットの総量」-「自分が稼ぎ出すお金」
成熟社会においては、もはや「正しい幸せ」などありません
「とにかく正解を当てたいというマインド」を捨てる。「ミスしちゃいけない」という呪縛から自由になる。そうすると修正主義が身についていきます
消費税が上がると何が起きるか。私は、「物々交換」がより活発化するのではないかと考えます
成熟した社会では、個人は、会社という大きな矢印の中にいなくてもかまいません。会社のベクトルに対して、個人のベクトルが同じ方向、同じ線上になくてもいいのです。むしろ、はみ出して斜めを向いていていい。社員が会社以外の豊かなリソースに目を向けることは、結果的に会社をも豊かにするのですから
◆iベクトルを作る3つのコツ
- 自分にぴったりの「正解の仕事」なんてないと知る
- 会社から与えられた「作業」ではなく、「仕事」をする
- やたらと個性にこだわりすぎない
◆人望があるリーダーの「3つの資質」
- 「真摯さ」があること
- 「仕事の出口」を考えていること
- 「参画性」を高めること
皮肉なことに、親が子どもに熱心であればあるほど、ちゃんと教育しようとすればするほど、そして兄弟が少なければ少ないほど、親からのダメ出しが直接、子どもに届くことになってしまいます。(中略)家庭でも学校でも「×」をもらうことが増えた子どもは、自分を肯定する感覚が低い若者へと成長してしまいます。これがセルフエスティームの低い若者を生む構造です
30~40代がピークの「富士山型一山主義」。そんなの、明治時代の人生観ですよ
人生の後半にいくつものピークがある。「八ヶ岳型」のエネルギーカーブを目指しましょう
いまでも学生の安定志向は続いているようですが、組織に一生面倒を見てもらう時代は、もう終わりつつあると考えています。
自らのキャリアと幸福をどう切り拓くか。ヒントが満載の1冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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