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特別対談Part3 高城剛×石田衣良「デカすぎる企業は絶滅恐竜と同じ」

世界を股にかけ、幅広いメディアで活躍中の高城剛さん。最近ではノマド的生活をしていることでも注目を集め、その経験を書いた本も出版されています。そして、ベストセラー作家として多くの小説やコラムを発表し続けている石田衣良さん。近いようで遠い世界にいるお二人が、自身の視点で日本の出版業界の先行きについて語り尽くしたスペシャルトークのPart3です。お二人の有料メルマガをご購読いただいている読者限定で公開している対談を、特別に一部だけお見せします。都市を新しい王様の「領土モデル」だと言い切る高城さん。その支配から脱却するためのヒントは南の島にあると言いますが…?

特別対談Part1 高城剛×石田衣良「これからの出版はライブと同じ」

特別対談Part2 高城剛×石田衣良「大手出版社は思考が役人と同じ」

緊迫する東アジア情勢と貧困に陥る日本の若者たち

石田:僕が最近考えたのは、どこかで中国共産党の一党独裁が崩れて、内乱状態になって、日本1000万人の難民が来たらどうなるっていう話なんだけど。

高城北朝鮮は考えられますね。

石田:うん。でも北朝鮮は人口が少ないから来てもたかが知れてるので。

高城:そうですが、韓国人まで一緒に流れてきますから。半島は戦争になり、半島人口15%溢れたら1000万人を超えてしまいます。

石田:人口比で言ったら、もう2:1じゃないですか、韓国と北朝鮮って。アメリカもついているし、基本的に半島で戦争になった場合、中国も今回は大手を振って参戦できないよね?

高城米軍はもうじき韓国から撤退しますし、紛争は、長ければ長いほど儲かる人もいるわけです。中東の問題はそこにあって、紛争状態が長ければ長いほどイイと考えてる人がいるわけですよね。終わろうと思えば一瞬で終わるけど、微妙に緊張感を持たせれば持たせるほど良しとする人がいるうちは、すぐには終わらないと思います。

石田:なるほどね。おもしろいね。

高城:今は東アジアに微妙な緊張関係があるから、巨大な基地沖縄に続々できてるわけですよね。緊張関係がなかったら、あんな巨大な日本の新造基地は必要ないですよ。今後、緊張が持続すればもっともっと大きくなるんです。

石田:まぁ…やむを得ないところもあるんだよなぁ。

高城:あるアングルからみれば、そうも思います。でも、その緊張状態を良しと思っている人がいるのも事実なので、もし紛争が始まれば長引くと思います。大きいものだったらすぐに終わると思います。一瞬で。ただ、大きくならなければ、僕は長引くと思います。

石田:ただ、大きいのはもうないもんね。

高城:わかりません。

石田:いやー、多分ないんだよなー。

高城:これはわからない。

石田:わからないけどね、ただ戦争って、昔は株価が上がったけど、今はもう必ず下がるので、やっぱりマスの人たちは経済的にダメだっていうことはわかってるんだよね。

高城:巨視的な経済面では、そうですね。昔と違いますから。ただ個々が食えなくなってくると人々の不満が爆発しますから。お金の問題じゃなくなってきますからね。

石田:そうねー。食えなくなった時の日本か。

高城貧困がやっぱり戦争に繋がっていくんです、歴史的に。

石田:それに関しては今の日本厳しいですよね。

高城:そう思いますよ。もっとこの傾向が強くなるっていうことは、憲法改正の問題ではなく、貧困により少しづつ戦争へ向かっていくっていうことだと思いますけど。

石田:ところで高城さんがもし、ブラック企業みたいなので働いている……何かアルバイトでも地獄の目にあっている若い子たちがいたとしたら、何て言います?

高城:その子に会ってみないとわかりません。

石田:個々の話だから?

高城:うん。それが本当にブラックなのかもわからないですけど、会ってみないとわからない。で、その道じゃない道は絶対にあると思う。だから一概に言うことではなくて、個別に言うことだと思うんですよ。

 

石田:そっか。個々の生存適性を考えるってことね。

高城:絶対にある。

石田:それがあって欲しいんだよなー。

高城:それを彼が選択してないだけだと思いますよ。もしくは見つけられていない。

石田今の時代って何か不思議ですよね。中世だったら、王様の権利も貴族の権利も血によって代々伝わるわけですけど、今は経済関係の法律とか、企業にギュッと集まった富として代々伝わっていくようになっているじゃないですか。なので、今のほうが合理的だから、逆に縛りが厳しいですよね。見えない王様の権力のほうが昔の王様より強い

高城見えない階級化がはじまってますよね。

石田:それでどんどん差が開いていくこの感じが、世界中全部一緒じゃないですか。それを考えた時に何か、若い子たちに「こんなに希望があるよ」っていうのが、何か言いにくいというのがすごくあるんですよ。

高城:僕が南の島をまわろうと思ったきっかけは、まさにそれなんですよね。資本主義の基本的中心機能は、都市にあると思っているんです。都市化が資本主義の権化で、見えない王様の新しい領土システムだと考えました。それはおっしゃるように、さまざまな弊害を生んで、人々を実際に苦しめてますよね。そして非常に合理的で、誰も逆らえない。

石田:よくできているんだよね。

高城:ただ、そこから逃げ出し、新しい世界を見つける方法はいくらでもあって、どこに行くのかっていう時に、僕は南の島に解答があるんじゃないかっていうことを、大きく提案しているんです。

石田:でもさ、ツーリズムじゃ食えないじゃないですか。要するに行ったらまた都市に帰って来ないといけないし。

高城:あまり知られていませんが、今は、世界中の南の島でバブルが起きていて、日本でも石垣島に行くと、居酒屋が混んでいて入れない状態まできています。ツーリズムは、航空宇宙産業を抜き、世界最大の産業に成長しました。

石田:そうなんだけど、それは都市の人口と南の島の人口を考えたら、圧倒的に差があるじゃないですか。

高城:今、南の島経済圏というネットワークが広がっているわけですよ。これまでは世界の先進都市、先進国という括りで見ていましたけど、都市と南の島以外は残らないと、僕は思っているんです。今は南の島同士で連携して新しいネットワークのようなものができはじめた。たぶん、それらがLCCでつながり合う。そうすると、中間的な地方都市が没落する。小さな話では、日本人でかき氷屋をやっている男の子が、世界中の南の島だけに店舗を出そうとしてうまくいっている。

石田:ほー。それはおもしろい。

高城:今はフードトラック……というか屋台なんですけど、いよいよあちこちに店舗を構えていこうかというところまで来ているんですよ。オーガニックのかき氷屋で、1個1000円。かき氷ですよ!でも考えてみれば、お祭りのかき氷だって、今は600円です。オーガニックのトッピングが乗っていたら、1000円でもいいかなと思いますよね。かき氷なのでセットアップコストも安いんで、南の島でやれるんです。しかも大きい場所ではやらない。ハワイならオワフ島ではやらないで、カウアイ島とか小さい島で店を開いて、今は小さくても、このような動きがどんどん広がっていくと思いますよ。今なら、早い者勝ちです。

石田:そういうケースはあるでしょうね。

高城:今までは、都市で何もかも始まっていました。スターバックスだってマクドナルドだって。でもこれからは違うと思う。全然関係ないところで始まって、しかもメインストリームには来ない

石田:それは日本の地方とかではダメなんですか?

高城:逆です。今後、新しい試みは都市では成立しなくなっていくんです。

石田:日本の地方都市だと、南の島のかき氷の理論はうまく働かないのかな。

高城:いや、例えばKOEっていう日本のブランドあるけど、ほとんどの人が知らないと思います。でも、日本中で売れている。なぜなら、東京にないからです。

石田:それはどこで出店しているの?

高城地方のモールだけです。モードなブランドなんだけど、他のモードなブランドよりも安い。もちろんユニクロよりは高い。モードなブランドでユニクロよりは高いけど、結構かっこいいんですよ。それが地方のモールだけに出てるんですよ。なぜなら、都市っていう新しい王様領土モデルに入ると、大変だからですよね。

石田:そうは言っても、世界中の人間を、南の島だけで食わすのは、とても無理だしなー。

高城:いや、南の島だけじゃなくて、周辺都市を含めた分散じゃないですか?僕はバルセロナを拠点にしてけっこう経ちますが、その前はロンドンにいました。僕の青春時代だった80年代は、ニューヨークやロンドン、パリが憧れでしたね。ところが、インターネットが普及した90年代後半以降は、周辺都市の方が俄然おもしろいんですよ。ベルリンやバルセロナとか。人口は大したことないんですよ。1000万人どころか、180万人しかいません。それでもすごくおもしろいし、十分ビジネスは成立するんですよ。そこで何かをして、ロンドンやパリやニューヨークに行かずに、周辺都市だけでどんどん枝葉が広がってネットワーク化している業態が目立ちます。そのような街をLCCが飛び交いあって。南の島もそういうことになっていくんだと思う。

石田:そっか。そう考えると、大手出版社って大都市ですもんね。出版の元の形態に戻ればいいのかな。

高城:僕も大きい出版社と普通にお仕事をしてますが、まったく別のこともあわせてやらないと、次の時代に乗り換えられない。そのサイズ感は小さいに限ります。

石田:そうなんですよね。大きな出版社も全部家業で始まっているんですよね。講談社なら野間家だし、新潮社なら佐藤家っていう、家で代々社長も継いでいるので、本当に家族経営から始まって今があるので、一度そこに戻るのはあるかもしれませんね。

高城:経済学もトレンドは、MBAよりファミリービジネスですからね。

石田小さい出版社回転力を上げていく。そうか、小さい出版社を作ってみるか。

高城:そうしないと、今はもう図体が大きすぎちゃって。絶滅恐竜になっていますよね。

石田:確かにそうなるとブレーキかける人いますからね。何をやるにしても。

高城やらなければ給料が出るじゃないですか。やらないと給料出るんですよ、日本の会社は。

石田:そうなんですよね。

高城:官庁もそうですけど、やらなきゃ給料出るんですよ。

石田:そう、そこが変わらないと日本はもう変わらないってことね。

高城:そんな理不尽な仕組み、世界で日本だけですよ(笑)。

……と、ここまで3回にわたってお送りしてきた本対談の全文は石田衣良さん、高城剛さんの有料メルマガをご登録いただき、1月のバックナンバーを購入すれば読むことが可能です。この機会にぜひ、ご登録ください。

 

 

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