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株価下落でも安泰なワケは?英語で学ぶウォルト・ディズニーの経営状態

英文の経済ニュースを通じて、英語と最新経済事情が学べる『毎日5分! 経済英語NEWS!』。今回は少し趣向を変え、今年2月に発表した四半期決算で過去最高益を記録したにもかかわらず、株価のほうはなぜか下落傾向のウォルト・ディズニーのアニュアルレポートを読解しています。

やはりディズニーはスターウォーズを使い最強になるのか?

さて、私はあまりウォルト・ディズニーという会社が好きではありませんでした

というのも、価値の創造というものは個人的にはあいまいで、どうやったら価値が想像できるのか?というのは、安定していないと思っていたからです。

そういう意味では、製造業は分かり易いですが、芸術分野や娯楽分野への投資は少し苦手でした。

しかし、最近はブランド戦略がうまく行っていれば、そこら辺は製造業もエンターテイメント業も関係ない。いや、むしろエンターテイメント業こそ、ブランドを作っちゃえば、どんどん儲かるようになると感じています。

ディズニーは、スターウォーズが好調にもかかわらず、有料チャンネルの会員数が下落していることにより、今は株価は下落気味です。

しかし、映像は世界を超えることができ、インターネットを介して、その利用者数はますます増えることを考えると、もはやディズニーを無視しているなんて、とんでもない話な気がしてきました。

製造業は、世界に輸送しようとすると、拠点が必要だったり、輸送費が必要だったりしますが、ディズニーではそれがありません

さらに、最近話題の3Dグラスなんかもポジティブ材料ですよね。あのデバイス向けに作品を作れば、さらにすごい収益を生み出しそうです。。。

稼げるのは、コンテンツでブランド力を持った企業ですね。

実は以前、『バフェットの眼』という私が運営する別のメルマガで、ディズニーの分析をしていたので、その一部を少し載せてみたいと思います。

ウォルト・ディズニーは、どうやってお金を稼いでいるのでしょうか? 夢の国を維持・管理するには、しっかりと稼がなければいけません。夢が内容で、個人的にはこの稼ぎ方には夢があるように思います(笑)。

セグメント別の営業利益がこちらです。

それでは、各セグメントが何を表しているのか、説明していきましょう。

Media Networks

一番営業利益を出せているのが、Media Networksですね。

こちらがAnnual report にある説明文です。簡単に訳します。

The Media Networks segment includes broadcast and cable television networks, television production operations, television distribution, domestic television stations and radio networks and stations.
(メディアネットワークセグメントは、放送と、ケーブルテレビネットワーク、テレビ作品放映、テレビ配給、国内テレビ局、ラジオネットワークとラジオ局が含まれます。)

 

The businesses in the Media Networks segment generate revenue from fees charged to cable, satellite and telecommunications service providers (Multi-channel Video Programming Distributors or MVPDs) and television stations affiliated with our domestic broadcast television network, from the sale to advertisers of time in programs for commercial announcements and from other sources such as the sale and distribution of television programming.
(このセグメントでは、我々の国内子会社である、ケーブル、衛星、データ転送のプロバーダーに料金を課したり、テレビ局が広告告知の時間の売上高や、テレビプログラムの販売や配布などから収益を生み出しています。)

 

Significant operating expenses include programming and production costs, technical support costs, distribution costs and operating labor.
(重要な営業支出としては、プログラミングと製造コスト、技術サポートのコスト、配送コスト、営業社員などがあります。)

このセグメントの利益は$6,818/$10,274=66%。なんと66%も占めています。

三大ネットワークのひとつである放送局のABCやスポーツ専門放送局ESPN、インターネット・ポータル「go.com(Walt Disney Internet Group・旧infoseek)」などを傘下に納めるメディア系総合企業です。

意外ですね。稼いでいるのは、放送事業でしたw まあ、ディズニーのメイン事業といっていいでしょう。

Parks and Resorts

なんとなく題名だけで分かるかもしれませんが、パーク事業ですね。私はてっきりディズニーというとこっちが稼ぎ頭なんかと思っていましたが、放送事業のほうがメインなんですね。知らなかったです。

さて、こちらも要約してみましょう。

The Company owns and operates the Walt Disney World Resort in Florida, the Disneyland Resort in California, Aulani, a Disney Resort & Spa in Hawaii, the Disney Vacation Club, the Disney Cruise Line and Adventures by Disney.
(この会社は、(上に書いてある会社)を所有、運営しています。)

 

The Company manages and has effective ownership interests of 51% in Disneyland Paris, 48% in Hong Kong Disneyland Resort and 43% in Shanghai Disney Resort, each of which is consolidated in our financial statements.
(この会社は、管理と有力な所有権を51%のDisneyland Paris、48%のHong Kong Disneyland Resort、43%のShanghai Disney Resortに対して持っており、我々の財務諸表に統合されています。)

 

The Company also licenses the operations of the Tokyo Disney Resort in Japan. The Company’s Walt Disney Imagineering unit designs and develops new theme park concepts and attractions as well as resort properties.
(日本のディズニーリゾートの運営にライセンスを提供しています。この会社のイメージ製品とテーマパークのコンセプト、アトラクション、リゾートの資産も同様である。)

 

The businesses in the Parks and Resorts segment generate revenues predominately from the sale of admissions to theme parks; sales of food, beverage and merchandise; charges for room nights at hotels; sales of cruise vacation packages; and sales and rentals of vacation club properties.
(収益は、テーマパークの入場料や、食べ物、飲み物、商品の売り上げからと、ホテルの宿泊料、巡航長期休暇パッケージ、そして、ディズニー・バケーション・クラブからの売り上げとレンタル料から、主に収益を生み出している。)

 

Significant costs include labor; depreciation; costs of merchandise, food and beverage sold; marketing and sales expense; repairs and maintenance; utilities; information technology; and cost of vacation club units.
(主要な支出は、労働者、減価償却費、商品コスト、食糧、飲料のコストマーケティングと売り上げ支出、修理とメンテ、装置、IT、バケーションクラブのコストである。)

と、まあ、こんな感じですね。

日本だけなんですよね。ライセンスって。実は、日本のディズニーリゾートは、アメリカとの資本関係は一切ありません。オリエンタルランドがウォルトディズニーとライセンス契約をしているようです。ちなみにライセンス料は、だいたい売り上げの7%程度のようですね。(ソースはコチラ

収益は$2,220/$10,724=20.7%と、まあ、そこまで大きい割合ではありませんが、2013年の利益の伸びは17%と大きいですね。ちゃんと利益をあげているんですね。

さて、あとの分野は営業利益の占める割合が20%を切ってくるので、とくにそこまで解説しませんが、数字は見ておいてください。Studio Entertainmentは劇場(『トイストーリー』とか映画関係ですね。)で、Consumer Productsはテレビや商品に対する著作権収入などです。

まあ、なんか、ディズニーというか放送会社って感じですねw 意外でしたねー。。。

というわけで、今後ディズニーは、放送事業に強みを持ちます

しかし、よく考えればセグメントごとに見ましたが、『スターウォーズ』は全てのセグメントにポジティブな材料ですので、(もちろん放送事業への影響が大きいですが)完全なポジティブ材料です。

現在は、有料チャンネルへの加入者減少が懸念されて、株価があまり高くないわけですが、結局のところ「テレビの時代は終わった」だの「インターネットの時代が来る」だのという戯言は、どうでもよくって、面白いコンテンツを持っている人がそっちに行けば、みんなそっちに行くと思います。VR(3D)グラスなんかも、ディズニーが『アナと雪の女王』の続篇や、『スターウォーズ』の続篇なんかのコンテンツを流し始めたら、みんなそっちに動くわけです。

要は、市場は技術でなくコンテンツで動くわけですから、やはり最強はディズニーでしょう。本質的な価値を持っている企業です。

今後さらにディズニーの分析を『バフェットの眼』でもしていきたいと思っています。『毎日5分』でも、そこら辺の情報は、どんどん取り上げていこうと思います。

image by: Wikipedia

 

『毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋
著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
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