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【西友】大量閉店から一転、日本から始まる「ウォルマートの逆襲」

西友の親会社で、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマート。最近では株価を大きく下げることもありましたが、それでもウォルマートは大丈夫だろうと太鼓判を押すのが、人気メルマガ『毎日5分! 経済英語NEWS!』の著者である八木翼さん。その理由を以下のように語っています。

ウォルマートはイトーヨーカ堂よりも一周早い

最近、セブンイレブンホールディングスがイトーヨーカ堂の縮小を宣言していましたが、既にウォルマートはその作業を終え、見込みある既存店舗を改修する方向へ舵を切りだしました。

ウォルマートは日本の市場を見捨てていません

高齢者人口が多くなる上、人口が減少するとしても、まだまだ利益を出せる公算があるのでしょう。日本からの撤退は考えていないようです。株価も上昇しています。

ニュースを見てみましょう。

Market Chatter: Wal-Mart Stores Up 1%, Plans to Revamp Existing Stores in Japan
(市場でのおしゃべり:ウォルマートは1%上昇、日本で既存店改修計画)

 

(1)
Shares of Wal-Mart Stores (WMT) were up Tuesday after Reuters reported the retail giant is planning to remodel existing stores in Japan instead of opening new ones this year as it faces fierce competition and a reluctance by consumers to spend freely.
(激しい競争と、消費者が自由に支出することにためらいがある中で、ロイターが、ウォルマート(この小売り企業)の日本の既存店改修計画を発表した後、火曜の株式は上昇した。)

 

(2)
The report also cited Takeshi Kamigouchi,head of Wal-Mart’s Japan business, as saying the company does not plan to exit Japan and could open new stores in the country if it finds good locations.
(この報告では、この会社は、日本を撤退する計画はなく、良い場所が見つかれば、新たな店舗を開く可能性もあると述べた、ウォルマート日本の社長であるTakeshi Kamigouchiについても言及した。)

 

(3)
Kamigouchi added that closures of a number of stores first unveiled two years ago are now mostly completed, Reuters added.
(Kamigouchiはさらに、2年前に公開した閉店店舗数は、現時点でほぼ達成できたと付け加えたと、ロイターは述べた。)

 

(4)
WMT was up 1% in recent afternoon trade, moving closer to the midpoint of the 52-week range of $56.30 to $83.90.
(ウォルマートは、直近の午後の取引で1%上昇し、52週間の範囲であった56.30から83.90の中央近くまで動いている。)

 

一部引用:Y Charts| March 15, 2016 15:41

ウォルマートはデータで勝負する企業なので、個人的には大好きです。セブンイレブンは、正直、会長のワンマン企業なので、彼がいなくなった時に、どれだけ踏ん張れるかが不安なんですよね。

ロジックが優先される企業文化は、一人の人がいなくなっても影響は少ないですが、ワンマン経営者だと、それが心配です。

さらに言えば、その割にはセブンイレブンは対応が後手後手です。イトーヨーカ堂の戦略はもっと早いうちに縮小すべきだったでしょう。

私は、ヨークベニマルなんかもたまに使いますし、品質も悪くないと思っています。レジも半自動化に取り組んでいたりと、意外に便利です。(野菜入力など改善する部分は多々ありますが(笑))

個人的には、百貨店よりもスーパーが復活していくと思います。また、コンビニは確かに便利ですが、最近の円安、物価高のあおりを受けて、明らかに価格が高すぎます。

以前、私がウォルマート下落中に株を分析した記事を再度載せておきます。この時から、私の見解は変わっていません。

さて、先日から紹介しているウォルマートですが、まだまだ株価を下げていますね。私も購入したのはいいのですが、下値が見えないのでヒヤヒヤしています(笑)

しかし、この株に関しては、かなり自信を持っています。というのも、サイエンスで勝負している会社だからです。

日本でコンビニがうまくいっているのに、スーパーがまるでダメなのはなぜでしょうか?

『ビジネス知識プレミアム』というメルマガにその違いが明確に書いてあるのですが、内容がものすごく難しいので、結果だけ言わせてもらうと、コンビニには、システムが適用されているのに対し、スーパーにはシステムが適用されていない

このシステムというのが、セントラルバイイングという、いわゆる、店舗ごと各々が各々の卸会社に発注するのではなく、地域で一括でまとめて買い上げ、在庫を効率化し、より安い値段で商品を買うシステムです。

コンビニには基本的には同じ製品が置いてあります。そのため、大量に同じ製品を仕入れ、一度地域の中核配送センターに納め、そこから製品を分配できるのです。

しかし、日本のスーパーは違います。通常は、配送センターを中心に店舗を配置することで、配送の効率化を意識して商勢圏づくりをしなければいけないのに、日本のスーパーは、飛び地出店、個別発注が横行しています。

『ビジネス知識源プレミアム』を引用させていただきますと、

わが国では、
(1)店舗が、ドミナントに配置されていない。
(2)生鮮の生産量が零細であり、まとめて買うことができない、
という事情があります。

 

このため日本型GMSの生鮮は、地域の仲卸、仲買に乗る形で、個店仕入をしてきたのです。

 

わが国では、鮮度の期間が短い生鮮は、個店仕入が多くなり、D/Cでのセントラル・バイイングが成立しません。

 

このため、生鮮・惣菜の売上が60%~70%もある食品スーパーでは、全国展開のナショナル・チェーンが成立していません。食品スーパーは、全部が、地域のリージョナル型のチェーンでしかない理由は、この生鮮の、零細な、地域結合の流通形態にあるのです。

というわけです。

つまり、ちゃんと機能していないんです。スーパーのメリットが。

しかし、アメリカではこれがうまく働いています。そのため、ウォルマートの業績が下がっていて、Amazonに押され気味と言っても、この強みがある限り、米国では強いでしょう。

さらに、日本でも負けないでしょう。

現在、円安になっており、海外からの輸入製品は、価格が高いです。それでも国産を買うよりは安いので、高くなった海外食品を買わざるを得ません

そうなれば、このウォルマートの知識を持つユニー(ウォルマート子会社)が、価格優位性を保ち、まだまだ活躍できるのは、当然です。ネットでは、価格が比較しやすいので、その差が顕著に出るでしょう。

アプリ、配送サービス、ピックアップサービス(注文した商品を選んで置いてスーパーで渡すだけ)のどれをとってもウォルマートが優秀に思います。

生鮮食品に対して何の実績もないAmazonが、この牙城を簡単に崩せるとは思えません

image by: Niloo / Shutterstock.com

 

『毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋
著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
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