安倍政権は倒れるのか。共産党の英断で自公過半数割れの悪夢

 

北海道5区が最初の「環」

この局面で決定的に重要なのは、まず4月の2つの衆院補選で勝って見せて、良心的な保守層まで含めて安倍政治を怒り、不快に思っている多くの国民に「おっ、野党がまとまれば安倍政権を倒すことができるんだ」という「希望」を与えることである。

とりわけ北海道5区は、今から参院選へ向かう政治の流れにとって戦術的な環の第1で、ここで民新・共産・生活・社民各党および地元の「戦争をさせない市民の会」、シールズら中央の「市民連合」が推す無所属の統一候補=池田真紀で勝つのか負けるのかによって、その先の展開は天と地ほども違ってくる。

2月には、故・町村信孝の女婿である元商社マンの自民党候補=和田義明に10ポイントほども差を付けられていたのに、3月に入って5ポイント差に縮まり、さらに最近は2~3ポイント差の「接戦」状態になってきたと言われている。特に無党派層では28:41で池田が圧倒しているという調査もあって、勝てない戦いではない

自民党は、北海道で民主と連携してきた鈴木宗男を野党陣営から引き剥がすという荒技で大地が同区で持つ数万票を取り込んだつもりでいたものの、鈴木が娘の貴子を民主党から離党させたばかりか(後に除名処分)、「日本共産党と『破壊活動防止』に関する質問主意書」を提出して政府の「警察庁としては『暴力革命の方針』に変化はないと認識している」との答弁書を引き出すという時代錯誤の猿芝居」まで演じさせたことはかえって逆効果で、「裏切り者!」といった罵声がネットで飛び交っている。

北海道5区を勝つためには、同日に行われる京都3区での勝利も確実にしなければならない。安倍チルドレン議員が不倫露見でだらしなく辞職した後の補選では、さすがに自民党は候補を立てられず、別働隊であるおおさか維新の森夏枝に、民主の比例現職=泉健太の叩き落としを託している。民主が勝つためには、ここでも不出馬を決めた共産党に積極的に働きかけて推薦・共闘を実現するのが誰が考えても筋だが、同党京都府連を握る前原誠司は幼稚な反共イデオロギー故にそれを拒んでいる

安倍が「自公VS民共の戦いだ」と言い、それを自民党幹部が「民主党は革命勢力と手を組むのか」などと解説して、古典的な反共キャンペーンに出ている中で、鈴木親子はさらに踏み込んで「共産党=暴力革命」という、マッカーシズムではあるまいし、1950年代のような反共キャンペーンのお先棒担ぎをして、北海道と京都で民進党の足を止める役目を果たしているのである。

岡田にもし戦略観があれば、前原など叩き切って京都でも民共共闘を実現して勝利を確実にし、それをテコにして北海道での接戦を有利に運び、さらに全国の野党選挙協力に弾みをつけることに全力を傾注しただろう。前原に遠慮してそうは踏み切れないのが岡田で、結果、共産党は「京都レベルでも本部レベルでも民主党から協議の申し出がなかったので、自主投票とした」と、半身の姿勢に後退してしまった。京都で組めば北海道での共産党の動きにも力が入って、両方がいい結果になる可能性があるというのに、馬鹿げたことである。

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け