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ホラッチョと呼ばれるだけでは済まない。会社に学歴詐称がバレたら?

大きな話題となった、経営コンサルタント・ショーンK氏の学歴詐称問題。彼の場合は全メディア活動の停止という大きな代償を払うこととなりましたが、そもそも学歴や経歴の詐称、例えば私たちが企業に採用されたいがために履歴書に嘘の記載をした事が発覚した場合、どのような罪に問われ処分を受ける可能性があるのでしょうか。無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』で法律のプロに聞きました。

学歴・経歴詐称をするとどうなるの?

人気コメンテーターとして活躍する経営コンサルタントの男性が「学歴詐称」を行っていたと報じられて、話題となっています。男性は所属事務所のサイトで謝罪を行い、4月から出演予定だった番組への出演自粛を発表しています。

今回は、学歴や経歴を詐称してしまった場合どうなるのかについて見てみたいと思います。

学歴や職歴の犯罪等について規定がある法律としては、まず「軽犯罪法」があります。軽犯罪法は、「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」について、拘留又は科料に処する、としています(軽犯罪法1条15号)。

大学などを卒業した場合は、卒業大学名が書かれた学位が授与されますので、大学や大学院を卒業していないのに卒業したと偽る場合、自分が卒業していた大学とは異なる大学を卒業したと偽る場合は、軽犯罪法のこの条文によって罰せられる可能性があります。資格を持っていないのに持っていると偽る場合も該当します。

また、「公職選挙法」にも、当選を得るための目的で、「身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属」等に関して虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する、としています(公職選挙法235条)。

成立する可能性はかなり低いですが、刑法の詐欺罪や私文書偽造罪に該当する場合もあります。刑法の詐欺罪については、財物の交付を受けるための欺罔(ぎもう。人を欺く行為をいいます)でなければなりません。学歴や経歴そのもので、金銭等の財物を受けるということはあまり考えられませんので、詐欺罪が成立する可能性は低いと考えられています。

今回の男性については、公職選挙法や刑法には該当せず、軽犯罪法には該当しますが、軽犯罪法によって処罰される可能性は低いと思われます。

法律上処罰の可能性は低いみたいだし、就職や転職の際に、どうしても採用して欲しいからちょっと大学中退を大学卒業と書いちゃおうか…としてしまうこともあるかもしれません。しかし、学歴や経歴の詐称を軽く考えてはいけません。

なぜなら企業では、就業規則などの内部規程で、学歴や経歴の詐称が発覚した場合には、採用の取り消し懲戒解雇等の処分を行うことを規定しているところが多いからです。学歴や経歴の詐称をした場合には、これらの内部規程により処罰される可能性が極めて高いといえます。

なお、学歴詐称をして解雇されたことを争ったケースでは、裁判所は「労働契約締結に当り高校卒業以後の学歴を秘匿したことは雇い入れの際に採用条件又は賃金の要素となるような経歴を詐称した行為であるけれども懲戒解雇は経営から労働者を排除する制裁であるから、経歴詐称により経営の秩序が相当程度乱された場合にのみこれを理由に懲戒解雇に処することができるものと解するのが相当」であるとして、このケースでは相当秩序が乱されたとはいえないとして、解雇を無効とする判断をしています(福岡高判昭和55年1月17日)。このケースは解雇が無効となった例ですが、事案によっては有効とされる場合もあるでしょう

image by: Shutterstock

 

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