板挟みの安倍総理。オバマ大統領が辺野古工事中断に不快感

 

北朝鮮に軍事圧力をかけるというのも、そう単純なことではなく、米国は表向きそのような強硬策を唱えながらも、裏では北朝鮮及び中国と「38度線の休戦協定を和平協定に置き換えるための協議を始めることを条件に、それと並行して北を核放棄の6カ国協議に復帰させる」というウルトラCについて水面下交渉を進めている(和平協議が北に核・ミサイル協議を止めさせる早道であることについては、本誌No.824参照)。

今年1月6日の北朝鮮の4回目の核実験の後……、

  • 北朝鮮は1月15日、米韓が合同軍事演習を中止すれば北は核実験を中止し、和平協定の締結交渉に入ることが出来ると提案した
  • 2月21日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、北が4回目の核実験の少し前から和平協定の秘密交渉を米国に持ちかけていたとスクープした
  • その2日後の23日、米中外相会談の後の記者会見で、ケリー米国務長官は「もし北朝鮮が非核化を話し合う場に出て来れば、朝鮮半島の未解決の問題を解決するための平和協定も最終的には可能だ」と述べ、また同席した王毅中国外相も「朝鮮半島の非核化と休戦協定を和平協定に転換する作業を並行して進めたい」と述べていた、

──が、この重要な動向をきちんと報道した日本のメディアは皆無だった。

要するに、安倍の時代遅れの中国脅威論」をベースにした辺野古強行論も尖閣防衛論も北朝鮮制裁論も、東アジア政治の表も裏もあってそのまた裏もある多国間外交のリアリズムから酷く取り残されしまっている。今回のワシントンの舞台で浮き彫りになったのはむしろそのことである。

image by: 首相官邸

 

高野孟のTHE JOURNAL』より一部抜粋
著者/高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。
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