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中国・韓国は、なぜオバマの広島訪問にこれほど怯えるのか?

ほぼ確実になったと言われる、オバマ大統領の広島訪問。原爆を投下した国の大統領が被爆地に立つという「歴史的出来事」に関しては、被爆者の方々からも歓迎の声が上がっていると言います。しかし、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』によると、中韓、そして日本の一部の識者の間から懸念の声が上がっているとのこと。彼らは核廃絶に向けた大きな一歩となるこの訪問になぜ反対するのでしょうか。

【日中韓】中国・韓国はなぜオバマの広島訪問にこれほど怯えるのか

オバマ大統領の広島訪問に韓中日の識者が懸念の声

アメリカのオバマ大統領が5月下旬の伊勢志摩サミットに合わせて、被爆地である広島を訪問する可能性が浮上していますが、韓国の北東アジア戦略研究機関であるニア財団の招きで、今月22日にソウルで会談を行った日中韓の識者はこぞって懸念を表明したそうです。

ソウル大学の李泰鎮(イ・テジン)名誉教授は、「オバマ大統領が広島を訪問すれば(歴史問題解決をさらに難しくしてしまう。歴史問題が解決され、北東アジアの平和共存体制が確立された後、米国の大統領だけでなく各国の首脳が一緒に訪問するというのが妥当だ」と主張したそうです。

しかし、歴史問題を複雑にしているのはあくまで韓国側であり、日本ではありません。しかも昨年末には日韓慰安婦合意がなされ、日韓双方とも不満はあれど、一応は決着にむけた取り決めがなされたはずです。やはり韓国としてはいつまでも歴史問題を蒸し返す気で満々だということです。

ちなみにこの李泰鎮名誉教授は、日韓併合時代を徹底的に批判し、「日本が朝鮮の近代化を阻害した」という典型的な「日本悪玉論」を唱えている教授です。

李泰鎮教授「植民地期は祝福どころか近代化を阻害」

また、日韓併合条約に国王の署名がないということで、不法論を主導している人物でもあります。しかし条約には、当時の国王から全権を委任されていた当時の李完用首相が調印したのであり、これを無効だとするのはいくらなんでも荒唐無稽です。

中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授は「米国の大統領が被爆都市(広島)を訪問するのは、中国を刺激する行為だ。(米日両国は)安全保障をめぐる競争をあおり、アジアの平和を脅かす行為をやめるべきだ」と述べたそうですが、なぜ被爆地をアメリカ大統領が訪問することが、アジアの平和を脅かす行為なのか、いまひとつわかりません。

この時殷弘氏は北京の代弁者であり、これまでも「南シナ海は譲れない」「安保法制は日中の対立を深める」などと発言してきた過去があります。

日本からは朝日新聞の若宮啓文・前主筆が出席しましたが、「広島は日本の被害ではなく、人類全体の悲劇を象徴する場所であり、米国の大統領が訪問するのは『核廃絶』のメッセージを発信するうえで基本的に望ましい。広島には韓国人被爆者も多かった」と述べたものの、「右派の首相が政権の座に就き米国との防衛協力を増強している時期でもあるので、特に中国や韓国などに波紋を呼ぶのだろう」とも述べています。

この若宮氏はかつて朝日新聞のコラムに「いっそ日本が竹島を譲ってしまい、韓国がこの英断を称えて『友情島』となづけて周辺の漁業権を日本に認める」ということを夢想するなどと書いたことでも有名です。また、かつて朝日新聞の主筆時代に、政治評論家の三宅久之氏との対談を行った際、三宅氏が「朝日は安倍というといたずらに叩くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものか」と尋ねたところ、「それはできません。(安倍叩きは朝日の社是だからです」と答えたとされています(小川榮太郎『約束の日 安倍晋三試論』)。

このソウルでの会談において若宮氏は「その意味でも日本の首相の中国・南京への訪問天皇の韓国訪問が可能な状況であればより望ましい」と、とんでもないことを述べています。南京虐殺などという中国の嘘のプロパガンダのために、なぜ日本の首相が南京を訪れなければならないのでしょうか。

この日中韓のいずれの「知識人」も日本や安倍政権に批判的な人物であることは間違いありませんが、とりわけ共通するのは「(かつての、そして現在も日本は悪という価値観でしょう。

オバマ大統領は「核廃絶」を掲げてEUでも民衆に大歓迎され、ノーベル平和賞まで受賞しましたが、その後の「有言不実行」が批判され、人気もぱっとしなくなりました。広島訪問は、オバマの理念を実現するパフォーマンスとしては「未来志向」であり、過去にだわる中国、韓国、反日日本人の「過去志向とは正反対です。中韓は尚古主義の囚人にすぎません。

中国や韓国はこれまで、東京裁判やサンフランシスコ講和条約という戦後秩序に乗っかって、日本を批判してきました。東京裁判では「平和に対する罪」などという事後法で「A級戦犯」を裁きましたが、日本はサンフランシスコ講和条約ではそうした諸判決を受け入れました。

それに乗っかって、中国や韓国は日本を攻撃してくるわけですが、両国ともサンフランシスコ講和条約に調印していません。当時の中国は人民共和国と中華民国で争っていたこともあり、しかも人民共和国は欧米主導のサンフランシスコ講和条約を否定すらしています。また、韓国は日本と戦争した過去がないため参加資格がありませんでした。

その両国が「A級戦犯の合祀」を理由に靖國神社の首相参拝を批判するのは極めて矛盾した話なのです。

そしてこの両国は「かつての日本=悪」という構図が壊れることを恐れています。日本が原爆を投下されたのは、日本が侵略国家で悪の帝国だったからという「物語」が存続してくれないと、反日のお題目がなくなってしまうため困るのです。

中国共産党は、これまで抗日戦争に勝利したことを政権の正当性のひとつとして掲げてきました。昨年9月には大規模な抗日戦争勝利70周年式典まで開催してアピールしました。もっとも日本軍と戦ったのは主に国民党軍で、共産党軍は逃げてばかりいてほとんど戦わなかったことは、歴史の常識ですが。

また、韓国にしても上海臨時政府による抗日戦争によって、「独立を勝ち取った」ということが憲法にも書かれています。それが韓国政府の正当性となっているわけです。

両国とも、反日によって国民をまとめ、自己正当化をしてきた手前、過去の原爆投下についてアメリカ大統領が反省したり、謝罪したりするのは、彼らにとっては悪夢に近い光景なのです。

オバマ大統領が広島を訪問したところで、謝罪や反省を口にするまでのことはないでしょうが、やがてそうしたことが実現するのではないかと怯えているわけであり、それだけにオバマ大統領の広島訪問は何としても阻止したいというのが両国の一致した思惑なのです。

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image by: mistydawnphoto / Shutterstock.com

 

黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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