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ニューヨークの日常は東京の非日常。日本人が食いつく日米ギャップ

マンハッタン生活が長い米国邦字新聞「WEEKLY Biz」の発行人・高橋克明さん。すっかりニューヨークに慣れてしまったため、現地に日本人を迎えるたびに彼らが驚く「日米のギャップ」に対して「そこに食いつくんだ!」という新しい発見があると言います。『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』に書かれている高橋さんにとっての日常、たしかに日本人にとっては非日常です。

ザッツ! ニューヨーク

昨夜、日本から来たお客さんと初めて行く中華料理屋さんで食事をしていたら、ウエイターがテーブルの上に置いていた僕のタバコを指さして「1本くれ!」といきなり。数分後に、外で吸ってきたのか「あんまり美味しくねえなぁ」とわざわざ報告に。その一部始終を見ていた前述の日本からの客人は空いた口が塞がらないようでした。

この街の滞在期間が長ければ長いほど、日常が当たり前になりすぎて、日本の常識とのギャップに気がつかなくなります。今回の一連の流れも、客人が驚いたことに言及しなければ、わざわざここに書くまでもなく、ごく普通の日常の光景として、そのまま流れていく出来事だったはずです。「日本だとありえないっすよ」と言われて、あぁ、そうなのか、そうかもな、そうだったな、と気がつきます。

日本から昨日、今日来たインターン君たちも、いちいち街での出来事を嬉しそうにキャッキャッと、オフィスに戻って来ては報告してくれます。それを聞いてる旧メンバーの「それのどこが面白いの?」って顔(笑)。

結局、初めて訪れた感動いっぱい旅行者がいちばんセンシティブにこの街と日本の常識のギャップに気がつくのかもしれません(僕が日本出張行くたび、いちいち驚くように)。

なかには、渡米間もない語学学生君で、白人に差別された経験すらカルチャーギャップ体験してきたよろしく、嬉しそうだったコもいました(アホやがな)。

日本からのお客さんをアテンドするのも大切な仕事のひとつですが、毎週毎週だとメンドクサイって思ってました(笑 いや、正直、言うとw)。

でも、最近は彼らの反応を見て、気づかされることも多く、楽しくなってきました。「あぁー。そうかぁ、ここが珍しいんだ。ここが新鮮なんだ」と。

>>次ページ 9.11以後増えた日常風景とは?

道端で男性同士が、ディープキスしてると、いちいち目を見開いてガン見するしw (確かに周りの目を気にせず、ふたりだけの世界に浸ってるからいいけど)

地下鉄車内で歌って踊って物乞いするホームレスにいちいち拍手しそうになってるしw (確かに日本のJ-POPアイドルよりはるかに歌唱力あるけど)

そこに食いつくんだ! って改めて気づかされます。

今日、また別の日本から来られたお客さんとカフェでお茶を飲んでいました。

相席していた中年の白人女性2人組が、なにやら深刻な話をしているのが、盗み聞きしていたわけじゃないけど、耳に入ってきます。片方がもう一方の肩に手を乗せ、心配そうに耳を傾け、片方が旦那への不満、子供の育て方の大変さを延々と訴え、後半にはついに泣き出してました。なにか気まずくなったまま僕たちは横で見て見ぬ振り。

ひと通り泣き終わった後、彼女は「ありがとう」ともうひとりに$20札を数枚、手渡していました。「じゃあ、来週のカウンセリングは木曜日、またここでね♪」と、実はカウンセラーだった彼女は足取り軽くカフェを出ていきました。

これも日本から来た人にとっては不思議な光景に見えたかもしれません。

石を投げれば、心理なんとかカウンセラーに当たるこの街では、当然、お客(患者)もその数だけいなければ商売になりません。一見、見た目はわからなくても想像以上に両者(診る人、診られる人)がこの街に潜んでいます。14年前のあの9・11以降、その数は一向に減ってないそうです。

日本から遊びに、仕事に、この街を訪れた人と行動するのは、こちらにとっても新しい発見が多く、最近特に楽しいと思い始めています。

image by: Shutterstock

『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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