日本はどうするべきなのか?
そうは言っても、中国が悪くなることを期待して「何もしない」というわけにはいきません。そこで、Uさまは、こんな提案をされています。
アメリカが中東への関心を低下させた場合、日本のシーレーン確保が困難になると予想されますが、思い切って日本も中東から距離を取るという選択肢はないのでしょうか? エネルギーはアメリカのシェールとロシアに依存を切り替えて。
これ、「中東依存度を減らし多角化する」のは、当然良いことですね。
日本は、「エネルギー自給率100%」を目指せ!
日本は戦前、石油の92%を輸入していました。そして、約80%をアメリカから輸入していたのです。アメリカは、「ABCD包囲網」でこの流れを断ち切った。日本が無謀な戦争を始めた主な原因は、「石油を止められたこと」だったのです。
当時と今で、状況は変わっているでしょうか? あまり変わっていません。日本は、中東を事実上支配しているアメリカとケンカできません。ケンカすれば、アメリカは中東を脅して、「禁輸措置」をとらせることができる。
アメリカが中東から去っても、次の支配者が日本ということはありえません。中国が中東を影響下におさめれば、やはり日本への禁油を強制できるようになるでしょう。
もし日本が第2次大戦と同じ道を歩みたくなければ、「エネルギー自給率」を上げていくしかないのです。ところが日本のエネルギー自給率は、たったの6%(!)。これで「日本の自立!」なんて叫んでも、むなしいだけです。ですから日本政府は、「エネルギー自給率を100%にする!」と決意すべきです。「エネルギー自給」というと、
- 太陽光
- 風力
- 小型水力
- 地熱
- バイオ
などが思い浮かびます。「自給率アップ=安全保障」という観点をもって、これらもどんどん開発、普及させるべきです。さらに、
- メタンハイドレート
- 藻油
を本格的に開発することで、「自給率100%」も視野に入ってくることでしょう。
こういう話、頭から否定せず、「できるかもしれないよね」と可能性を探ることが大事です。アメリカだって、10年前は、「わが国の石油は2016年には枯渇する。どうしよう」と苦悩していた。それが今では、世界一の産油、産ガス国で、輸出まで開始しているではないですか?
アメリカが10年で激変したのですから、日本だってやればできるかもしれません。
image by: Shutterstock
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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