ここにも中国の影。米国に見捨てられた中東で今後起こりうること

 

アメリカは制海権を渡さない?

アメリカは制海権を手放さない

世界的戦略家ルトワックさんは、全国民必読の名著、『中国4.0 ~暴発する中華帝国』の中で、こう語っておられます。

中国は空母を20隻建造しようとも「制海」は不可能だろう。なぜなら彼らがどこにいようとも、すべて港にはアメリカ軍が存在して、その奥の陸地にはアメリカの航空機が駐留し、アメリカの友好国や同盟国に囲まれることになるからだ。
(p141)

そして、ルトワックさんは、「中国最大の弱点」について言及します。

中国の最大の弱点は、アメリカと紛争を絶対に起こせない、という点にある。
(同上)

つまり、「アメリカは制海権を握っているので中国と戦えば必ず勝つ」というのですね。ルトワックさんによると、この状況は、50年たっても変わらないそうです。

う~む。

これに関して、私は二つのことを考えます。まず、「アメリカは本当に制海権を握りつづけるのだろうか?」という疑問です。理由は、

  • シェール革命で、アメリカは中東への関心を失っている。
  • トランプ現象を見ればわかるように、アメリカは、内向き、孤立主義になっている。
  • アメリカの衰退は加速しており、制海権を持ちつづけるパワーを維持できるか疑問、

などなど。

もう一つは、中国もこれからどんどん悪くなっていきそうである。既に、「2015年、実はマイナス成長だったのではないか?」と言われている中国。今後も、1980~2000年代のような急成長は望めないでしょう。成長率はますます鈍化していく。

そうなると、「共産党の一党独裁のおかげで、我が国は高度成長を続けることができるのだ」という政権の「正統性」が消滅する。結局、経済危機は政治危機に転化していく可能性が高い。何が言いたいかというと、「中国は制海権を握れない」というルトワックさんの話も、「そうかもしれない」と思うのです。

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