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街の「ヘルシー」を疑え。低脂肪ダイエットの落し穴

低脂肪、低コレステロールの食事は「健康に良さそう」というイメージを持っている人は少なくないと思います。しかし、英国の団体「health charity」は、そんな常識に警鐘を鳴らす調査結果を発表しています。ドキッ!としたあなたは必見です。

低脂肪ダイエットは間違いだらけ? 天然の高脂肪食品が良い

ガーディアン紙によると、英国のHealthy Charityという団体は「コレステロールを下げるために、低脂肪ダイエットを促すという風潮について、悲惨な健康結果をもたらすだろう」と警告し、飲食業界と共謀する大組織を非難していると報じています。

この動きに沿って、「National Obesity Forum」と「Public Health Collaboration」の2団体は、現代の食生活のガイドラインに対する「徹底的な調査」を要請する動きを見せているということですので、これはタダ事ではなさそうです。

これらの団体は、「食事の間に食べるスナック菓子が肥満を引き起こすのと同じくらいに、低脂肪ダイエットはイギリスの肥満クライシスを促進させてしまうほどの影響がある」と言及しています。

この代わりに、アボカドのようなヘルシーで高脂肪の果実乳製品といった「Whole foods(添加物の入っていない滋養のある食べ物)」にあらためて目を向けるべきだと訴えています。

脂肪を摂取した方が太らない」という主張が議論を巻き起こしているのですが、一体これはどういうことなのでしょうか?

高脂肪の乳製品は心臓を保護する? 

彼らは「ミルクやヨーグルトといった高脂肪の乳製品が心臓を保護し、飽和脂肪酸が心臓病を引き起こす事はない」といった、今までの科学者たちの発表を揺るがすような発言を続けています。

とにもかくにも「低脂肪」「低コレステロールと謳う食品を摂取することは今すぐやめるべきである、と強く主張しています。

そして、2型糖尿病患者の人は、1種類の炭水化物に絞った食生活よりも、高脂肪の食品を摂取する食生活に切り替えるべきだとも。

さらに、砂糖は避けるべきだが、カロリーを計算することと、エクササイズすることによって食べた物を清算できるという思い込みは間違っていると指摘しています。

以前にも記事で紹介しましたが、低脂肪分のものよりも、高脂肪分のものを摂取している人のほうが、糖尿病になる確率が46%も低いという結果が出ています。

では、正しい健康法は一体何なのでしょうか?

精製された炭水化物を控え、ヘルシーな高脂肪食品を摂取するのが効果的

低脂肪の製品を避ける代わりに、精製された炭水化物の摂取を控えめにし、ヘルシーな高脂肪食品を摂取することは「体重増加を避け、ダイエットをサポートする安全で効果的なアプローチ」であるとのことです。

これは「心臓病のリスク」を減らすことにもつながるとのこと。

確かに炭水化物を減らすというダイエットは日本でも馴染み深いですよね。

さらに驚くことに、脂肪たっぷりのミルクヨーグルトチーズを摂取することは肥満になる確率を減少させる」効果があるとのことです。

肉、魚、卵、乳製品、ナッツ類、オリーブ、アボカドなどの、最も天然で栄養価のある食べ物は全て飽和脂肪酸を含んでいます。

商業的な影響によって堕落してしまった現代の食品科学

同紙によると、「商業的な影響によって、現代の食品に対するイメージは退廃してしまった」と指摘。

飲食業界では“健康に関する重大な脅威を象徴している”との議論が巻き起こっているそうです。

英イングランド公衆衛生サービスが発行している「The Eat Well Guide」という、健康的な食生活を促進する方針を示したガイダンスの作成には、多くの飲食産業の関係者が携わっていると指摘されています。

Eat wellのガイドライン

image by: Eat Well

政府と民間業者が共謀して商業的な利益のために作られたガイドラインであるとすれば、恐ろしい話が明るみに出てしまったことになりますね。

National Obesity Forumの代表でもあるDavid Haslam教授はこう話しています。

「毎日患者を診察する臨床医として高炭水化物、低脂肪ダイエットはこれまで世界共通の万能薬のように伝えられていたのですが、それは大きな過ちだったとすぐに気付きました。今までの努力はむなしく、肥満のレベルは従来よりも高くなっているのです」

Public Health Collaborationの立ち上げメンバーであると同時に、心臓病医のコンサルタントでもあるDr.Aseem Malhotraもこう話しています。

「低脂肪ダイエットのガイドラインは恐らく、現代医療の歴史の中で最大の過ちである。これほどまでに、人々の健康に破滅的な結果をもたらすことになってしまったのだから」

現段階で気付いたこと自体はいいことですが、今までの「常識」を人々の頭から払拭することは困難なのかもしれませんね。

「この役に立たないアドバイスは残念ながら永続的に続いてしまうでしょう。このThe Eat Wellのガイダンスは私からしてみたらメタボへの時限爆弾にしか見えません。 肥満や2型糖尿病を覆すためにも、国民に対して至急、従来の考え方が間違っていたと伝える必要があると思います」

一方で、これらの発表に対して異を唱える人もいます。

王立内科医協会に属する、主に肥満に関するアドバイザーも務めるJohn Wass教授は「飽和脂肪酸はコレステロール値を上げるという確かな証拠」があるといいます。

「必要なのはバランスの良い食事、規則的な運動、標準的な体重です。特定の研究だけを引き合いに出す事は、国民を誤った方向へ導いてしまうリスクがある」と述べています。

錯綜する見解と公正で詳細な研究結果を求める声も

別の教授や医師たちからも様々な見解が飛び交います。

「The Eat Wellのガイダンスは全くもって正しい情報だ」


「National Obesity Forumのレポートについては専門家のレビューがされていない報告書だ。さらに、誰が書いたのか、どのような資金繰りがされていたのかが明確に示されていないことも心配だ」

「この報告書は多くの意見とアイディアが書かれたものであって、大局的で確固たる研究の証拠が提供されていない。これらの証拠や調査結果は英国心臓財団(British Heart Foundation )への提出が求められるだろう」と語るのは英国心臓財団に所属するMike Knapton医師。

こうした見解や調査結果をみると、イギリスに肥満が蔓延しているのは食生活のガイドラインが不十分だったというよりは、まだあるべきガイドラインに辿り着いていないことが原因かもしれないですね。

ただ単に「痩せるために脂肪を取れ」、「炭水化物を減らして、カロリーを無視しろ」と言われても少し無責任のような気もします。

この報道に対して、ネットでは様々な反応が。

「いわれなくても脂肪たっぷりの食事をしている僕は正しかった!」

「低脂肪食品はお腹が満たされないからスナックを食べてしまう。高脂肪の食事はお腹いっぱいなるから間食しなくなる」

「低脂肪のwhole foodを食べればいいのではないか。科学の恩恵も受けられるから」

「とにかく健康な食事は節度が必要なのさ」

これらの調査が今後も進められるのであれば、もう少しはっきりとした結果が出るのかもしれません。

「よし、今日から脂肪をたくさん摂取しよう」という気になるには、まだまだ根拠が足りませんが、日常的な「食生活の常識」を一度疑ってみるいい機会なのかもしれません。

image by:
 Shutterstock

source by:ガーディアン,The Eat Well Guide,
 Mirror

文 / 臼井史佳

 

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