2026年に創業100周年を迎える集英社に不穏な空気が漂っている。第2本社ビル(神田神保町3丁目)の建て替えをめぐり、『週刊少年ジャンプ』などで子どもたちに夢を与えてきた大手出版社がエグすぎる「地上げ」に手を染めているとして、地元住民が猛反発しているというのだ。ジャーナリスト・山岡俊介氏が主宰する『アクセスジャーナル・メルマガ版』が詳しく解説する。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/東京・神保町で地上げを進める集英社
東京・神保町で「集英社」が地上げを進めている?
地上げ対象になっているとされる建物に貼られたプレート文字。
「堀内会長の地上げのやり方はだましと強引」
「集英社堀内会長はこの地でどうしても地上げ自社ビルを建てたい」
「この地がシャッター通りになったのはすべて堀内会長と北畠人事部長」
といった書き込みも見られる。
「集英社」は売上高で見た場合、2000億円を超え、「講談社」、「KADOKAWA」(9468。東証プライム)を押さえて堂々第1位の出版社。
2位の講談社(『週刊現代』)、4位の小学館(『週刊ポスト』)のように総合週刊誌は出していないが『週刊プレイボーイ』は有名だし、『週刊少年ジャンプ』といったドル箱の漫画雑誌を持つ。
2020年8月まで社長をしていた堀内丸恵会長は、入社してすぐの1975年、週刊少年ジャンプ編集部で『東大一直線』(小林よしのり)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治)の初代担当編集者として、この2つを大ヒットさせている。
その堀内会長が地上げとは、どういうことか?
第2本社ビル建て替えに「地上げやめろ」地元住民が反発
集英社の本社は一ツ橋2丁目にある「神保町ビル」。
そして、第2本社ビルは神田神保町3丁目にある。
冒頭のプレートが出ていたのは、この神田神保町3丁目の方の一画の靖国通りに面した南側。
神田神保町といえば古本屋街を思い出すと思うが、その集中した一帯の外れ、靖国神社がある地下鉄「九段下駅」と「神保町駅」の中間にほぼ位置する。その一画には城南信用金庫九段支店もある。
それにしても、なぜ「集英社」が地上げ屋と批判されるのか?
第2本社ビルは大通りに面していない。
この第2本社ビルが建ったのは2005年2月のことだが、その際も、靖国通りに面したブロックまで地上げして建てようという思いも集英社側にはあり、したがって、「売ってくれ」と地上げ屋が来ていたという。だが、拒否された。
また、第2本社ビルと、靖国通り側のブロックの本社ビルと接した側の建物は2~3階建てであるのに対し、第2本社ビルは8階建てのため、日照権や、ものすごい圧迫感があることから揉め、集英社側は建物の建設に際して土地を後退(セットバック)せざるを得なかったという。
自社ビル建設を最優先、街の商店はないがしろに…
こうした“遺恨”から約20年、当時の建物も住民も高齢化したなか、集英社は2026年に創業100周年を迎えることもあり、それに合わせて、この第2本社ビルの建て替え=靖国通りまで地上げして、そうなればもっと容積率もアップした高いビルが建てられ、結果、土地価値も増すということで計画していると、反対派住民はいう。
「靖国通り沿いのこの神田神保町3丁目一帯はすでにシャッター通りとなっているところもある。集英社は『少年ジャンプ』で男の子、かつての『週刊明星』などで女の子に夢を売りながら、街の商店と共に町全体を盛り上げる意志はなく、自社ビルの建設しか考えが行き届かない。こうした上層部の考えに、この地で古くから土地に根づいている住民は残念がり、また反発しているのです」(関係者)
(本記事は『アクセスジャーナル・メルマガ版』2024年5月20日号の一部抜粋です。同号では以下の記事を掲載しています。初月無料でお読みになりたい方はぜひご登録下さい)
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