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ハリスがあわせ持つ「柔らかさ」と「攻撃性」。アメリカ史上初の女性大統領誕生にあと一つ必要なピース

大統領選から撤退したバイデン氏から後継に推薦され、民主党の候補指名をほぼ確実なものとしたハリス副大統領。力強い演説でも知られるハリス氏ですが、プロの目にはどのように映っているのでしょうか。今回のメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』ではスピーチのプロフェショナルである森さんが、4年前の大統領選で行われた副大統領候補討論の模様を振り返る形でハリス氏の「各種非言語表現」を分析。その上で、今後の大統領選における注目ポイントを上げています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:カマラ・ハリス氏の非言語メッセージ

カマラ・ハリス氏の非言語メッセージ

4年前のちょうど今頃、トランプvsバイデンの米大統領選が行われていました。

このメルマガでも関連する号外を何本か出しました。

その中に、副大統領候補同士の「ペンスvsハリス」ディベートに関する記事もありました。

そして、当時の選挙結果は、バイデン大統領が選ばれ、ハリスさんが副大統領に就任されているのが現在。

そして今、この「ハリス副大統領」がバイデンさんの代わりに大統領選に出る可能性があるとニュースは伝えています。

カマラ・ハリスさんが大統領になる(なれる)かどうかについては様々な見方があるようですし、次の大統領選に出馬すると決まったわけではありません。ですが、現状では、時の人であることに間違えないでしょう。

そこで、改めて、次の大統領候補になるかもしれないハリスさんについて、4年前の号外記事の引用をしつつ、触れてみます。

*以下は2020年10月9日発行「大統領選は非言語メッセージの闘い(2)ペンスvsハリス副大統領討論会【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外」から抜粋した内容です。

討論会は「新型コロナウイルス」のテーマから始まりました。

ハリスさんから口火を切ります。

冒頭からカメラに向けて、つまり国民に向けて語りかけます。強い目力でぐっとカメラを捉えました。

かなりゆったり話す速度ですがジェスチャーを多く使いながら、ハリス節。冒頭から一気に場を取り込む戦略でしょうか。

ハリスさんのジェスチャーは両手を動かし、表情も豊かに変わる。話す姿が印象に残りやすいですね。

強調したい言葉があるときは、軽く手を握るような感じで親指、人差し指を付け、それを前に差し出します。

指を立てたりするとなんらかの意味を持ちやすいので、このようにする方は多いですね。

~抜粋中略~

ハリスさんがペンスさんのお話を聞く際は、笑顔で首を横に振ること、しばしば。

(それはちがうわよ、副大統領候補)そう言いたいかのような非言語表現。

首振りだけで足らないときは、口を開けて笑顔になりながら片方の髪をかきあげ、耳にかけなおました。

この動き、2回くらい見ることがありました。

相手の話に言いたいことがある。

そんな気持ちを抑えて抑えて…のようにも見えました。

人は自分に触れることで落ち着くことができます。ですからこれも、ご自身の気持ちをコントロールする一つの仕草かもしれません。

普通、女性が髪に手を触れると、ちょっと魅惑的に見えがち。ですから日本人の女性エグゼクティブには絶対オススメしない仕草ですが、カマラ・ハリスさんだと、そういう印象はあまりしませんでした。

これはある意味、この方の強みではないでしょうか。

さっぱりした姉御肌のような雰囲気をお持ちですから、上司として居てくれたら、頼りになりそうな。何かあったら、笑い飛ばされそうな。

~抜粋中略~

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アメリカ政治に精通されている早稲田大学の中林美恵子先生の近著(『沈みゆくアメリカ覇権』小学館文庫)によると、ハリスさんは気性の激しい女性らしい、などと書かれています。

もしかしたらもしかしたら、将来の初の女性大統領になるかもしれないのですから、興味は尽きません。

今日のハリスさんのお召し物は紺のインナーと、色は黒でしょうか、テイラードジャケット。

これまでのお写真を見ても、インナーとジャケットの色を合わせるのがお好きなようです。

そして白い大粒パールのイヤリングとネックレス。笑顔になると白い歯が光ります。

舌鋒鋭くても、その分、メイクやヘアスタイル、アクセサリーで柔らかさを出す。この点は女性リーダーの強みかもしれません。

くっきり書いた弓形の眉は、話す際にもよく動く。アイシャドウ、アイライン、そして、つけまつ毛(あるいはエクステ?)で目線がバシッと強調されます。

その目で、カメラ、相手、司会者、その3方向への目線を余裕でうまく使い分けて話してました。

~抜粋中略~

時折、ハリスさんが話しているところにペンスさんが割り込んで反論しました。

ハリスさんは「副大統領、私が話しているんですから(Mr.Vice President, I’m speaking)」と何度もペンスさんを制しました。あえてゆったり、発していました。

舌鋒鋭いハリスさんならもっと強く出られるでしょうが、感情をコントロールしていた印象でした。

あえてゆっくり話せば話すパワーをコントロールできます。

そして余ったエネルギーは、目力と手の動きに込め、カメラに向けて有権者へ訴求する。

改めて4年前のハリスさんの各種非言語表現を見てみると、「気の強さ」のようなものが強く感じられます。

ハリスさんの話し方はジェスチャーなどの動きが多くアクティブです。若さ、強さ、パワーを感じさせるデリバリーの持ち主。

一方、アクセサリーや髪型は古典的とも言える女性らしさが滲みます。

肩にかかるほどの長さの髪はソフトにカールされています。

真珠のネックレスなどもお好きなようで、それらの非言語イメージからは「柔らかさ」が感じられます。

服装などからは女性的な「柔らかさ」を感じさせ、一方、話し方においては正反対の「攻撃性」すら感じられます。

柔らかさと攻撃性、この、一瞬、かけ離れたようなイメージがあることが存在としてのインパクトになります。

この点は、副大統領となった今も、大きくは変わっていないように思います。

しかし大統領というトップリーダーの立場ならば、「強さ」があることは必須ですが、それだけでは難しいそうです。

何が必要か?

ある解説者は「ハリスさんには包容力がない」と言っていました。

トップリーダーとして清濁合わせ飲む、反対派をも取り込めるような器、そういった「人としての大きさ」のようなものが求められるのでしょう。

もしもハリスさんが大統領候補として正式に任命されたら、ぜひこの点がどのように引き出されるのか?

大統領選は非言語メッセージでの戦いでもあります。

政策はもちろんのこと、それをどう表現するか?言葉選びや話し方、そして服装などの非言語にも大いに注目したいところです。

(この記事はメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』2024年7月22日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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image by: Ringo Chiu / Shutterstock.com

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清泉女子大学英文学科卒後、大手印刷関連会社で勤務。その後、ジャズボーカリストの夢を叶えるが、挫折。外資製薬会社に転職しマーケティング部でハードな業務に取り組む中、外国人のスピーチやプレゼンに多く触れ、日本人リーダーの発信力向上の必要性を痛感。30年以上に渡る声の経験にマーケティング、イメージコンサルティング、コーチング、リーダーシップ各論を掛け合わせ、2011年「ボイスイメージ®コンサルティング(VIC)」メソッドを開発して独立。業務で聞いたクライアントのスピーチプレゼンの数は1万回以上(延べ数)。顧客の可能性を引き出すスパルタトレーニング、わかりやすい理論と分析、柔軟に対応できるコンサルティングを得意とする。

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