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「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」台湾総統就任式の当日に日台を恫喝した中国“焦りの表れ”

1月の総統選で中国寄りの候補を破り当選し、5月20日に台湾の第8代総統に就任した頼清徳氏。その就任式に日本から多数の国会議員が駆けつけ出席したことを受けた駐日中国大使が、日本国民を恫喝するかのような発言を口にしたことが大きく報じられています。今回、台湾出身の評論家・黄文雄さんが主宰するメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、中国大使が強い言葉で日本人議員の就任式参加を非難した背景を考察。さらに大使の発言に同調した鳩山元首相の姿勢を強く批判しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】台湾総統就任式で日本に恥をかかされた中国の歯ぎしり

中国大使が日本国民を恫喝。台湾総統就任式で潰されたメンツに激怒の習近平政権

「中国の分裂企てれば、日本の民衆は火の中に」 駐日中国大使が発言

5月20日、台湾の頼清徳総統の就任式が行われました。世界からは51の国と地域から500人を超える代表団が参列。また、日本からは超党派の国会議員で構成される「日華議員懇談会」の31人が出席しました。共産党を除く全ての会派が出席したことになり、この数は過去最多です。

日華懇・古屋会長 日台関係の信頼「非常に厚い」 総統就任式に出席/台湾

さらに頼清徳総統は、日本の訪問団のみ昼食会を招き、懇談しました。いかに新総統が日本を重視しているかがわかります。

しかし、これが気に食わない中国は、20日、在日中国大使館が日本の政治家や学者を招いた座談会で、呉江浩・駐日中国大使が、日本の国会議員の総統就任式出席を「公然と台湾独立勢力に加担するもの」と非難し、さらに「日本という国が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」などと述べました。

これほど強い言葉で批判するというのは、よほど日本の国会議員の参加が気に食わなかったのでしょう。

近年、日中の記念式典といえば、2022年9月22日に東京で行われた「中華人民共和国成立73周年と国交正常化50周年を祝うレセプション」ですが、このときに参加した国会議員は、二階俊博氏や山口那津男氏など、いわゆる「媚中派」といわれる人たちでしたが、東京で行われたにもかかわらず、国会議員は30人ほどしかいませんでした。

それに比べて、今回は総統の就任式とはいえ、海外で行われたにもかかわらず、しかも国交がない台湾に対して、30人以上の国会議員が参加したのです。加えて、就任式当日には東京都内で台北駐日経済文化代表所(台湾の大使館)主催の祝賀レセプションも開かれ、自民党の萩生田光一氏や国民民主党代表の玉木雄一郎氏など、こちらにも複数の国会議員が参加しました。中国としては面子丸潰れもいいところでしょう。

東京で新総統就任の祝賀イベント 謝駐日代表、台日関係の深化に期待/台湾

台北駐日経済文化代表所の祝賀レセプションでインタビューに答えた萩生田氏は、呉江浩・駐日中国大使の批判に対して、「日本華僑総会のメンバーは自らの意思で台湾に行き、総統就任式に参加したのであり、他国がコメントする権利はない」と反論しました。

日華懇訪台中國崩潰 萩生田:他國無權置喙

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中国大使館の座談会に出席した「いつもの中国派」の方々

ちなみに、中国大使館のほうの座談会には、社民党の福島瑞穂党首や、鳩山由紀夫元首相など、「いつもの中国派」の方々が出席したようです。そのような方々は、大使が「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」などと発言したことに、反論したのでしょうか。

報道によれば、鳩山氏は「日本は台湾が中国の不可分の一部であることを尊重しなければならない」と呉氏の主張に同調したそうです。そればかりか、岸田政権が防衛費増額や敵基地攻撃能力保有を決めたことを念頭に、「メディアが日本政府に忖度する関係の中で、国民にも中国脅威論、台湾有事との言葉が大変浸透してしまっている」とまでお追従したそうです。

中国の呉駐日大使、日本が「台湾独立」加担なら「民衆が火の中に連れ込まれる」と警告
中国大使主催の座談会で鳩山元首相が日本に懸念表明 「メディアの忖度で中国脅威論浸透」

日本国民の生命を守るべき国会議員や元首相が、中国の恫喝に「ごもっとも」首肯するばかりであれば、それは「売国行為」以外の何物でもないでしょう。

それはともかく、独立志向が強い頼清徳氏に対する、中国側の警戒は相当なものです。加えて、就任式での頼清徳氏のスピーチも、「台湾は中国の一部」を否定する内容でした。「私は中国に対し、台湾への言論での威嚇や武力による挑発をやめるよう求めます」「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属していないのです」と、きっぱり言い切っています。

台湾の民主主義を守り、世界の民主主義国のMVPにしたいと語るなど、独裁専制の中国とは相容れないことを強調しました。頼清徳氏のスピーチ全文は以下の読売新聞で読むことができます。

「台湾を民主主義世界のMVPに」…頼清徳・台湾総統の就任演説全文

これからも中国の嫌がらせは続くでしょう。しかし、中国が恫喝を強めれば強めるほど、台湾は中国から離れていきます。また、日本を含め他国の台湾へのシンパシーはより強固になっていくはずです。

中国がわざわざ新総統就任式の日に座談会を開き、台湾と日本を強く批判したこと自体が、中国の焦りの表れなのです。

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