内外で悲観論が広がる中国経済。「中国を売り、日本を買う」と決めた国際社会の決断は以前の記事でお伝えしたとおりですが、窮鼠猫を噛む習近平は、国内の不満を外に向かわせるため危険な賭けに出るかもしれません。これから5月までの間に、台湾周辺の情勢は一気に緊迫する可能性も。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』が、日本周辺における地政学的リスクの高まりについて詳しく解説します。
フィリピン沿岸警備隊に中国船が「体当たり」
このところ、中国船による事故や危険行為が非常に活発化しています。
3月5日、フィリピン沿岸警備隊の船が中国海警局の船から放水され、衝突されるという事件が起こりました。
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フィリピン船は、同国が領有権を主張する南シナ海のセカンド・トーマス礁に座礁させた軍艦への補給任務支援に行っていました。
すると中国海警局の船が放水で嫌がらせをはじめ、さらには衝突してきたということです。
この放水により、フィリピン側には4人の乗組員がケガをしたとのことです。この補給任務で負傷者が出るのは初めてのことだそうです。
台湾でも中国海警局の態度が硬化、緊張高まる
これに先立つこと約3週間前の2月14日、台湾の金門島付近で違法操業をしていた中国漁船が、台湾当局の取り締まりを受けて逃亡、追跡劇の途中で漁船が転覆し、2人が死亡するという事件がありました。
この事件を受けて、中国海警局は金門島付近の海域を航行している台湾の観光船に対して、臨検を行いました。
臨検は30分ほどで終わり、中国海警局は引き上げましたが、乗船していた観光客は、本土に連行されるかもしれないということで、気が気ではなかったとのこと。
違法操業していたのは中国側の漁船でしたが、中国人が2人亡くなったことで、中国の態度が硬化しました。
現在もこの事件の余波が続き、金門島付近では緊張が続いています。
3月5日に開幕した全国人民代表大会で李強首相が演説を行い、台湾統一への意欲を示しましたが、昨年使用されていた「平和統一」という文言がなくなっていたことで、この事件が影響しているのではないかという意見もあります。
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ただし、現在の中国経済は内外で悲観論が広がっており、また全人代でも強力な経済対策が示されませんでした。
それだけに、国内の不満を外に向かわせるため、わざと騒動を起こしている可能性も否定できません。