「中国を売り、日本を買う」と世界は決めた。日本経済と株価の黄金時代が間もなく到来する訳

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「中国に投資するくらいなら日本に投資したほうがいい」と考える外国人投資家や多国籍企業が急増中。中国共産党の人権軽視や統制経済を嫌ってのこの動きについて、「ようやく日本も“日本ダメだ論”から脱却すべきときがきた」と指摘するのは、台湾出身の評論家・黄文雄さんです。今回は、金融・実体経済の両面で加速するジャパンシフトの最大要因とも言える中国経済の窮状を、事例とデータで詳しく見ていきます。(メルマガ 黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より)

外国人投資家にとって危険すぎる中国株式市場

アメリカのダウ平均株価が史上最高値を更新し、日本も日経平均株価がバブル時代の過去最高値に迫る勢いで上がっています。

その一方で、中国の株価は低迷がつづき、香港と中国を合わせた時価総額は、アメリカ株式市場の時価総額より38兆ドル(約5641兆円)も下回っているそうです。

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中国は2015年6月の上海株の暴落時、中国政府は大口株主に対して株の売却を禁止したり、空売りを仕掛ける投資家を逮捕するなど、およそ通常の自由市場では考えられない株価維持政策を行ってきました。

政権の思惑で売買に制限をかけるというその姿勢に、海外投資家は中国株のリスクの高さを認識しました。独裁国家の恣意的な介入があるなら、誰も市場の動向を読むことはできません。

また、アリババのように、経営者ジャック・マーが政権に批判的な言動をしたことで、子会社のアント・グループの上場が阻止されるといったことも起こっており、とても投資できる国ではないという理解も広がりました。

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そのため、2015年の暴落時以来、中国株はずっと低迷を続けてきたわけです。自由経済と統制経済の、当然の帰結とも言えるでしょう。

中国の不動産バブルはすでに崩壊

そして現在の中国では、不動産バブルが崩壊し、若者の失業率は表向き20%程度ですが、実質は46%以上あると見積もられています。

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結局、資本主義は中国には無理だったということです。中国がWTOに加盟したのが2001年、人民元がIMFの特別引出権(SDR)の構成通貨に組み入れられ国際通貨となったのが2016年。

西側諸国は中国が豊かになれば、自由主義経済、民主制度に移行していくと思って、資本主義経済の枠組みに招き入れたわけですが、それは全く見当違いでした。

むしろ豊かになればなるほど、自由主義経済から遠ざかり、国内では統制経済を、海外に対しては武力恫喝や「借金の罠」による植民地化を進めていくようになったわけです。

「中国化した香港」から逃げ出す投資家たち

とくに香港の株式市場では、ハイテクなどの革新的な企業が上場していますが、2005年の安値水準近くまで値を下げています。

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香港では2020年に国家安全維持法が施行され、実質的に香港の一国二制度は廃止され、香港人による自治は終焉しました。ハイテク株であっても、そのような統制された社会の株式市場では、まったく魅力がないということなのでしょう。

香港国家安全維持法では、当局批判でも逮捕される可能性があり、また、海外にいる外国人にも適用されるということで、非常に危険な法律です。

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日本経済と中国経済は逆相関にある

中国では、不動産バブルが崩壊し、現在はデフレ危機に陥っています。かつて日本はバブル崩壊後、長年のデフレに苦しみましたが、そのデフレの一因は中国の存在がありました。

冷戦が終わり、グローバリズムが進んだことにより、前述したように西側諸国は中国を自由経済件の一員に組み入れました。

これにより、各国は労働賃金の安い中国への投資を膨らませ、中国は「世界の工場」とよばれるほど、世界の生産基地となったわけです。その一方で、日本は中国製との価格競争に巻き込まれ、デフレが加速していきました。中国へ製造拠点を移す日本企業もどんどん増えていったわけです。

いまは、その流れが逆転しているといっていいでしょう。今度は中国の不動産バブルが崩壊し、その一方で日本の株価が史上最高値を目指すレベルにまで少々したわけです。そのことからも、日本のデフレの一因として、中国があったことがわかります。

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