MAG2 NEWS MENU

安倍総理が忘れている、バラマキに頼らない「地方再生」とは?

地方の時代といわれてから久しいですが、人口の大都市部への集中が止まりません。この流れ、どうしたら改善することができるのでしょうか。自らも長野県松本市という地方都市出身の国際関係アナリスト・北野幸伯さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、地方を再生する簡単な方法を提示しています。

地方を再生する簡単な方法

日本は世界で一番いい国。

しかし、そんな日本にも、いろいろ問題はあります。

「大都市に人口が集中し、地方がさびれている」問題もその1つ。

これ、実をいうと、世界的な問題なんですね。

国の発展段階で、まずほとんどの人が農業で食べている。次の段階で、製造業やサービス業に移行していく。その過程で農家の子供たちは、大都市の大学を出ること、大都市の企業に就職することを目指しはじめます。

さて、国交白書は語ります。

国交白書「少子化阻止へ地方移住を」 SankeiBiz 7月1日(水)8時15分配信

 

太田昭宏国土交通相は30日の閣議に、2014年度の国土交通白書を提出した。人口減少のペースを緩めるには、東京一極集中を是正し、都会から出生率の高い地方への移住を促す必要があると提言。特に地方に魅力を感じながらも都市に住む人々の流動性を高めることが重要だとした。

 

白書では、東京や大阪などの都市部では通勤時間が長いなどの要因で、出産・子育てと仕事の両立が難しいとした上で、地方では3世代同居や保育所への入りやすさもあって、出生率や女性の就業率が高くなっていると分析した。

 

東京一極集中を是正し、都会から出生率の高い地方への移住を促す必要があると提言。

同感です。

>>次ページ 地方暮らしの7つのメリットとは?

地方暮らしのよさ

私が生まれたのは、国宝「松本城」で有名な長野県松本市です。NHK朝の連続ドラマ小説「おひさま」や、小説・映画「神様のカルテ」などの舞台としても知られている。私的には、「世界一美しい町」と思っています。

ま、それは私がそう思っているだけで、皆さんは皆さんの故郷が「世界一」と思っておられることでしょう。

地方には地方のよさがあります。思いつくままにあげると。

このようにありあまるメリットがありながらも、人はなぜ、皆東京、大阪、名古屋など大都市を目指すのでしょうか?

地方には「仕事があまりないから」でしょう。

私のある知人が東京の会社を首になり、松本に戻ってきたそうです。やはり、かなり長い期間仕事が見つからず悩んでいました。

地方は、「仕事がない」。だから、子供たちは、仕事のある大都会の大学を目指し、卒業後はそこで就職し、残ってしまう。実家に戻るのは年に2回ほど。こうして、都市への人口集中と、地方衰退が加速していくのですね。

結局、地方再生のカギは、「雇用を創出することができるかどうか」にかかっているのではないでしょうか?

>>次ページ 実は地方に仕事を作るのは簡単だった

地方に仕事を生み出す簡単な方法

これ、簡単なんです。

地方の法人税を下げればいい。

まず、東日本大震災の被災県は、今後10年ぐらい「無税」にしたらいかがでしょうか? もちろん、「現地で一定数の人々を雇用すること」が絶対条件です。「節税のために無税の福島県に籍だけおいて、雇うのは東京の人」では意味がありません。

「被災県の法人税を無税に」

これが、最良の復興支援だと思います。

そして、人口の減少が著しい県とか市は、法人税を5%とか10%とか。とにかく「人口の減っているところほど法人税を安くする」と決めればいい。

そうすれば、大都会から、人口減少県に、企業が引っ越してくるでしょう。仕事があれば、「俺もじいちゃん、ばあちゃん、お父さん、お母さんのいるこの町で生きていこうかな」となります。

地方再生は、最大の子育て支援

幸い私は自由業なので、積極的に子育てに参加しています。それでわかるのは、「女性は本当に大変だ」ということ。

最近、自分の子供を殺すお母さんがいるのですね。これに関するネットのコメントを見ていると、「わかる」とか「理解できる」というのがある。

これ、「恐ろしいことだ!」「最近の女性は甘えている!」などと男性目線のひと言ですませてはいけないと思います(もちろん、「恐ろしいこと」に違いありませんが)。

女性が1人で子育てしていたら、誇張でなく、理性を失いそうになると思います。

赤ちゃんはもちろんかわいいですが、ずっと泣かれつづけたり、赤ちゃんが原因で超寝不足がつづくと、わが子ですら憎らしく思えることがあるのでしょう。

逆に両親とかダンナさんなどからサポートがある場合、お母さんの心に余裕ができ、赤ちゃんのかわいさをより実感できるようです。

19歳からモスクワにすむ私がいうのもなんですが、「おじいちゃん、おばあちゃんのそばで子育てするのが一番楽で幸せ」だと思います。

おじいちゃん、おばあちゃんに、時々預かってもらう。孫と過ごせるおじいちゃん、おばあちゃんは幸せ。時間と心に余裕ができて、お母さんも幸せ。ダンナさんも幸せです。

地方に雇用を創出し、地方移住を促すことで、お母さんの人生も楽になることでしょう。

>>次ページ 円安が地方に与える影響とは?

中国から、日本企業に帰国してもらう

中国の人件費があがり、インドネシアやベトナムなどに生産拠点を移す企業が増えています。しかし、最近は円安のおかげで、日本に戻ってくる企業もいるのですね。日本政府は、この流れを加速させなければなりません。

「中国の人件費が上がっています。円安で中国生産のメリットもさらに減っています」

この2つにくわえ、「福島県などに生産拠点を移せば、法人税ゼロですよ」となれば、中国から日本企業が大挙して戻ってくることでしょう。

そればかりか、欧米企業ですら、「日本で生産したほうがよい」となるかもしれません。

「非正規社員が約4割」
「あまりに長い労働時間」
「あがらない賃金」

これらの諸問題は、結局「雇用が増えること」で改善にむかうでしょう。

「欲しい人が多ければ高くなる」
「雇いたい企業が多ければ、給料は上がっていく」

のが経済の法則ですから。

政府は「スローガン」だけでなく、「実行」を

「被災県の法人税をゼロにします」

わかりませんが、これに反対する議員さんっているのでしょうか? 政府は、「地方創生」とかお題目ばかり唱えてないで、やってみたらどうでしょうか?

もう一度国交省の主張。

東京一極集中を是正し、都会から出生率の高い地方への移住を促す必要があると提言。

これに関する具体的な提言でした。

「ホントにそうだよな」と思われた方は、安倍総理に教えてあげてください。

image by: Shutterstock

『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。
≪登録はこちら≫

 

沖縄移住ガイド (住まい・職探しから教育まで実用情報満載! )

 沖縄移住ガイドの決定版

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け