ちょっとのミスで全てがパー。自作の遺言書が無効になる「落とし穴」

 

なお、つい先日、押印の代わりに花押を記載した遺言書が無効だとの、最高裁の判決が出ました。花押とは、昔のサインのようなものだとイメージしてください。サインであれば、押印より氏名の自書に近いものなので、無効だと判断されたのでしょう。

実際は印鑑など実印でなければ誰でも用意できてしまいますので、要件の一つとして押印が入っているのは少し不思議な気もしますが、法律に明記されている以上は、やはり押印がなければ有効との判断は困難です。

自筆証書遺言を作成の際は、無効なものとならないよう、要件を満たしているかどうか、しっかりと確認するようにしましょう。

このように、自筆証書遺言は要件が細かく定められています。またこのほかにも、訂正の仕方等にもルールがあり、一つ間違えるとあなたの意思が実現できなくなってしまいます

また、自筆証書遺言は相続が起きると家庭裁判所での検認が必要になります。検認とは遺言書の開封式のようなもので、これを行わなければ、遺言書を手続きに使用することはできません。一方、公正証書遺言であれば、無効になる危険性はほとんどなく、また、検認も不要であるため、スムーズに手続きに入ることができます。

お金もかからず比較的作成しやすい自筆証書遺言ですが、無効になる危険性や、相続が起きた後にかかる時間や手前を考慮したうえで、公正証書遺言で作成することを検討されることをお勧めします

image by: Shutterstock

 

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