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遺言者の死亡時、相続人がすでに亡くなっていたら遺産はどうなる?

あなたが生前に大切な人を思って書き残した遺言書。しかし、悲しいことに相続人が先に亡くなってしまうこともあり得ない話ではありません。無料メルマガ『こころをつなぐ、相続のハナシ』の著者で行政書士の山田和美さんは、そんな不測の事態に備え、「予備遺言」を書くことを勧めています。あまり聞き慣れない「予備遺言」、一体どういうものなのでしょうか。

不測の事態に備える、「予備遺言」って何のこと?

皆さんは、「予備遺言」と言う言葉を知っていますか? 初めて聞く、という方もいるでしょうし、「なんとなく聞いたことがあるような…」とう方もいるでしょう。実はこれ、遺言書を作成するうえで必須の知識です。では、予備遺言とはいったい、何なのでしょうか。

一般に、相続の発生は世代順に起こります。しかし、あまり考えたくないことかもしれませんが、親より先に子が死亡する可能性もゼロではありません。例えば、遺言書で、「自宅不動産は長男に相続させる」という内容を書いたとします。その後、自分よりも先に長男が死亡したら、自宅不動産はどうなるのでしょうか。

誤解も多いのですが、遺言者の死亡時、長男がいなければ、自動的に長男の子に権利がうつるわけではありません。この場合には、長男の子である代襲相続人と、その他の相続人が話し合って、「誰が自宅不動産を引き継ぐのか」を改めて決めることになります。せっかく遺言書を書いたのに話し合いが必要になるのです。話し合いに納得しない人や、連絡が取り辛い人がいれば、どんどん手続きが長引いてしまいます。

ここで登場するのが予備遺言です。予備遺言とは簡単にいえば、不測の事態に備えて書く遺言書の補足事項です。例えばこの場合には、「もし遺言者より先に長男が死亡していた場合には、長男に相続させるはずだった財産は、長男の長男に相続させる」というような文言を定めておけば良いのです。

こういった不測の事態に備えた記載があれば、遺言者の相続時に長男が生きていれば自宅不動産は長男のものになりますし、万が一先に長男が死亡していた場合でも、長男の長男が引き継げることになるのです。

ちなみに、もし自分より先に長男が死亡したら、その時に改めて書き直せば良い、と考える人もいるかもしれません。しかし、その時遺言者が存命であっても、仮に認知症等になっていれば書き直すことはできないのです。

遺言書を書くときは、様々な事態を想定の上漏れのないように記載することがポイントです。「予備遺言」についてもぜひ、知っておいてくださいね。

image by: Shutterstock

 

 『こころをつなぐ、相続のハナシ
行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジン。「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。
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