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保育所付きマンションを「築4年」の中古で買ってはいけない深い理由

戸数が100戸以上の大型マンションは、駅から近かったり管理費が安かったりとメリットも多いのですが、中でも最近人気なのが保育園併設型。しかし、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、そこに大きな落とし穴があると注意を促しています。

保育園があるはずが…

こんにちは! 廣田信子です。

先日、取材で、「施設が充実していることが売りの大型マンションを中古で購入するときの注意点は…」と聞かれました。

取材の趣旨は、ミニ店舗やフィットネスクラブやスパのような施設があると、運営のための経費が掛かり、管理費が値上げになることがあるから、気をつけなくて買わないとダメ話を具体的に聞きたい…と。

う~ん。

当初は、売り手であるディベロッパーが運営費用の一部を負担していたけど、それがなくなると施設利用料が値上げになったり、将来の改修費用をみていなくて修繕積立金が値上げになることは考えられ、意見が割れて合意形成が大変ということはあるけど、管理費が上がるということは私はあまり聞いたことはないです…いうと、「どうしてですか~」と。

例えばミニ店舗、運営に費用が掛かり過ぎるとなったら管理費を上げてまで運営を続けることはあまりなく、総会で、ミニ店舗をやめようという方向に決議されることが多いですから。

カフェやフィットネスクラブのようなものは、運営会社を入れ替えて利用率を上げる等の努力をしていくでしょうし…。

今の大型マンションの理事会は、経営感覚があってそういうことにシビアですから、管理費を上げるというより、経費を絞る収益を上げるという方向にいくので、それによって管理費が値上げになる…ということはあまりないのでは。

収益を上げるために、利用者をマンション居住者に限定でなく外部者も利用できるようにするかどうかで意見が分かれることはありますが…。

あっ、でも、逆に、あると思っていたものが途中でなくなるということはあるので、そこは注意が必要かな~というと、「え、どういうことですか」。

ミニ店舗などは、こんなにコンビニがあふれてネット通販で何でも買える時代なので、廃止されても、そんなに居住者に大きな影響はないでしょうが…(実際に廃止になったところも多いです)、一番、気を付けてほしいのは、保育施設があります…という売りに惹かれて購入することです。

これは、途中でなくなってしまうこともあり、それは、もう、共働き家庭にとって死活問題なので、そこは気を付けて下さいね…と。

「なんで、なくなっちゃうんですか」

保育園探しで苦労した経験がある方には今さらですが、大型複合マンションで、認可や認定の保育園の施設を併設している場合、これは、自治体からかなりの補助金が出ていて、こんな保育園不足の時代ですから、ずっと継続していくことはほぼ間違いないですが、でも、これは、マンションの中にあるからと言って、マンションの住民優先ではありません。自治体の基準で、必要度の高い人、つまり点数が高い人から順に入所の権利があるのです。

切羽つまっている人は、無認可保育園に、お給料なんて全部吹っ飛んでしまうぐらいたいへん高額な保育料を払ってでも何か月か保育園に入れて(無認可保育園での保育実績があると認可保育園入所の点数が加算されるので)認可保育園入所を目指します。

で、マンション内に分譲当初から設置されている無認可保育施設は、そんなに高い費用でなく、マンション住民優先で子供を預かってくれるので、それは保育園探しに不安を抱えている人には魅力的な施設で、それに惹かれてマンションを購入する人も多いのです。その需要を狙ってディベロッパーは保育施設を付ける訳です。

でも、誰が、その保育施設の運営費を払っているかです。ディベロッパーが当初の5年間(の場合は多いです)その運営費用のかなりの部分を持って、運営会社を誘致しているのです。

じゃあ、5年たったら、どうするかです。もし、その保育施設を続けてもらうには、それ相応の運営費用を管理組合が負担しなければならないのですが、簡単に管理組合が負担できる金額じゃないので、たいていは5年で終わりです。

一時保育やマンション外の希望者も入れ、利用料を値上げして何とかしばらく続けてもらうこともありますが、自立して無認可保育園を運営できるようになることはかなり難しいことなのです。

5年というと、新築時に切羽詰まって保育園を求めていた人の需要は何とか満たせますが、中古で築4年目で保育施設に惹かれてマンションを購入すると厳しい現実が待っています。

実際に、保育園廃止を巡って大問題になっているマンションもあります。

image by: Shutterstock

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
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