7月13日、「鉄の女」と呼ばれた故・マーガレット・サッチャー氏に続きイギリスで歴代2人目となる女性首相、テリーザ・メイ新首相が誕生しました。「氷の女王」との異名を持つ彼女、かなりの強者として知られているようですが、問題山積のイギリスをどの方向にどのように導いていくのでしょうか。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で嶌さんが、サッチャー氏と比較しつつ分析しています。
英国2人目の女性首相誕生 ~サッチャー氏の功罪とメイ氏の宿題~
イギリスではサッチャー氏以来、2人目の女性首相としてメイ氏が就任。メイ氏の課題はEU離脱後、これからどういう協定をEUと結んでいくか。メイ氏は2年かけてゆっくりすすめていきたいと言っているが、ドイツやフランスは「それでは遅すぎる」と早くも火花を散らしている。
メイ氏のスピード組閣は好感を受け、イギリスの市場は一時株価や為替が元の状況に戻りパニックから立ち直ったように見えるが、これは一時的な話で本格的な交渉となると困難な状況となろう。そこで今回は、サッチャー氏とメイ氏、2人の女性首相を比較しながらイギリスの今後についてみていきたい。
どちらも強い、鉄と氷
どちらも議論が好きで女性としては強い方で、2人は非常に似ている面があるように思う。ニックネームを比べると、
サッチャー氏:ソ連に対する強行姿勢やフォークランド紛争におけるアルゼンチン付近への軍隊派遣などに象徴されるように有名な「鉄の女」
メイ氏:派閥を作らず、無駄話をせず、クールな姿勢で政策に対しても厳しいことから「氷の女王」
メイ氏はサッチャー氏が初の女性首相となった時に「サッチャー氏が首相になる前に、私が首相になりたかった」(当時22歳)と言っていたようで、対抗心があったのだろう。
非常に似ている二人の経歴
- 2人ともオックスフォード大学を出た後一般の仕事を経て、政治家に
- 首相就任時の年齢も、サッチャー氏53歳、メイ氏59歳と近い
- 首相以前は、サッチャー氏が教育相を4年、メイ氏が内相を6年務める
- 2人とも閣僚時代から自分の主義主張を貫く強行政策の強硬派として有名
サッチャー氏:教育相時代、「小さな政府」による財政再建を目指し学校でのミルクの無料配布をやめて、批判を浴びる
メイ氏:内相時代、不法移民に対し厳しい姿勢を取り「国に戻らなければ逮捕する」と書いたバスを走らせて物議を醸した
サッチャー氏が台頭してきたのは70年代で、イギリスが一番大変な時期。今後のイギリスをどうやって作っていくかということで、「自由化路線」「小さな政府」を掲げた。