「鉄の女」サッチャーを超えるか?「氷の女王」メイ英国新首相の手腕

 

手腕が試される

メイ氏の性格からすると、強硬姿勢といわれるがサッチャー氏と同様に妥協しないというわけではなく調整型でもあると言われる。そこがこれからのメイ氏の課題であろうと思う。国益を確保しながらも、どうやってEUから離脱するか。一方で、移民の制限が多くの国民の要求であるため、これをEUにどう呑ませるか。EU離脱後も金融機関や企業がイギリス内に留まり続けられるか。さらに、スコットランド等の独立を阻止できるのか。NATOなど安全保障との連携の維持ができるかどうか。これらをEUと交渉しなくてはならない。達成できるかどうか、メイ氏の手腕が問われるところだろう。

双方どこまで妥協できるのか…

これまでのメイ氏の手腕を見ると、困難を取り交ぜながらやってきた経緯もある。キャメロン政権時には内相として政局的に妥協したようなところもありながらも、先に紹介した不法移民排斥を訴えたバスを走らせるといったようなこともあった。さらに、テロ対策として過激思想を通報するシステムの導入など激しいこともいろいろとやってきた。

その一方で、どうやって調整するかということもメイ氏にとっては非常に重要で、離脱後のイギリスに住めるかどうかについてもEUとの交渉次第だなどと言い出すなど、妥協の姿勢も見せている。

EU側は、EU市場に参加したければ移民の受入は不可欠、交渉の妥結を急げと表明。そういう意味では、メイ氏はサッチャー氏よりは調整型なのではないかと思う。この調整がEUに対してなのか、イギリス国内でのものなのかによって、イギリス国内での反発も出てこないとも限らない。いずれにしてもメイ氏は、相当難しいかじ取りとなり、ドイツフランスがどう妥協するかということも注目だ。

(TBSラジオ「日本全国8時です」7月19日音源の要約です)

image by: Charlie Bard / Shutterstock.com

 

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