中国高速鉄道はなぜ信頼されないのか? 車両設計にある大きな矛盾

 

問題はブレーキです。

日欧のオリジナルと、中国仕様の大きな違いは「接触式ブレーキ常用するという点です。日本や欧州の高速鉄道の場合は、現在は「接触式ブレーキ」の使用をできるだけ避けるような設計になっています。

その方法は2つあって、1つはブレーキをかける場合には、モーターを発電機にすることでブレーキ力を得るという方法で、そこでできた電気は架線に戻すという省エネ思想です。これは「回生ブレーキ」というものです。

もう1つは、反対に電気を使って強力な電磁石を作り出し、レールとの間で抵抗力を発生させたり、車輪についたディスクの回りに電磁的な抵抗力を作ったりするもので「渦電流式ブレーキ」と言われるものです。

日本は、一時期300系や700系などで渦電流式を採用していたこともありますが、現在の最新モデルの場合は常用ブレーキのほとんどは「回生ブレーキ」になっています。普通に走っているときは、回生ブレーキでほとんどの制動力を得る一方で、地震などの緊急時には強力な非常用の接触式ブレーキで止めるという思想です。一方で欧州では、回生と渦電流式の併用が主流で、現在では接触式を止めて、渦電流式を標準にする動きとなっています。

ところが、中国の場合は「回生+電気制御空気ブレーキ」というのが標準仕様で、全ての高速鉄道がそうなっています。悪い設計ではないと思います。ただ、問題は「回生ブレーキが十分に使われているかという問題です。回生ブレーキというのは、確かにブレーキをかけると発電した電気を架線に戻すのですが、その場合に近くに走っている電車がないとか、ない場合に変電所を介して周囲に電気が配れる体制が採られていないと作動しません。

つまりブレーキが効かなくなるのです。その場合は、オリジナルのE2もそうですが、中国の高速鉄道の場合は「電磁式空気ブレーキ」を使うようになっています。別に運転手が判断しなくても、回生ブレーキと一体制御になっていて回生が効かないと自動的に空気ブレーキをかけるようになっています。

ただ、日本の場合は新幹線の運行密度が高いですし、変電所も多く設置しているので震災などの場合を除くと回生ブレーキが効かないということは朝晩以外は少ないのです。ところが、中国の場合は密度の高い路線もあれば、ない路線もあるでしょうし、更に第三国に輸出した場合は様々なケースが考えられます。

そこで空気ブレーキを頻繁に使うことになると思うのですが、その場合はディスクとパッドの点検保守、そして空気圧による作動装置の確認と保守ということを、しっかりやらなくてはなりません。そこがいい加減で、ディスクにヒビが入っていたりすると、緊急制動が効かないといったトラブルが起きて事故の原因になります。

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