中国高速鉄道はなぜ信頼されないのか? 車両設計にある大きな矛盾

 

それ以前の問題になりますが、運行頻度の少ない、従って架線に電気を返しても行き場のないような路線で350キロを出して、そこから接触式の空気ブレーキで制動をかけるというのは、オリジナルの車両の設計思想からは無理があるように思います。

ですから、そうした「閑散線区でも使うかもしれない」けれども「日常的に350キロ出して、そこから制動をかける」という使い方の場合は、より信頼度の高い非接触式の渦電流式の方が適していると思うのですが、中国の高速鉄道の場合は使われていません。そこが大きなアキレス腱だと思います。

では、線路などの設備に関してどうかというと、問題は高架橋と盛土部だと思います。日本の場合は地震国ですし、過去の震災で経験した破壊の事例から積み上げて、耐震対策を徹底しています。

例えば高架柱の場合は鉄筋を強化するとか、盛土部には斜めにコンクリの柱を補強のためにブチ込んであるとか、とにかく見えないところに大きな対策がしてあります。熊本地震の時も、九州新幹線には震度7の直下型地震を受けた箇所がありましたが、回送電車が脱線しただけで、構造物の損傷は「防音壁が落ちただけでした。

こうした「高価な工事」は、例えば活断層のないところでは、必要ないかもしれません。ですが、仮に活断層のあるところであれば絶対に必要です。時速200キロとか300キロという高速で走っている際に、高架橋が崩壊したり、盛土が崩れたりしたら大惨事になるからです。

 

『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋
著者/冷泉彰彦
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは毎月第1~第4火曜日配信。
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