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松下幸之助は知っている。中小企業を変貌させる、たった1つのスイッチ

松下幸之助さんや本田宗一郎さんなど、誰もが知る成功者には不思議と共通する経営理念があるようです。言い換えれば、その共通する理念こそが「経営を成功させるコツ」と言えるのではないでしょうか。その「コツ」について、無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者・浅井良一さんがまとめて解説してくださっています。

社員が経営の強みの源泉

星野リゾートの星野佳路さんは独特な感性で次々にリゾート施設の再生を実現させているのですが、経営判断を行うについて「社長の私に聞いたところで、お客様と接する機会が非常に少ないわけですから、正しい判断ができるとは思えません」ときっぱりと言い切っています。「足元を見よ」と最前線の社員の意見を重視する方針をとっています。

これを、松下幸之助さんは衆知を集めた全員経営」と標榜し「なすべきことをなす勇気と、人の声に私心なく耳を傾ける謙虚さがあれば、知恵はこんこんと湧き出てくるものです」と述べています。京セラのアメーバ経営では、最初に事業の立ち上げを承認したら意思決定から実行に至るまで事業単位アメーバにすべての権限移譲を行っています。

トヨタが強いのは現場主義が徹底されているからで、現場から知恵が湧き上がるように経営者があらゆる方策を活用してつくり上げたからです。トヨタだけでなく優良企業に共通して見られる賢さは、現場の知恵の尊重などという当たり前の通念を通り越して信念として実行しているからです。アメリカのGEも、まったく同じ経営スタイルで成果をもたらしています。

このGEの元会長で20世紀最強の経営者と言われたジャック・ウェルチは企業経営の究極の目標は企業文化風土)」の確立であると言います。その企業文化が浸透していれば「何の目的」で「何を目標」にして「何を成すべきか」が暗黙知として共有され、当然にして協力しながらあるべき方向にむかって成果活動を行うと考えるからです。

企業の盛衰は、ひとえに経営者一人の価値観・才覚・真の賢さによって決まると言っても過言ではありません。その意味では非常に孤独であるのですが、別の視点から見ると「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」と松下幸之助さんが言われている「コツ」を見つけられれば、芸術作品をキャンバスに描く喜びとなります。

どうしたらいのか、その解答は同じ価値観を共有することですが、経営学者のドラッカーからの贈り物として、適切な指針が提示されています。それは「『5つの質問』、1.われわれのミッションは何か、2.われわれの顧客は誰か、3.顧客にとっての価値は何か、4.われわれにとっての成果は何か、5.われわれの計画は何か」を衆知を集めて考え、知恵とすることです。

本田宗一郎さんは言います、「技術は人間に奉仕する手段である」と。そして「一人ひとりの社員がお客様の幸せづくりのお手伝いに全力を尽くす」を「ホンダ」のミッションであると掲げています。間違っても「お金を稼ぐこと」や「社長が高級車を購入すること」がミッションとなってしますと、働く全員の意欲が萎えてしまうでしょう。

ミッションが企業の存在の意味と将来の発展を決します。パナソニックの松下さんの場合は「250年でこの世から貧をなくし、楽土をつくり上げる」と宣言した時点で大きく飛躍の軌道を歩みます。その分岐点がなければ、従業員が鼓舞されず経営者の発明したアイディア電化製品を堅実に販売する中小企業で終わったかも知れません。

経営者のもっとも重要な最優先の仕事は、実は価値活動であるミッションの確立とそれをイメージ化したところビジョンの構築でしょう。強みをもつ企業を見てみると、決して創業の当初からではなく行きどまりの苦悶の中で、ある時に経営者が気付きのなか閃いて創り上げるようです。松下幸之助さんは「経営に一本筋が通り、自信が持てる」と言っています。

image by: Wikimedia Commons

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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