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五輪よりドラマの再放送よ。なぜ米国人はオリンピックに興味が無いのか?

日本では連日特集番組が放送され、大注目のリオオリンピック。毎日遅くまでテレビを観て寝不足…という方も多いのではないでしょうか? しかし、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者・高橋さん曰く、アメリカではオリンピックはいつもほとんど盛り上がらないそうです。その理由は何なのでしょうか?

どうしてアメリカ人はオリンピックを見ないのか

日本もメダルラッシュで盛り上がってるリオ五輪。

よく言われるのは「アメリカではオリンピックは全然盛り上がらない」ということ。 出張で来た日本の方にもここ最近は必ず聞かれます。 「こっちは全然なんでしょ、オリンピック」

で、実際はどうかというと。確かに、盛り上がってない(笑)

まったくとは言わないけれど、国中がフィーバーして、金獲得の際は号外まで出る日本と比べると、確かに話題にはなっていません。 (事実、当日 ちょうど機上だったということもあり、一切、気付かないうちに開幕してたし)

開催中は生中継が当たり前で、たとえ夜中だろうが、寝不足になろうが、次の日真っ赤な目をして会社に行く日本が少し懐かしく思います。

アメリカでは、まずオンタイムで、地上波で、どの種目の競技であれ、視聴することができません

NBC(日本でいうところのフジテレビみたいなところ?)が独占権を持っていますが、プライムタイム(日本でいうゴールデンタイム)でシットコム(コメディドラマ)の再放送を流しても、オリンピックの中継が入ることはほとんどありません。 開催中はいつも深夜にダイジェストを流すくらいです。 アメリカの選手が活躍する種目でも放送時間はあくまで深夜、そして、そのほとんどが録画です。 生放送はほとんど見れない。

しかもそのダイジェストも、アメリカの選手が勝っている種目、メダルを獲った種目、を何度も再放送します(笑)同じシーンばかり見せられることになる。しかも異常なくらいのCMが入るので、興ざめです。

はっきり言って、この国のオリンピックにおける視聴環境はサイアクと言っていい。住んでいる僕も不思議だなぁと常々思っていました。スポーツ大好きな国民のくせに。 多くの選手団を送り出しているくせに。

ひょっとすると、それらの現象は、すべては「アメリカ例外主義」という言葉で説明できるのかもしれません。 「American exceptionalism」とも言います。 アメリカ人特有の「うちだけが特別、優秀だよ」っていう思想です。アメリカ人はアメリカ人にしか興味がない。 「断定性優越性」ってやつらしいです(笑)

彼らは、本気で、心の底から「アメリカが世界で一番優れているのに、他の国のことを気にする必要なんかあるの?」と思ってる。なので、ただの国内の野球の優勝戦なのに、勝手に「ワールドシリーズ」って銘打っちゃいます。

根拠なく、どうしてそこまで思えるのか。そこは歴史をひもといたり、この国の成り立ちからさかのぼんなきゃいけないので、今回は譲ります。 ピューリタンイズムがどうのこうの話にまでなってくる。

ただ、田舎に行けば行くほど、都市部から離れれば離れるほど、その傾向は強くなります。( なので、アメリカ郊外に住まれている方は、世界中の先進国で「国民健康保険」というものが存在することをついこの間まで知らなかった。 「国民健康保険」なんて社会主義国家みたいだ!なんて言い出す輩(やから)が出てくる始末です)

サッカーのワールドカップが盛り上がらない理由も、それだと思います。中には「サッカーは野球やバスケに比べて点がなかなか入らないスポーツだからこらえ性がないアメリカ人には向いてないんだ」っていう人もいますが、僕が思うに最大の理由はアメリカがサッカーの「強い国」ではないから

アメリカ人にとっては、あっちゃいけないことです。 自分とこのチームが、優勝レベルにないという事実を。 またそんなスポーツがこの世に存在するということも。

オリンピックも同じ理由だと思います。 (それでも過去メダル取得国では世界でも1位なのにね)

日本ではやたら、「欧米では、欧米では」という、欧米コンプレックスの方がいる一方、こっちでは一切、他国を参考にしない。足して2で割る、ちょうどいい国はないもんか。 常に思ってしまいます。

でもさ。 結局さ。 今年の、オリンピックがこの国で盛り上がらない、最大の原因はさ。今、みーんな、 ポケモンGOに夢中だから、なんだろうけど。

image by: Shutterstock

NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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