ビジネスは常に戦いの連続ですが、いつでも100%の力を出し続けることはできません。「今だ!」というタイミングで全力を出し切るのがベストですが、そのタイミングを掴むのは至難の業とも言えます。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』ではそのタイミングを知るヒントを、伝説の能楽師・世阿弥が著した『風姿花伝』に求めています。
時の流れが重要です
こんにちは。
弁護士の谷原誠です。
室町時代に「大和猿楽」の演者として活躍、父の観阿弥とともに、能楽の完成者として知られる世阿弥。その思想を記した『風姿花伝』は、長く能楽論、芸術論として読み継がれています。その『風姿花伝』のなかに、このような言葉があります。
時の間にも、男時・女時とてあるべし
「男時(おどき)」とは、状況が自分に有利な方向にあるときのこと、逆に相手が有利なときを「女時(めどき)」といいます。
そして世阿弥は続いて、「いかにすれども、能によき時あれば、必ず、また、悪きことあり。これ力なき因果なり」と説いています。つまり、男時、女時は避けられず、人の力ではどうにもならないということです。
これらの言葉は、能の「立合」に関する教えです。私も調べてみるまで知らなかったのですが、当時の能には、複数の演者が同じ舞台で演じ、勝負を競いあう、立合というものがあったそうです。当時の芸術には時の有力者の後ろ盾が必須でしたから、立合での自分の評価は、流派の存亡に関わる重大事だったようです。世阿弥は、その立合で勝つために、男時、女時を読んで演技することが重要であることを説いたわけです。
では、状況が不利な、女時にある場合、どうすればよいのでしょうか。