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フレンチは糖質制限の絶好の料理?江部康二×桐山秀樹『糖質制限』対談(2)

糖質制限の提唱者である医師の江部康二先生と、先日『おやじダイエット部新入部員 脱・メタボ14日間の旅! 』を上梓したばかりのノンフィクション作家・桐山秀樹さんによるスペシャル対談。おふたりの“糖質制限との出会い”を伺った前回に続き、今回は“糖質制限中の食生活”について、語っていただきました。ストレスフリーで糖質制限を続けるための、達人ならではのコツとはどういったものなんでしょうか?

糖質制限的にはいい時代になった

―――糖質制限は、ご飯や麺類といった炭水化物を抑えないといけないということで、すごく我慢をしないといけない、といったイメージもあるのですが…。

桐山:いやいや。糖質制限って、意外に食べられますよね。これ、みなさん誤解されている方が多いみたいですけど。食べて良いものが多いのに、食べるのを我慢してしまって……。それで続かないっていう方も、中にはいらっしゃいますよね。

江部:あぁ、多いな。

桐山:続けようとして頑張ると、途端にしんどくなる。だから時々負けるというか、“上手に負ける”というのが大事ですよね。わたしも、たまに“あえて負けてる”時がある。先生がよくおっしゃるところの“まぁ、ええやろ”的な精神で。

江部:わたしの場合なんか、糖質制限しているけど、たまにふぐのフルコースを食べに行ったりするわけや。

桐山:おお、豪勢ですね(笑)。

江部:関西だったら、てっぴ、てっさ、そして焼きフグ、唐揚げ……焼きフグはタレにちょっと砂糖が入ってるかな? あと唐揚には、小麦が入ってるなと。その時点で5gぐらいの糖質を摂ってると。それで、てっちりになったら、フグの身とか豆腐には糖質はないけど、白菜にちょっと入ってる。それでだいたい10gぐらいの糖質を摂ってることになるかな。

桐山:だいたい、それぐらいですね。

江部:で、それぐらいの量の糖質だったら、最後の雑炊も、ご飯に比べたら薄まっているわけやから茶わん1/3杯分ぐらい、かまへんわけよ。これでも合計20gまでの糖質ですむ。ふぐのフルコースを食べに行って、雑炊を食わんかったら、ふぐにも悪いやろ?

桐山:確かに(笑)。

江部:だから、抜け道というか幅をね、広く考えてやるのも大事。糖質をまったくゼロにしろとは言ってないし、葉物のお野菜にも糖質は少しだけど入ってるわけやしね。

桐山:最近では外食でも、糖質制限に気を使ったメニューを出すところが増えてきていて、なかにはボタニカ(注:六本木にあるイラリアンレストラン)のように、毎回趣向を凝らした糖質制限コースを出すところも増えてきていますね。

>>次ページ フレンチやイタリアンは糖質制限的には絶好の料理?

江部フレンチとかイタリアンは、もともと砂糖はほとんど使わないから、糖質制限的には絶好の料理やね。お店で最初に“でんぷんが不自由で……”とか断っておけば、向こうも気を使ってくれる。小麦アレルギーの客もいるわけだから。それでフルコースでも、パンとケーキは止めておいて、チーズなんかを頼んで食べていればOK。

桐山:イタリアンも、パスタはさすがにNGですが、前菜を2つとってメインを食べれば十分ですよね。白ワインも、醸造酒だから糖質制限的にはダメなんですけど、辛口のブリュットならOKですし。

江部:居酒屋も、糖質制限をしてても食べられるものがなんぼでもあるし、ホテルのバイキングなんかも、食べるものを自分で選べられるわけやろ。

桐山:外食中心の食生活でも、糖質制限は結構苦労なくできますよね。

江部:逆に、スーパーとかで売っている食品は、表示を見ても見渡す限りの糖質。我々の日頃の食生活が、いかに糖質に毒されているかに気付かされるけど、最近はコンビニのローソンでも……。

桐山:そうそう、ブランパン。あれもすごく売れてるらしくて。

江部:でもローソンのブランパンは、種類によって糖質の量にバラつきがある。大きめのやつだと10g超えちゃうから、気を付けないかん。

桐山:私、それで食べ過ぎて失敗したことがあって……(笑)。丸いちっちゃい2つ入りのヤツが一番いいんですよね。

江部:そう。あれが一番糖質が少ない。……それとパンと言えば、シャトレーゼってチェーンのケーキ店も、糖質に気を使ったパンとかスイーツを作ってるんだけど、あそこの社長も糖尿人なんですよ。でも、社長が糖尿ということは、信用していいということになる。自分が食っても、血糖値が上がらないものを作ってるはずだから(笑)。

桐山:糖質制限のパンといえば、先生のところでも作られていますよね。江部粉のパン。

江部:あれは2005年から作ってるけど、最初のころはどれだけマズかったか(笑)。

桐山:先生はすべて試食して、食後の血糖値を測られていたんですよね。それで「上がった、上がった」とか、「カラいやないか」とか(笑)。

江部:いや、カラいんでもいいんやけど、マズかったのがなぁ。でも改良を重ねて、京都江部粉が2013年頃に完成して、今では普通に売ってるパンと変わらないほどの美味しさになったな。そう考えると、今は糖質制限的にもいい時代になった。ここ数年ぐらいで……。

撮影/岸 巧(中尾写真事務所)

桐山秀樹さん新刊情報

『おやじダイエット部新入部員 脱・メタボ14日間の旅!』


37歳の誕生日の朝、娘から「パパ、とんこつラーメンくさい!」と言われたメタボ編集が一念発起! おやじダイエット部の桐山部長に弟子入りし、脱・メタボ&健康長寿を目指して旅に出た。ゆる~い糖質制限をベースに食事、運動、睡眠と、おやじに最適な新健康常識とアイテムを楽しく学べる自己啓発系・健康小説!

『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』
著者/江部康二
1950年京都府生まれ。京都大学医学部卒業後、同大胸部疾患研究所などを経て、1978年より高雄病院に勤務。2001年より糖質制限の研究を始め、『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)などの著作を上梓。現在は高雄病院理事長および、日本糖質制限医療推進協会理事長を務める。
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『桐山秀樹の『週刊・おやじダイエット部通信』』
著者/桐山秀樹
1954年愛知県生まれ。学習院大学法学部卒業後、雑誌記者を経てノンフィクション作家に。2010年、糖尿病と診断されたことをきっかけに江部康二氏の著作と出会い、糖質制限を実践。その自らの経験を描いた『おやじダイエット部の奇跡』(マガジンハウス)が、ベストセラーとなる。
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