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台風1つでアウト。下村大臣辞任必至。新国立競技場問題ニュースまとめ

17日、安部総理の口から発表された新国立競技場の建設計画の白紙撤回。これから再びコンペを行うとのことですが、本番までに間に合うのでしょうか。そもそもここまで決断が遅れた理由は? ジャーナリストの内田誠さんがメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ』で、新国立競技場問題を巡る報道をコンパクトにまとめてくださっています。

五輪そのものの「白紙撤回」も?

新コーナーです(爆)。「新国立」の一件が大きく動いたので、羅列的ではありますが、朝刊レベルでの情報を簡単にまとめておきたいと思います。ここに掲げた情報だけから判断しても、安倍政権はこの問題で相当弱り切っていると言えるでしょう。下村大臣は辞任必至でしょうし、そもそも五輪に間に合わない可能性が出てきた。台風1つでアウトかもしれないのです。また、新たにやり直せたとしても、依然として建設費が膨大であることに変わりはない。「税金無駄遣い」という批判は収まらないのです。ザハ・ハディド氏サイドも納得しない可能性があり、途方もない賠償要求が出されるかもしれない。最後には、五輪そのものの「白紙撤回」に至る可能性さえあるように思われます。

安保法制に関する国民の憤激をかわそうという狙いもあったと思われますが、この新国立競技場の建設計画問題には、まだ十分な解決策が示されていないというのが、冷静に見たときの現状です。

では以下、これを読んでいれば、「新国立競技場の建設計画」問題はバッチリ、のニュース・ピックアップ。

>>次ページ なぜデザイン見直しは遅れたのか?

キールアーチをやめても1,800億円

安倍総理は17日官邸で記者団に対し、新国立競技場の建設計画を「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と語った。1ヶ月ほど前から検討に着手していて、オリンピックに間に合うことを確認して決断したという。この秋にも競技場の規模や総工費などの条件を決め、デザイン、設計、建築を一体化した国際コンペを行い。来年早々に新たな計画を決定する方針。

これにより、2019年に予定されていたラグビーW杯での競技場使用は不可能となり、オリンピックの会場テストの目的で開かれる予定だったプレ大会も別会場となる。つまり、仮に間に合ったとしてもオリンピックはぶっつけ本番となる公算。

2020年7月開幕予定の東京五輪については、「台風が来たら間に合わない」と言われるようなギリギリのタイミング。

デザイン見直しが遅れた理由は、1つには安倍氏に「民主党時代に決まったデザイン」との思いがあったこと、2つ目には、それが「国際公約」になったと捉えられていたことがあるとの説(*「国際公約」については上記【はじめに】を参照してください)。

デザインを白紙に戻さざるを得なかった理由の1つは、民放のワイドショーなどが「税金の無駄遣い」という切り口で取り上げ初め、「安保関連法案より大変な案件になりかねない」との危機感が官邸に広がったことがある。

>>次ページ ザハ・ハディド氏への賠償額は?

安倍氏に「W杯に間に合わなくて申し訳ない」と陳謝された森喜朗氏は、その前にテレビ番組の収録で、「(計画見直しは)したほうがいい。『キールアーチ』というよりも、全体のデザインが嫌だった。よく冗談で言うのだが、生牡蠣がどろっと垂れたような(形が嫌だ)」と語っていた。だが、後には「(現行計画の)競技場が国際オリンピック委員会(IOC)委員の心を打った。それが勝てた要因。(白紙撤回は)残念だ」と述べている。支離滅裂

デザインを撤回することで、ザハ・ハディド氏に対する違約金は発生しないが、着工以降に支払う予定だったデザイン監修料はザハ氏側が受け取れなくなる。賠償金を請求される可能性があり、「五輪の実績」を失うことに対する賠償なども入れると、どの程度の額になるかも不明

日本を代表する建築家である槇文彦氏は、2年前から問題を指摘していた。五輪史上最大規模のスタジアムが周辺の歴史的景観を壊し、建設コストを肥大化させると指摘し、警鐘を鳴らしていた。

槇氏ら、計画に異議を唱える建築家や作家の森まゆみ氏らの市民団体は、この問題で何度もシンポジウムを開催し、申し入れ書を提出したりしていたが、政府は計画の抜本修正を拒み続けていた。もっと早く見直すチャンスはいくらでもあったということ。

工費の圧縮はどこまで出来るのか不透明だ。アーチをやめて2,000億円以下という方向で検討していると語る政府関係者がいる一方で、1,800億円以下が目標との数字も浮上。いずれにせよ、当初予算の1,300億円を大幅に上回ることは確実。ロンドン五輪の580億と比べても約3倍ということになる。

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image by: 日本スポーツ振興センター

『uttiiの電子版ウォッチ』2015/7/18号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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異議あり! 新国立競技場――2020年オリンピックを市民の手に (岩波ブックレット) 予算の問題だけでもないようですね

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