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ギリギリで生きている日本経済に突きつけられた金融緩和のジレンマ

すっかり勢いを失ってしまった感のあるアベノミクス。日銀・政府とも様々な手を打ってはいるものの、金融緩和政策は限界に来ており、ここで根本的な問題を解決しないことには日本に未来はない、と見るのはメルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さん。津田さんは、このまま行けば国家としての財政破綻だけでなく、中国との戦争までをも誘発する危険性があると警鐘を鳴らしています。

日銀政策会議の予測と日本の危機

日銀と政府は、ジレンマに直面している。日銀持分が巨大になり、国債買取量の削減をしないと継続できないレベルになっている。しかし、現時点で買取量を削減すると、金融緩和の縮小となり、円高を引き起こしてしまう。そのため、どうするのか。それを検討する。

状況

米国FRBが9月か12月に利上げすることは、市場が折り込み始めたことで、NY株が394ドル大幅続落になり、長期国債価格は上がった

FRBは簡単で、9月か12月に利上げを行うが、9月にあるかどうかに焦点があたっている。世界で利上げができるのは米国しかないので、やるしかない。世界経済が恐慌になった時の金融ツールを構築する必要があるからだ。

もう1つが、世界恐慌になる可能性を潰すことで、ドイツ銀行への制裁金を確定して、ドイツ銀行が破綻しないような行動をとり始めた。もう1つが、国際法を無視する中国への経済制裁を行うべきであるが、それを言い出さない。鉄鋼へのタンピング税を500%にしているのに、それを大事にはしていない。

ECBドラギ総裁は、現状維持の立場を明確にした。マイナス金利による欠点はあるが、現状の欧州経済状況では緩和と取られるマイナス金利の縮小はしなかった。

それに比べて、日銀の動向が不透明である。このため、日銀の総括検証に注目が集まっている。現在、市場関係者でも全く見当がつかない状況のようである。このため、私は金利ゼロの新40年国債で、日銀持ち国債を置き換えたと見たが、擬似ヘリマネを米国と市場は歓迎していないので、米国が利上げを見送りかつ円高になった時に、日銀・政府は行うことになると見る。この擬似ヘリマネは通貨マフィア間の交渉材料になっているようである。

しかし、日銀は国債市場で買取可能国債の量が少なくなり、国債買取量は、徐々に縮小させる必要があり、その代わりにマイナス金利の深掘りを行うことになるようだ。それしかないと見ているように感じる。

もし、国債買取量を減らして金融緩和縮小となったら、日本の経常収支は25カ月連続で黒字で、7月は1兆9,382億円と財務省が発表するように、1ドル=90円を超える超円高になる。この円高を円安にするためには、より一層の金融緩和が必要である。

今、非伝統的金融政策を取っているので、予測ができずに政策の欠陥をその都度、解決するしかないようである。

中曽副総裁の講演会

このような状況で、8日に中曽宏副総裁が講演した。黒田総裁は、いつも強気であり、講演会での内容と反対の事をすることが有り、信用できないが、それに比べれば、中曽宏副総裁の講演は信用できる。

中曽副総裁は、今年1月に導入を決めたマイナス金利付きQQEの効果と影響について「イールドカーブ全体に低下圧力を加えるという意味で、マイナス金利と長期国債の買い入れとの組み合わせは、きわめて強力だ」とし、「金融政策ツールとしての有効性が確認できた」とした。

しかし、「マイナス金利導入の時から、金融機関の収益に過度の悪影響を及ぼし、金融仲介機能が悪化することになってはいけないということが最も重要な論点だった」と述べて、マイナス金利を深掘りするが、金融機関の収益をカバーすると述べている。

地銀やゆうちょ銀行、GPIF、企業年金資金など金融機関は、大量の長期国債を持っていて、この国債の金利が下がると収益が大幅に減る。国債の金利の維持が重要な課題になっているのである。ゆうちょ銀行が送金手数料を取ることにしたのも、国債の金利低下が大きいために利益が出ずに仕方なく行ったのである。

中曽副総裁も「長期金利や超長期金利の大幅な低下が、保険や年金の運用利回り低下や貯蓄性商品の販売停止につながっている」とし、この金利を維持する方向のようである。

銀行や年金資金が持つ長期国債の金利を上げて、短期国債の金利を深掘りすることになると見る。日銀は長期国債を買わずに価格を上げて金利を維持して、短期国債を買って価格を上げて、金利を下げるようである。10年国債以下ではマイナス金利が深掘りされるが、それ以上の国債では、金利を維持することになる。

これにより、長期金利は上がり1%程度になり不動産投資などの長期固定金利が上がる事になる。短期金利より長期金利が安いというようなことはなくなる。住宅ローンで20年固定金利の方が1年変動金利より安いということはなくなる。住宅ローンの借り換えは早く行うことをおすすめする。

金融機関の短期金利は、日銀のマイナス金利ではなく、銀行間の短期金利を参考に、その上に儲けを入れて決めている。このため、銀行では、日銀がマイナス金利を下げても、借出し金利は下げないが、預かる金利はマイナス金利にして、手数料を乗せる可能性である。このため、日銀が長期金利を上げると銀行経営的には楽になる

アベノミクスの限界で戦争、災害に

しかし、当面、日銀は国債の傾斜買取で金利を維持できるが、数年先には年80兆円の国債を買い取れなくなるしマイナス金利の深掘りもできないようになる。このため、金融緩和の縮小をするしかなくなる。擬似ヘリマネも1度しか使えない。金融緩和の縮小になると、円高と金利上昇が起きて、日本経済は大変なことになる。

アベノミクスでの構造改革、人口減少問題解決と増税して税収拡大を急がないと、残された時間が尽きることになり、その先に待つのは、財政赤字拡大が続き、財政破綻してハイパー・インフレによる国家財政の健全化という国民が塗炭の苦しみを味わう方法しかなくなる

丁度、その時に中国が日本弱しと尖閣諸島に攻めてくることになりはしないかと、心配である。または、関東大震災で財政破綻を起こしてしまわないか心配である。

どちらにしても、日本の財政がシッカリしないと、不測の事態が起きた時、何もできないことになる。

金融緩和施策がそろそろ限界に有り、真剣に日本の問題を解決しないといけない時期に来ている。

人口減少を20年もの時間を掛けて解決する時間的なゆとりはない。経済活性化のために親日仏教国とのFTAで、長期労働を認め、反日中国からの移民を止め、今いる長期滞在者を送還するべきである。そろそろ、国際法を無視する中国との戦争を意識しないといけない。

ロシアとの北方領土問題が共同管理になると、当然、ロシアからも北方領土での日本企業の工場に労働者が来て、その人たちが日本にも労働で来る可能性が高い。反日国や中国以外からの労働者を受け入れるべきである。親日仏教国からの労働を強化して、イスラム教徒や反日国人を入れないことである。

その点、台湾も親日的であり、労働者を受け入れるべきである。というより、中国に脅威を感じる同盟国として、日台同盟を結び中国との戦争に備えるというより戦争を抑止するべきである。

蓮舫さんの二重国籍問題

蓮舫さんは二重国籍を解消して日本国籍を確実にして、そうすれば台湾との関係を促進できる貴重な人材である。どうも、蓮舫さんを敵国人としてみなす偏狭な人たちは、中国と同列に台湾をも敵とみなしているのが非常に嘆かわしいことである。中国と台湾を同列に議論する大学教授には呆れる。

日本単独で中国と戦争ができるほど、日本は経済的に強くないし、中国は、米国と肩を並べる経済大国になったという認識がない人が多すぎである。特に文系の大学教授が発言するなら、そのぐらいのことは知って発言するべきである。日本の置かれた状態の全体像を見て、駒をどう揃えるかを考えることである。

戦争と財政破綻という2つの危機に日本は直面しているという認識を持って、知識人、特に大学教授は議論をして欲しいものである。

さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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