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たった15年。なぜアメリカは9.11以後、落ちぶれてしまったのか?

アメリカ同時多発テロから15年。その間、世界は激変の様相を呈しました。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんはこの15年を振り返り、まさに「9.11」からアメリカは没落し始めたと記しています。

9.11から15年、何が変わった?

先日、日本からモスクワ国際関係大学の同級生T君がやってきました。「モスクワに来るのは15年ぶり、北野さんに会うのも15年ぶり」とのこと。15年ぶりに会ったら、私も彼も全然変わっていました。内面は変わっていない気がしますが、「環境」が変わった。15年前、私も彼も、独身だった。彼は、いまや3児のパパになっていました。

私は、T君と再会したのをきっかけに15年前のことを思い出しました。15年前というと2001年。2001年というと、「9.11ですね。あれから世界はどう変わったのでしょうか?

2001年、アメリカは一人勝ちだった

1945年、第2次大戦が終わった。そこから1991年までを「冷戦時代」といいます。別の言葉で、「米ソ二極時代」。

1991年12月、ソ連が崩壊。二極のうち一極が消えた。それで世界は、「アメリカ一極時代」になりました。アメリカ一極時代は、「前期」と「後期」にわけることができます。前期は、主に「ビルクリントンの時代。この時代、アメリカは、まさに「この世の春」を謳歌していました。なんといっても、ライバルがみんな沈んだ。

アメリカだけは、「ITバブル空前の好景気だった。

9.11を境に、アメリカは没落に向かう

2001年、ブッシュが大統領になると、すべてが変わりました。まず、経済面をみれば、「ITバブルが弾けた。その後、アメリカは「不動産バブル」をつくりだしました。しかし、07年には「サブプライム問題」が顕在化。08年、「リーマン・ショックから100年に1度の大不況」が始まります。

安保面を見ると、「9.11」があり、アメリカはアフガン戦争を開始しました。そして、03年イラク戦争を始めた。2つの戦争は、どちらも長期戦になり、アメリカの国力を衰退させます。

こうやって15年前を振り返ってみると、まさに2001年は、「アメリカが没落し始めた年」ということができるでしょう。

そして、米中二極時代が始まった

アメリカ一極時代は、「100年に1度の大不況」が起こった08年に終わりました。今は、「米中二極時代」です。

GDP、軍事費1位のアメリカと、2位中国が争っている。2015年まで中国が圧倒的に優勢でした。そのことは15年3月の「AIIB事件」を見れば、明らかです。アメリカの制止を無視して、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国などなど57か国が、中国主導AIIBに参加した。

この事件の後、アメリカはようやく、「中国こそが最大の脅威だ!」と認識しました。オバマさんは、急いでウクライナ問題、シリア問題を解決し、中国叩きに焦点をしぼります

そして、中国経済は突然悪くなってきた。15年3月、「AIIB事件」が起こった時、中国経済は「世界の希望」でした。それが今では、「世界のお荷物」になっている。

短期間で中国を追いつめることに成功したオバマさん。しかし、任期切れが迫った彼に、もはや力はありません。バトンは、新しい大統領に渡されます。

15年ですべてが変わる

9.11が起こった15年前、アメリカは、「絶頂期の終わりのはじまり」にいました。そして、15年経った今、アメリカは、大統領が「世界の警察官ではない!」と宣言するほど、落ちぶれました

日本はどうでしょうか。2001年、小泉さんが首相になりました。当時の熱狂はすごかったですね。09年に民主党政権が生まれた時も、盛り上がりました。

15年で個人も国もすべてが変わります。良い方にも変わりますし、悪い方にも変わります。ただ良い方向に変わるためには、「良いビジョン」が必要ですね。日本にはそれがないので、15年間、GDPもその他のことも、ほとんど変わっていない気がします(ちなみに2001年のGDPは505兆円、2015年は499兆円!)。

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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