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「重版出来」「出面」「包袋」…読めそうで読めない業界用語14選

他分野の業界の方とのメールのやりとりで、読み方に困ったり、実は読み方が間違っていた、なんて経験はありませんか?今回は、メルマガ『仕事美人のメール作法』の読者から寄せられた「これは読めない!」業界用語をご紹介。知っている用語があったら、なかなかの業界用語上級者かもしれません♪

職場用語の謎

入社した当初、意味が分からなかったとか使い慣れた言葉だけど、辞書にはない……
そんな職場や業界特有の用語の「読者アンケート」の結果を今週は発表していきたいと思います。

<建設業界> 出面(でづら)

他の業界でも同じ言葉があるかもしれませんが、私が現在の会社に転職した時に「?」だった言葉です。
お給料の計算の時に、現場を管理している社員に、その現場で一カ月の間出勤していた人達の名前を書いて出してもらうのですが、その書類のことを「出面(でづら)」と言っています。
出勤していた人の面(顔)が分かるものということかなぁと思っていますが、定かではありません。(40代 女性)

でめんとも言い、ニュアンスが違うようですが、当社では、下記のようなスケジュール表の意味で使っています。(60代 女性)

参考:レッツ原価管理Go!「出面書」

三省堂「大辞林」によると
建築などの現場に出た,大工・左官など職種別労働者の一日当たりの人数。
また、その労働者に支払われる日当。でめん
とあります。

一般用語として「顔出しすること」という意味もあるようです。
出面書とか出面表は「出勤簿」とは、また意味合いが違うのでしょうね。

 <建設業界>斫り(はつり・はつる)、嵌め殺し(はめころし)

道具の名前などたくさんありますよ。(50代 女性)

「はつる」は、金属・材木などの表面を薄く削りとること。
大工さんもよく使っていますよね。

「はめころし」は、障子やガラス窓などを作り付けにして、開閉できないようにすること。

採光のために、ガラスをはめ込んだまま、開閉できないつくりになっている窓のことを「はめころし(の)窓」と言います。

最初に聞いたときは、なんとも物騒な言葉だなと思いましたが、仕組みは分かります。

<出版業界> 出来(しゅったい)

メールでは、読みは関係ないのですが、「出来」を「しゅったい」と読むことに、最初は戸惑いました。
「新刊出来」、「出来予定表」、「重版出来」……。
あと「お原稿」もローカルルールではないかと思っております。社内なのか、業界なのか、はっきりしませんが、あまりほかでは使わないように思います。(40代 女性)

「重版出来」に使われる「出来」は「でき」だと思っていました。「しゅったい」と読むのですね。関連してこんな記事があったので、ご参考まで。

 <小売(コンビニエンス)業界> 日販(にっぱん)、日商(にっしょう)

一日の売上を示します。
平均日販や平均日商といわれることも多々あり、この場合は、1日の平均売上が幾らあるかという意味で使われます。
コンビニ業界は、業界用語が当たり前に使われており、業界用語なのか日常会話で使えるのか、感覚がマヒしています(笑)
よく言われるのは、「コンビニの常識、世間の非常識」です。(40代 男性)

出版や書店業界では、「日版」といえば、取次販売会社の日本出版販売が思い浮かびますが、業界が変わると意味も変わるということですね。

>>次ページ  「包袋」「正絹」「鯨尺」これは読めますか?

 <特許事務所> 包袋(ほうたい)

お客様とのやり取りや案件の書類等を全部まとめておくファイルのことを包袋と呼びます。
包帯?と最初は思うので、イメージが浮かばず苦労します。(40代 女性)

「包袋」は字だけ見たら、読めなかったです。漢検の問題に出てきそうですね。

 <通信業界> 線表(せんぴょう)

スケジュールのことです。
社内では「スケジュール」と言う人をほとんど聞いたことがありません。
スケジュールは「たてる」と言いますが、線表は「書く」と使うのがおもしろいところですね。
「じゃ、線表、書いてくれる?」など。(40代 女性)

<通信業界> 使送便(しそうびん)

社内専用の配達便のこと。
これは他社でも使っているところがあるようですが…。
「iモード事件」著者の松永真理さんが、本の中で「はじめて『使送便』と聞いたとき、『死相』かと思ってびっくりした」
とあり、その一文に笑ったことを覚えています。(40代 女性)

どこの企業かピントきた人もいるのでは?
社歴の古い会社ならではの用語、という感じがします。

<着物業界> 正絹(しょうけん)、合繊(ごうせん)

絹物をしょうけん、ポリエステルなどの合成繊維をごうせんと呼んでいます。
ちなみに、レーヨンは「人絹(じんけん)」
  使用例: この着物、正絹? 合繊?
       正絹の胴裏をつけてください。
                           (30代 女性)

<着物業界> 鯨尺(くじらしゃく)

和裁で使われる単位の種類で、昔は鯨のヒゲを定規替わりに使っていたところからきているらしいです。
単位は尺・寸・分
同じ尺でも大工さんの使う曲尺とは若干長さが違い、和裁の鯨尺だと、一寸が約3.78センチになります。(30代 女性)

化学繊維ではなく、合成繊維というのが渋いですね。
「人絹」というのも言葉として迫力あります。
先日、老舗の和菓子店を取材したとき、分量はグラムではなく「匁(もんめ)」で計ると聞きました。
日本特有の単位にも業界によっていろいろあり、しかも、現在も使われているところがいいですね。

業界用語というよりも、習慣からくる造語?

<印刷業界> 紙データ(かみでーた)

私が使うのではなく、一部のお客様から聞く言葉ですが…。
データを出力したものや手書きなどの紙ベースの原稿を「紙データ」と表現される方がたま~にいらっしゃいます。
そ、それはデータではないぞ、私らが入力してデータ化するんだぞ、と心の中でいつも突っ込んでいます。(40代 女性)

私もうっかり使っているかも……「これ、紙データでいただけますか」とか。
デジタルデータと紙に出力したデータを混同して、こういう用語になってしまうんですよね。

<土木・建設業界> 埋め殺し(うめごろし)

建設現場で掘削中、土砂崩壊を防ぐため鉄の矢板というもので壁をつくり、作業後、埋め戻し時にその矢板を撤去することなく埋めてしまうことをウメゴロシといいました。(40代 男性)

先ほど紹介した「はめころし」に続く用語の登場ですね。
印刷業界にも、これに似て、物々しい用語がある模様。
参考:知っても役に立たない(?)印刷用語(3) びっくり印刷用語

image by:Shutterstock

 

『仕事美人のメール作法』より一部抜粋

著者/神垣あゆみ
広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。まぐまぐから無料メルマガ『仕事美人のメール作法』を配信中。
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