とっても便利なAmazonでモノを購入すると、過剰梱包だったりでどうしてもダンボールが増えてきますよね。ただ捨てるのももったいないし、なにかに生かせないものか……。
そんな悩みを抱えて日々生活していたら、ネットである女性を見つけました。なんでも「ダンボール女子」というネーミングで活動しているとか。はじめはよくある◯◯女子の派生系か~なんて思ってクリックしたら、そこにあったものは芸術と呼ぶにふさわしい作品たち。
こんなただのダンボールが、
こう! 砲塔の細かさがすさまじいですね。
こんなただのダンボールが、
こう! 車輪もさることながら、ナットひとつひとつも再現されています。
ダンボールが、
こう! 裏面までしっかりと作りこまれています。
まるで芋虫から蝶のごとく大変身を遂げるのです。
このダンボールアートを作り上げた女性は大野萌奈美さん。BRUTUSの「進撃の巨人特集」でダンボール巨人を制作したり、映画「ホワイトタイガー 極秘ナチスの戦車」で宣伝用の戦車を制作するなど、新進気鋭のダンボール作家として知られている方です。
そんな大野さん、まぐまぐで「大野萌菜美のダンボール女子メルマガ」というメルマガを出されていましたので、さっそく直撃しに行ってきました。
戦車からゼロ戦まで、ダンボールが芸術作品に!
作業部屋にあげてもらうと、早速ダンボールアートたちがお出迎え。
―こう並んでいると壮観ですね! なぜダンボールで作品を作ろうと思ったんですか。
大野さん 大学二年生の時に、立体アニメーションを制作するという課題がでたんです。でも立体アニメーションって、セット作ったりとお金がかかるんですよ。お金ないしな~と思っていたときに、ちょうど横にあったのがAmazonのダンボールだったので、ダンボールで立体感のあるものを作ってみようかな、と思ったのが始まりです。
アニメーションには1年位かかったんですが、ダンボールでいろいろい作ることができるとわかったので、そこからは自分が好きなもの、買えないものを作ろうと思ったんです。例えばジブリのラピュタに出てくる巨神兵のプラモがすごく欲しかったけどお金がなかったので、資料を印刷してダンボールで組み立ててと、好きなものを作っていったんです。
そしたら「ダンボールって波目があるじゃん!」とか、いろいろな気付きがあって、そこからダンボールの魅力に気づいたんです。
―気づきというのはどんなことだったんですか。
例えば、ダンボールって3枚の紙が組み合わさってできているんです。それを水で濡らして1枚の紙にして、それを小さくちぎって貼っていくと、割と固くて丈夫な基礎ができるんです。
このウミガメの基礎はこの紙で作っているんです。こうするとダンボールでも丸みを表現できるんですよ。
―ダンボールの魅力とはなんなのでしょうか。
色ですかね。クラフト用紙感といいますか。こんなに簡単に手に入る素材なのに、これだけで作ると統一感もでますし。またダンボールは3枚の紙が組み合わさっているので強いため、組み立て上げるとしかっり丈夫にできる。そこからだんだんダンボールの魅力にはまっていって、ついには剥がしてしまおうとまでなりました(笑)ダンボールは、作っていけばいくほど、いろんな表情をみせてくれるんですよ。
―どういう経緯でダンボールを職業にしようと思いましたか。
いろいろな職業を生業としている方たちがいるじゃないですか。例えば革だけで作ったものを「これがアートだ!」と言って高値で売っていたりとか。そういう方々をネットで見ていたりだとか、大学が芸大ということもあり自分の周りにも結構いたんです。できればそっちの方が家にこもって仕事もできるし、自分向きだと思いました。
さらに、ダンボールで食べている人っていないと思うんです。そこでダンボールで暮らしていけたら面白い人に見られるのではないかと。こうしてダンボールを職業にする決心をしたんです。
―1作にかかる製作期間はどのくらいなのでしょうか。
大体、戦車一台で1週間くらいですね。どんどんスピードをあげています。
例えばこのサンダーバードのジェットモグラだと10日間ぐらいです。
その他にもいろいろな作品をつくっています。
―大野さんに依頼する際、料金はどのくらいですか。
戦車だと、1日3万円で、だいたい製作期間が5日間なので15万円~という形で決めさせて頂いています。上記の靴だと製作期間は1日でしたので、3万円になります。
―ダンボールの調達はどうしているんですか。
お仕事の時は、お店で買っています。自分で作る時はAmazonだったり、近所のスーパーでもらってきたりですね。
―作りやすいダンボールの種類ってあるんですか。
ダンボールの厚さは、1mm、3mm、5mmが多いです。私がオススメするのは3mmのダンボール。Amazonがだいたい3mmになります。1mmだと切りやすいのですが、弱かったりと工作に向きません。5mmは太すぎて切りづらい。なので3mmがいいと思います。
―作る時は設計図みたいなものは作るんですか
戦車はつくりませんね。はじめの頃はプラモデルを組み立てたりといった作業をしていましたが、今は資料を見るだけで作っています。戦車以外もざっとラフは書きますが、頭のなかで組み立てていくことがほとんどですね。
―今後はどういったこと活動をしていきたいですか。
現在はワークショップと作品制作を中心としていますが、今後は個展をひらきたいです。なので今はダンボールに集中して、いずれはダンボール&鉄、真鍮などにも挑戦していきたいですね。
>> 夏休みの自由研究にオススメの設計図を作っていただきました!
今回特別に大野先生に、夏休みの自由研究にオススメのダンボール車の設計図を作っていただき、それを編集部で画像にしました。
こちらの写真をA4用紙で出力して、編集部員の4年生の娘と一緒に作ってみました。それがこちら。
このクオリティの差……。でも4年生でも、ここまでの作品を1時間ほどで作ることができました。それをさらにダンボールでアレンジしたのがこちらです。
あっという間にパトカーの出来上がりです。作成した時の感想では、やはりAmazonのダンボールがやりやすかったです。大野先生のおっしゃったとおり、3mmのダンボールでの作業がオススメですよ。
そして大野先生がかっこ良く作るコツを教えていただきました。
・ガムテープは使わない!
・ボンドははみ出さない!
また、くれぐれもカッターでの作業は、手を切らないようお気をつけ下さいね。
夏休みも始まったばかり、子供とのコミュニケーションを取るいいチャンスと思って一緒にダンボール車を作ってみてはいかがでしょうか。
文/横田吉木
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