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ドン・キホーテは安売りなのに、なぜ「27期連続」増収増益なのか?

27期連続の増収増益を記録中と、まさに破竹の勢いが続くドン・キホーテ。向かうところ敵なしといった快進撃の要因はどこにあるのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、ドン・キホーテの「3つの戦略」を分析、そこから他社は何を学ぶべきなのかを詳述しています。

顧客満足では不十分 ドン・キホーテに学ぶ「顧客歓喜」

ドン・キホーテが元気だ。2016年6月期決算で27期連続の増収増益とのこと。

私の地元の名古屋の、中心地栄の、さらにど真ん中にも大規模店舗を構えている。この店は、錦という名古屋有数の飲食の町の入り口の角地に立っていて、夜もさながら、不夜城のごとく煌々と街全体を照らしているかのようだ。

中に入ってみると、今もインバウンド需要の恩恵を受けている感じで、アジア系の観光客も多いし、場所柄、高校生や、週末には家族で買いに来ている様子も見られる。

ドン・キホーテの「何を」~プロダクトの特徴

同じ小売の最大手、イオンが総合スーパー事業の不振によって苦戦している中、なぜ、ドン・キホーテは好調を維持しているのだろうか?

ドン・キホーテの「小売店」としての特徴は、お得感あふれる低価格戦略にある。それに加えて、豊富な商品ラインアップも見逃せない。天井近くまで高く積み上げられた商品に、埋もれそうになりながら買い物をする。後述するが、タワー陳列、というあだ名まで付いている。ここまでくると、単なる陳列の域を超えて、もはや一種のブランドだ。

実際に買い物にいくと、ショッピングカートを持って、楽しそうに選びながら買い物をしている人たちが大半だ。実際に、触れてみることができるので、商品の多さももちろんだが、そこに「選ぶ楽しさが加わっている。単なる買い物ではなく、まるでエンタテーメント・パークにいるようだ。

ドン・キホーテでは、モノを安く売っているだけでなく、「楽しさも提供している

ドン・キホーテの「誰に」~ターゲティング

社長インタビューによると、ファミリー層にターゲットをシフトさせているとのこと。メインターゲットを「節約志向」のファミリー客と位置付けることで、「円高・デフレ基調が戻った1年をチャンスに変えられた」とコメントしている通り、追い風にのっている。節約志向が強い、ファミリー層の潜在ニーズとマッチしたと言える。

ドン・キホーテの「どうやって」~コミュニケーション

ドン・キホーテの、販売促進の特徴の一つに、店内でのコミュニケーションがあげられる。まず思い出すのが「これでもか!」と高く積み上げられた商品。「タワー陳列」という通称まである。

また、手書きPOPもユニークである。たとえば、単なる商品名と価格の表記だけでなく、「うまみたっぷり ハンバーグ弁当」などと、一言そえられているので、買う側としても、ここにも選ぶ楽しさを見つけることができる。

しかし、陳列の専門家によっては、

「所せましと並べると、安く見えてしまう」
「お客様が欲しいものを探しにくい」

などとNGを出すであろう。しかし今となっては、この陳列やPOPがドン・キホーテの象徴といえるくらいまで、イメージとして浸透している。

中小企業はドン・キホーテに何を学ぶべきか?

単に安売りのチェーン店、というだけでなく、「何を、誰に、どうやって買ってもらうかという、売れる公式の一つ一つに、小さな工夫がちりばめられていることがわかる。

まず、売るモノは商品だけでなく「買う楽しさ」も合わせて売る。店頭でのコミュニケーションも、手書きでいいので、一言「おすすめ商品とその理由を添えてみる。カフェのメニューで言えば、「自慢のオムライスは3日煮込んだデミグラスソースが一番人気。でも、実は店長おすすめはトマトソース。あっさり目が好きな方に大好評」といった具合だ。

その商品を買った時に、「自分がどうなるのか?」を教えてあげると、お客様も、自分が使っている姿が想像できて、買う理由がはっきりし、買いやすくなる。

お客様がわかりやすいコミュニケーションを心がける。基本中の基本を思い出させてくれる、ドン・キホーテの快進撃なのだ。

 

理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋

著者/理央 周(めぐる)
あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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