子育て支援300億も、インドに援助は1兆円。納得できぬODAの真相

 

国民感情とのバランスとは?

ODAは先進国の義務ともいえるが、先に述べたように最近はODAの使い方が変質してきたという感じがする。ODAの大半は官邸が決めており、これまでほとんど内容が発表されることはなかった。近年、安倍首相が各国に行く際のお土産としてあげることを発表されるので、それが新聞等に出ることによって、ずいぶんODAに出資しているのだなと国民も思うようになった。

国民感情としては、日本は福祉予算が少ない上に、子育て予算、社会保障、若者支援も不足している割には海外にドンドンおカネを出していると。バランス感覚からいうと、ODAに対する支出が多いのではという声もある。しかしながら、世界全体からみた場合には、かつては1位の出資額が4位となり、GNI比ではかつての0.3%から0.19%しか支出していない。

説明責任を果たし、あり方を考える

金額だけ聞くと多いように思うが、先の事例の通りである。よって、国会でODAへ支出する理由とバランスを国民にもっと知らせる必要があるのではないだろうか。国会で説明しないと、ほぼ官邸のサジ加減で決まってしまうというのは金額が大きいだけに腑に落ちない点もある。

それは、一般会計からの支出の場合は全て国会の中で審議されるが、特別会計からの支出の場合は説明する必要がない。日本が世界に対してせっかく良いことをしている場合であっても、国民は何となく不満を持つ。そのあたりをきちんと説明し、考える必要があると思う。

子育て支援のある対策が300億円程度しか支援されていない中で、インドへの支出が1兆円超えていると思うと比率が問題かなとも思う。保育所を作る初期費用は数千万円から1億円であるともいわれることから、そのおカネがあればいったいいくつ作れるのかという声が出てしまうのは非常に理解できる。そういう意味では、いまのODAのあり方をこのタイミングで考えてみてもいいのかなと思う。

(TBSラジオ「日本全国8時です」10月25日音源の要約です)

image by: 首相官邸

 

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