トランプは、オバマのシリア政策にあきれている
トランプが一貫して主張しているのは、「プーチンと協力してISを潰そう!」ということ。なぜ?
シリア情勢について、簡単に触れておきましょう。2011年にシリア内戦が始まった。現大統領の「アサド派」。反大統領の「反アサド派」。当時、「イスラム国」(IS)は、「反アサド派」に属していた。
ところが、皆さんご存知のように、ISは2014年から急速に勢力を拡大していった。彼らは、欧米が支援する「反アサド派」から独立して「別勢力」になった。そして、外国人を捕まえては、公開処刑の様子をユーチューブで流し始めた。
その残虐さに欧米世論が沸騰し、オバマは2014年8月、IS空爆を開始します。しかし、オバマのIS空爆は、「やる気がない」。なぜ?? オバマにとってISは、二つの要素がある。つまり、
- 欧米でテロを起こす、悪の存在
- アサド政権と戦う、アメリカにとって都合のいい存在
ISは、確かに欧米でテロを起こすが、その一方で、アサド政権と戦ってくれている。この二面性ゆえに、オバマのIS空爆は、「やってるフリ」。実際、ISの主要資金源である石油インフラへの空爆は、全然やっていなかったのです。
こういう状況を見て、トランプさんは、「バカじゃないのか?!」と怒っている。トランプさんの考えはこうなのです。
- ISは、アメリカでテロをする、最悪の存在
- アサドも悪だが、アサド政権が存続しても別にアメリカは困らない
皆さんどうです? 私は、「まさに正論じゃないか?」と思います。
そして、「アサド政権は存続してもいいから、世界の敵ISを潰せ!」というのは、プーチンの考えと同じなのです。というのは、アサドは「親ロシア」で、シリアにはロシア海軍基地もある。
ちなみにロシアは2015年9月から、「反アサド派」「IS」への空爆を実施しています。プーチンの目標は、「親ロシア・アサド政権を守ること」ですから、迷いも二面性もありません。オバマと違って、じゃんじゃん石油インフラを空爆し、ISに壊滅的打撃を与えた。トランプは、この様子を見て、「偉いぞ、プーチン!」と褒めている。
トランプさんは経営者。だからお金の計算をします。プーチンは、アメリカでテロを起こすISを叩いてくれている。トランプから見ると、プーチンは、「無料」でアメリカの敵を潰してくれている。経営者の彼にとっては、こんな嬉しいことはないのです。