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白バイ警官が明かす、速度違反でも検挙できない「オービスの死角」

メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者・吉田武さんが、現職の交通機動隊員Sさんに生の声を聞く人気シリーズ。今回は、高速道路に設置されている自動速度取締機、通称「オービス」について語られているのですが…。そこで判明したのは、なんと写真を撮られても捕まらないで済むという「抜け道」が多数存在しているという衝撃の事実でした。

白バイ隊員が明かす「オービスの限界」

Sさん「速度自動測定器で写真撮られて証拠を警察側が有していても速度違反で出頭通知を出すケースって実は少ない。まず、ナンバープレートと運転手の顔がブレずにしっかり写真に収まっていないと除外されてしまう。俺自身、オービスでの検挙に関しては担当したことないのだが、自動で速度違反者を撮影した写真は見たことある」

吉田「やっぱり、ブレブレの写真が多いんじゃないですか? どう考えてもナンバープレートみたいな小さくて数字が表記されているものに対し、且つスピード出している状態でちゃんとフォーカス合わせて撮影なんてできないと思うんですよね。しかも自動撮影なわけだし」

Sさん「ズバリそうなんだよ。ナンバープレートと運転手の顔、両方がしっかりブレずに写されるケースは中々ない。どちらかが確認できる状態で写されることは多いけど、両方が1枚の写真にハッキリと写ることは難しいんだな」

吉田「ということは、僕が高速道路を150kmで走っていてオービスに写真撮られても無事だったのは……速度も速かったからカメラでの撮影が追い付かなかったってことも考えられるんですよね?」

Sさん「吉田のケースは150kmは間違いなく出ていたってことだから、まず写真に収めるのは至難の技だな。一番撮影されて検挙しやすい速度っていうのは高速道路だと130kmから150km以下。これぐらいの速度であれば今のオービスの技術を遣えばナンバープレートも顔もブレずに撮れるはず」

吉田「あ、オービスだ! と気づいて慌てる形で速度を落としちゃうとハッキリ写されるってこと……でもあるんですよね? Sさん的には首を縦に振るのは微妙な立場でしょうけど(笑)」

Sさん「オービスを設置する際は一応常設した公開取締捜査って形になるので「自動速度取締器設置路線」と警告板を出さなくてはいけないんだよ。実はこれが罠でな、かなりスピードを出している運転手がこの警告板を目撃すると、大抵速度を落とすわけ。しかし、速度を落としたところでオービスのカメラからの撮影は自動なので勝手に撮影するんだけど、丁度いいぐらいの撮影しやすい速度へ落としてくれることからナンバープレートも運転手の顔もバッチリと撮影できてしまうんだな」

吉田「警告板でけん制したのちに速度を落としたらアウトっていうのは迂闊すぎます(苦笑)」

Sさん「俺の口からアドバイスするのはおかしいんだが、オービスの写真を精査担当だった同僚から聞いた話なんだけどな、運転手はマスク姿だと顔認識が難しいってことで撮影済の写真から除外していたんだって。管轄によっては様々なんだろうけど、サングラスつけていて目が隠されているだけでも除外する時もあると」

吉田「マスクとサングラス装着で怪しいルックであれば出頭通知がほぼ来ないってことなんでしょうか? 花粉症到来の季節は検挙数激減じゃないですか(笑)」

Sさん「つまりそうなんだ……けどな。さっき言ったように警告板見て速度を落として油断する運転手や、トラックの影で警告板を見落として速度上げている運転手に対してはガンガン撮影しているので、ぶっちゃけ数撃てば当たる方式なのが速度自動取締なやり方でもあるんだよ」

吉田「結果的に分かったことがオービスが設置されていることに気づいた場合、写真をブレさせるため、速度は下げるよりも上げたほうがいいってことが理解できました」

Sさん「オイオイ、俺そんなこと言ってねーだろよ(苦笑)」

吉田「遠まわしで言ってましたよ(笑)」

Sさん「まぁクルマを運転する時はマスク着用していれば、ある程度オービスの撮影から逃れられるってことは間違いないが……」

吉田「そういえばオービスで撮影された時に、ピカっと光る理由ってなんなんですか?」

Sさん「あれはフラッシュとか赤外線で暗闇も関係なく撮影するためとか言われているけど、運転手にオービスで撮影したからなっていう警告なんだよ。つまりな、お前は速度違反してカメラで撮影されたのでじきに出頭通知が来るぞってけん制でもある」

吉田「へー! 知りませんでした。『北斗の拳』で秘孔を突かれて死ぬのを待つカウントダウンをされているみたいで、運転手にとってはソワソワさせられるだけだしイジワルですねぇ~」

Sさん「でも効果があるんだよ。撮影した証拠としてピカって光らせ通告する形になっているけど、オービスに撮られたって反省してその後速度を上げることもなくおとなしくなるケースが多いんでイジワルとかではなく、けん制になっているから効果てきめんってヤツだな」

吉田「なるほど。確かにピカって光らせれば速度上げ過ぎていたもんなぁって認識もするし、反省もしますしね。高校時代、先輩がバイクでピカピカさせにいこうぜって言って、高速道路で速度オーバーをわざとやって、オービスに向かってピースサインしたりとか頭のおかしなパフォーマンスしていたことを思い出しました」

Sさん「バイクはオービスで撮影してもフルフェイスのヘルメット被っていたり、ナンバープレートが後ろに設置されているので、正面から撮影するオービスでは対処しきれないから、撮った写真は全部破棄しているって同僚が嘆いていたことを俺も思い出したよ(笑)」

吉田「やっぱりバイクってオービス泣かせなんですかね?」

Sさん「うん。バイクだけは無理だ」

吉田「後ろから撮影可能なオービスも一部では使われているエリアもあるって別の警官から伺ったことがありますが?」

Sさん「あれは全く効果なし

吉田「クルマでもバイクでも……ですか?」

Sさん「まずさ、運転手の顔が撮影できない段階で失敗なんだよな。だけど、正面から撮影も同時に行なっているので、前後から2枚撮ることで、ブレずにナンバープレートを撮影できる可能性が高まり、その認識率があがれば検挙できるチャンスが増える。が、実際余計な予算だけ費やす形になっているので、現在はよその管轄も見送っているんじゃないかな」

吉田「余計に税金使われるのもイヤなので、オービスを前後撮影用で2台設置とか馬鹿げてますから、ちょっと安心しました!」

 

メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法

著者/吉田武
自称・交通ジャーナリストの肩書で有料メルマガへこの度参戦させて頂くことになりました。運転者への有益情報や会員の方々から募った質問を代表して警察へ聞きに行ったり等、お得なネタ盛り沢山!
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