中国が日本の「港」を爆買い。豪華クルーズ船は「宝船」になるか?

 

現在、中国を中心とした東アジアから九州を訪れるクルーズ旅行が過熱しています。2015年では博多港と長崎港が前年首位の横浜港を寄港回数で上回りました。東アジア経済の急成長により、東アジア発のクルーズ旅行が活発化しています。九州は東アジアからのアクセスの面で優位性があるため、他の地域と比べてクルーズ船の寄港が大きく増加しています。

日本の観光産業では中国人による「爆買い」が注目されています。観光庁によると、2015年の訪日外国人1人当たりの旅行支出は、全体では約17.6万円ですが中国籍では約28.4万円にもなります。中国籍が他を圧倒している状況です。

クルーズ旅行でも中国人による爆買いは健在のようです。中国のクルーズ旅行は、2005年にイタリアのコスタ・クルーズ社が参入したことで脚光を浴びるようになりました。その後、外資系のクルーズ会社が続々と参入していきました。それに合わせて、中国発のクルーズ船が日本の港に大挙して押し寄せるようになりました。

2,000~4,000人程度を乗せるクルーズ船が博多港を中心に寄港します。その後、乗客は福岡の中心街に移動し、総合免税店「ラオックス」や衣料品店「無印良品」、ドラッグストア「マツモトキヨシ」といった店で買い物をします。1人当たり数万円数十万円といった規模で爆買いをします。

現状の中国人によるクルーズ旅行は、観光というよりも買い物の要素が強いようです。経済の波及範囲は限定的で、観光資源が十分に生かせていない状況です。ツアーに組み込まれていない観光地は恩恵を受けていません。弾丸ツアーの様相を呈しているため、飲食需要も限定的です。宿泊は船上で済ませるため、宿泊需要も見込めない状況です。

今後は日本の観光スポットのアピールの強化が欠かせないでしょう。日本には誇るべき観光資源がたくさんあります。また、日本は海洋国家のためクルーズ旅行に適している国といえます。例えば、日本の世界遺産はクルーズ船でも訪れることができる所に数多くあります。知床は網走港、富士山は清水港、日光は茨城港、京都は舞鶴港、原爆ドームは広島港といったように、寄港地からのアクセスが容易な世界遺産が数多く存在します。もちろん、世界遺産以外の観光地も豊富です。クルーズ旅行の潜在的な需要は大きいといえるでしょう。

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