多少の軽口をたたいても、カッコイイ男だと笑って許されて、相手の女の子も心なしか嬉しそう。そんな場面を目の当たりにして「世の中って不公平だな~」なんて思ったことはありませんか? では、そんな人生で得をしている男性がセクハラをしたらどうなるのでしょう。相手が嫌がっていなければ許されるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、実際にあったそんなセクハラ裁判の判例が紹介されています。
セクハラしても「相手が嫌がっていなかった」ら、懲戒処分にならないのか
いきなり「バカ」と言われたらみなさんはどう感じるでしょうか。おそらく、「なんだとっ!!」と、怒り出すひとがほとんどでしょう。
ではこれが、女性から男性に向けて「バカじゃないの」であればどうでしょうか。もしかしたらまんざらでもないと感じる人もいるのではないでしょうか(私も結構、嫌いではありません)。
このように同じ言葉でも「誰が」「どういうシチュエーションで」言うかによってそのニュアンスがかなり違ってきます。また、行動にしてもそうです。恋愛においては「好きだからこそ冷たい態度をとってしまう」という人もいるかも知れません。
ただこれは客観的には判断が難しい場合もあります。例えば、親しみをこめて「バカじゃないの」と言ったつもりが「なんだとっ!」と相手を怒らせてしまうこともあるでしょうし、好きの裏返しで冷たい態度をとっていたら「嫌われているのかも」と相手を落ち込ませてしまうこともあるでしょう。
では、これがセクハラではどうでしょうか。それについて裁判があります。
ある施設運営会社で管理職の社員数名がセクハラを理由に出勤停止や降格の懲戒処分を受けました。その社員が「納得がいかない!」として会社を訴えたのです。そのときにその社員が主張したことの一つが「相手が嫌がっていなかった」というものでした。
では、この裁判はどうなったか?
実は、最初の裁判では「相手が嫌がっていなかった」として、この懲戒処分は「無効」(つまり社員の勝ち)と判断されました。それに納得できなかった会社がさらに裁判を続けました。
では最終的にその部分がどう判断されたか?
裁判所の最終判断は次のようになりました。
「もし、嫌がっていなかったとしてもそれは会社での人間関係が悪くなることを心配しての行動とも考えられる」として、「それがセクハラに当たらないとは言えない」と判断したのです(つまり「それはセクハラですよ」ということですね)。
いかがでしょうか?
実務的にはセクハラ問題でその本人(加害者)と面談をすると「(相手が)嫌がっていなかった」「同意の上だった」と言われるのはよくあることです。
ただ、ここで重要なのは「客観的にみて、その行為がセクハラかどうか」です。仮にもし相手がその行為を「嫌がっていなかった(ように見えた)」としてもそれを行って良い理由にはなりません。
さて、みなさんの会社ではセクハラ防止に向けてどのように取り組んでいるでしょうか。実際に問題がおきてからでは加害者側(と思われる)の社員も必死に言い訳や言い逃れを考えるためお互いの言い分が食い違い解決するのに時間がかかるかもしくは解決にいたらないこともあります。
単に「あれはダメ、この言い方はダメ」だけでなく社員の意識を根本的に変える必要があるかも知れませんね。