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蟻の穴から堤も崩れる。「まっ、いっか」が招く企業の悲惨な未来

雪印、ミートホープ、吉兆が起こした不祥事をご記憶の方も多いかと思います。無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんは、かつてコンサルティングしていた会社を例に、ビジネスにおける「まっいっか精神」の恐ろしさについて言及、先に挙げた3社も、ちょっとした気の緩みが原因となり信頼を失うに至ったと分析しています。

「まっいっか」は本当に怖い

以前、コンサルティングさせて頂いた会社にファッション雑貨を販売提供している会社がありました。その会社は主に通販やイベント会場などに商品を出品し収益を上げていました。

会社の規模は大きくなくとも地域に密着したビジネスを展開していて、多くの顧客や取引先に恵まれていて毎月1回、ニュースレターを発行するなど顧客や取引先へ情報提供も欠かさずに行っていました。

ですが「抜けてる感」があったのです。

それはなにかというと、商品カタログやリーフレットなどの販促物が雑でずさんだったということ。自社で販促物の制作は全て行っているとのことでしたが、誤字脱字が所々にあったり、ひどい場合は、商品の価格に「0」が1つ多く掲載されていて桁が違っていたり…と、なにせ適当だったのです。

社長にそのことを突っ込むと、「あれ? ほんとだ。間違ってますね」とまるで他人事。

「いやいや、『間違ってますね』じゃないですよ。チェックは誰がいつどういう状況で行っているんですか?」と、すかさず突っ込むと、「いやぁ、最終確認は私がやってるんですけどね。参りましたな~」と頭をかいて苦笑いしていました。

「社長、とにかくこの販促物全て破棄して1からやり直しましょう。そして、制作にあたっては、自社でやろうが業者に任せようが構いませんが、チェック機能は最低でも制作者以外の2人が出来る体制にしてください」

「えっ、全部、捨てるんですか? まだこんなに残ってるんですよ。多少の誤字は気がついても許してくれるでしょう。チェックはこれからもっと厳しくしますから」と印刷された、たくさんの販促物の束を持って私に見せました。

こういう意識でいることが、いかに恐ろしいことかが社長はまるで分かっていません。

「分かりました。いいですよ、そのままお客様に配布しても。その代わり、ちょっとした綻びから信頼はどんどん落ちていきますよ。ちょっとくらい大丈夫、の意識が芽生えだすと、販促物だけではすまなくなりますよ

「どういうことですか?」

「たとえば、商品にほんの少し傷があったとして、お客様から返品があったとします。その時、社長はそのお客様に向かって『ちょっとの傷くらい問題ありませんよ』て言って、返品を拒否をし、そのまま販売するのと同じです。実際、そんなことしませんよね。でも、今の意識はそれと同じことなんですよ。もっと云うと、社長がちょっとくらいならって意識でいることはスタッフも肌で感じ取るんです。『社長もあー言ってるんだから、ちょっとのことくらいいっか』って。そして、自分に都合の悪いことが起きれば平気で隠したり、クレームを簡単に処理したり、あるいは、手抜きを覚えたり、というような様々な悪い空気が蔓延してきますよ。そうなると、どんなことになるか分かるはずです。確かにちょっとのことくらいだったら、お客様も取引先も見逃してくれたり、許してくれたりするかも知れません。でも、そこに甘えていたら、信頼なんてものは簡単に崩壊していきますよ」

「確かに。お客様あっての商売ビジネスですもんね。甘かったです」

その後、販促物は、数時間かけてシュレッダーに。そして、会社が伸び悩んでいる根源は、こうした意識の甘さにあると社長は改めて認識し、社内ルールに「ちょっとくらいは禁句」という項目が加わりました。

この会社のように

ちょっとくらい、まっいっか
これくらいのことなら…

というようなこと、日々の中でいくつもあるかもしれません。ですが、そうした瞬間にどう向き合い取り組むかで、手抜きを覚え成長を阻んだり、サービスの質や商品の質をどんどんと悪化させていくか否かが、決まります。

手抜きを覚えたり、都合の悪いことを隠したりする社員が1人2人と増え、社内に蔓延すると、1人の「ちょっとのこと」がたくさん積もりに積もってそのうち、「ちょっとのこと」では済まされない事態になったり、取り返しのつかないことになるのです。1人の「ちょっとくらいなら」という意識がやがては大きな失敗や事故につながることだってあるのです。かつての雪印乳業やミートホープ吉兆などの事件がいい例です。

御社では「ちょっとくらいなら、まっ、いっか」というような意識をなくすためにどんな工夫ができますか? またどんな取り組みを徹底すればよいと思いますか?

■今日のまとめ

『ちょっとのことくらいならいいか。を根絶させる。』

  • 目の前のことに妥協することなく常に取り組めているか?「ちょっとのことくらいなら」という意識を排除するために出来ることや工夫をみんなで話し合ってみる。
  • 話し合ったことをまとめ、実践する。
 
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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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