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取引先が偏った政治の意見を求めてきたらどうする? 弁護士が伝授

雑談は相手との距離を縮めるために欠かせない大切なツールですが、一つ間違うと距離が縮まらないばかりか、相手に不快な印象を与えてしまい、その後の関係まで悪くしてしまう危険すらあります。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者で現役弁護士の谷原誠さんが、「相手を絶対に不快にさせない雑談の掟」を伝授。どうしても同意できない「政治的話題」を振られた時の対処法も記されています。

イエスマンが行く

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

雑談は楽しく、和やかに、スムーズに展開させることこそが命です。そのために避けなければならないことの一つに、相手の言葉にノーを突き付けることがあります。

会議や交渉では、意見や利害の対立がありますので、「ノー」を言わなくてはならない場面が必ずと言って良いほど訪れます。しかし、雑談の基本はあくまで肯定。「イエス」「イエス」「イエス」で展開していくものです。

「それは、違います」
「あなたは間違ってます」

などと言おうものなら、即座に相手は機嫌を悪くし、あなたの前からいなくなってしまいます。雑談では、

「そうですよね」
「それ、すごくわかります」
「全く同感です」

など、共感しながら進めていくものです。

ノーを言われると相手から拒絶されていると感じます。それまで気持ちよく話していた人も、自尊心を傷つけられ、会話の流れは遮断されてしまいます。結果、相手との距離を縮めるという雑談の目的は達せられなくなります。

雑談は共感のコミュニケーションであり、意見の対立は不必要です。話題によってはノーを言いたくなることもあるでしょうが、その気持ちは抑えなくてはなりません。

とはいえ、どうしても肯定しにくいことを言われることもたまにあります。たとえば、雑談の相手が、政治的な意見を表明しはじめた時。「○○法に反対だ」とか「○○党はけしからん」といった話をされた場合です。

雑談では、基本的に政治的な話はタブーと言われています。異なる意見の時に、「相手との距離を縮める」という雑談の目的を達成できなくなってしまうためです。自分からは、こういった話題を持ち出すことは避けなくてはなりません。

しかし、雑談で自らの政治的信条を持ち出してくる人は意外に多く、対処の仕方だけは考えておく必要があります。その話題がすぐに終わりそうなときや、相手の意見について特に反対でも賛成でもない場合、「なるほど」など、簡単に相槌を打っておけばよいでしょう。

しかし、非常に困るのが、自分にとって全く相いれない主張が続く場合です。いくら肯定を旨とする雑談であっても、同意するのに抵抗があるのは理解できます。しかし、やはりノーを突き付けない方がよいでしょう。政治的な話題は特に感情的対立になりやすく、否定的な言葉を投げかければ、雑談の目的と反する結果が生じる危険は大。基本は「イエス」「イエス」「イエス」です。

ここで提案したいのが、イエスを言いながら相手に同意をしなくて済む方法です。

相手が政治的な主張をしてきた際に

「なるほど。中には○○という反対する人もいますが、どう思われますか?」
「ところで、お聞きして思ったんですが、こういった場合はどうなんでしょう?」

と、自分の意見としてではなく異なる見解を質問として投げかけます

気を付けたいのは、相手の言葉に対し「でも」「しかし」といった逆説の言葉は使わないことです。あくまでもイエスをテコに、質問をして、話を展開させていきます。

質問をされると、相手は答えようとします。あとは、相手の答えに耳を傾けます。政治ネタで話すことがなくなれば、自然にほかの話題に移行していきます。

雑談では、こういった難しい問題が起こりがちですが、否定をしてはならないのはもちろん、露骨に表情を曇らせたりしないことも大切です。多少の慣れは必要でしょうが、慌てずに対処すれば、スムーズに話を展開できるでしょう。

「ただの否定からは、何も生まれない」(ゲーテ)

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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