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春めく古都をぶらりと散策。京都通が案内する八坂通りの歩き方

長い冬も終わりを告げ、いよいよ行楽シーズンの到来です。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、春の京都を訪れるのなら是非足を運んでいただきたい、「八坂通り」が紹介されています。有名な寺社仏閣の歴史や見どころから予約必須の人気イタリアン店まで、京都ツウの著者・英学さんが自信をもっておすすめするスポットばかりですよ。

八坂通りを散策

八坂通りと聞いてピンとくれば京都ツウかもしれません。この通りは大和大路通りを西の端として東端は「八坂の塔」で有名な法観寺まで続く数百メートルの道です。建仁寺や六道珍皇寺の裏手を通る道で法観寺に続く表参道です。

八坂の塔の近くは路面が石畳となっており、京都らしい風情が感じられる観光スポットです。穏やかな坂道になっていて八坂の塔に近づくにつれて上り坂になっています。周囲には風情ある町家が立ち並んでいて、テレビなどでよく紹介される人気の場所です。

歴史

元々この辺りは平安時代から法観寺の境内で、参拝客相手の茶屋などが立ち並んでいたそうです。江戸時代初期ごろになると法観寺は徐々に衰退してしまいます。そのため幕府は次第に街の整備をし始めます。

八坂の塔周辺は祇園と同じように女性が歌舞音曲で男性を楽しませる花街に変貌しました。今はひっそりとした落ち着いた通りですが、戦前までは洛東有数の歓楽街だったようです。

その後、八坂通りとして整備されたのは大正時代なので、少なくとも100年ぐらい前に今の景観がほぼ整えられたことになります。昭和の後期になると、八坂通り周辺はさらに景観整備が進み、男性相手のお店はほとんど姿を消しました。現在は八坂通りを含む周辺一帯が祇園町南歴史的景観保全修景地区に指定されています。

周辺の観光スポット

八坂通りに立って東側を見ると、すぐ目の前に八坂の塔が目に飛び込んできます。立ち並ぶ町家や古い建物越しに見る五重塔は、まさに京都ならではの風景です。八坂通りはほんの数百メートルしかありませんが、場所によっては五重塔の見え方も違います。色々な角度から写真を撮っている人も少なくありません。

毎年この時期、3月上旬は「東山花灯路」が行われます。ライトアップイベントと言ってしまえばそれまでですが、京都の風情をより印象的に感じることが出来るイベントです。ねねの道、石塀小路、下河原通り、八坂通りなどに沿って行灯(あんどん)が置かれています。八坂の塔などもライトアップされているので特に幻想的な風景が楽しめることと思います。

東山花灯路ホームページ

多くの方がご存知のとおり、二年坂、三寧坂、ねねの道には、お土産屋さんや京都らしいお店が沢山並んでいます。

八坂通りを東に進み、法観寺の方へ向かう途中を左(北側)に曲がるとねねの道です。ねねの道は八坂神社方面へと通じているので、観光がてらの散策には最適です。八坂通りに立ち寄った際には少し足を延ばしてこの辺りで買い物を楽しんでみるのはいかがでしょうか?

周辺の見どころ

八坂通り周辺には有名な寺社仏閣も点在しています。

建仁寺

京都最古の禅寺で臨済宗大本山・建仁寺には是非足を運んでみて下さい。臨済宗の開祖・栄西(ようさい)禅師によって鎌倉時代に開山されました。栄西は日本に初めて中国からお茶を持ち込んで広めた人でもあります。「喫茶養生記(きっさようじょうき)」は栄西の有名な著作で当時は医学書扱いされていたと伝わっています。

実際に拝観出来るものとしては、俵屋宗達筆の「風神雷神図屏風」や小泉淳作筆の双龍図など数多くの寺宝があります。また、大雄園(だいゆうえん)をはじめとする3つの庭園も見事です。境内もかなり広いので、ゆったりと落ち着いた雰囲気を満喫することが出来るでしょう。

六道珍皇寺

六道珍皇寺は小野篁(たかむら)の冥界伝説が残る寺院です。小野篁は平安時代の貴族で、昼は内裏(天皇の住居)で公務に就き、夜は冥界閻魔大王に仕えていたと言われています。

境内には小野篁が冥府への出入り口として使っていたとされる井戸や閻魔大王像などがあります。お盆の時期は先祖を迎える六道参りや、迎え鐘などで有名です。

八坂庚申(こうしん)堂

金剛寺(八坂庚申堂)は、日本最古の庚申堂として有名な寺院です。庚申とは、年に6日ある庚申(かのえさる)の日のことです。

古代中国では、この日の夜に人間の身体から三尸(さんし)という虫が体内から出ると考えられていました。この虫は、神様の元に行って人間の悪行を報告してしまうと言われていました。そして、この報告に基づいて神様はそれぞれの人の寿命を決めると信じられていたのです。そのようなことで寿命が短くなってしまっては困ると当時の人々は考えました。そして、庚申の日は三尸が体外へ出て行かないように一晩中起きていて、色々な行事をするという風習が生まれたのです。これが庚申信仰です。

中国で生まれたこの信仰は、平安時代初期に日本へ伝わったそうです。庚申堂は、みんなで徹夜をして一晩中色々な行事を行う場所だったのです。八坂庚申堂の本尊は青面金剛(せいめんこんごう)で、身体から出てきた三尸を食べてくれるそうです。

寺院の境内に沢山奉納されているカラフルなお守りは「くくり猿」と言います。猿は欲望の象徴に見立てられていて、思いのままに行動しないようにと手足がくくられています。戒めを込めて奉納されるお守りの一種です。年に6回ある庚申の日に訪れてみるのも貴重な経験となるでしょう。

くくり猿の写真は下のブログ記事に載せています。↓

八坂庚申堂
虫の告げ口で寿命が縮む?今年の干支、申にまつわる言い伝え

法観寺

法観寺は八坂の塔を境内に持つ寺院です。八坂の塔ばかりが有名で、このお寺の名前を知らない方も少なくないのではないでしょうか。しかし、法観寺はとても由緒ある寺院なのです。歴史は大変古く、ナント聖徳太子が創建したと伝えられているのです。

付近一帯に広大な境内を持つ大寺院だったようですが、時代と共に衰退してしまいました。現在は本堂と五重塔(八坂の塔)、薬師堂などの建物のみとなってしまいました。ちなみに現在の五重塔は室町幕府6代将軍・足利義教(よしのり)が建てたものと伝わっています。

法観寺 八坂の塔

このすぐ近くには、イル・ギオットーネという素敵なイタリアンレストランがあるので是非一度行ってみて下さい。京都で有名なイタリアンのお店なので予約していった方がよさそうですね。

イル・ギオットーネ

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

 
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毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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