元モヒカン頭で仕事嫌いの青年が、たった20円で世界を笑顔にする

 

肥満大国の子どもにヘルシーな給食を

TABLE FOR TWOは世界一の経済大国、アメリカでも給食の支援を行っている。アメリカで深刻になっているのが肥満の問題。実に成人の3分の1以上が肥満に当たる。子どもも例外ではない。その一因は貧困にある。

ニューヨーク郊外の低所得者層が暮らす集合住宅。ワンダ・ロバーソンさん(51)はシングルマザー。持病があって働くことができず、国からの給付金で育ち盛りの息子2人を育てている。日ごろの食事のほとんどは冷凍食品。経済的な余裕がなく、栄養が偏っても、安い冷凍食品に頼るしかないという。アメリカでは貧富の格差とともに、子どもの肥満という問題も膨らんでいる。

ニューヨークのハーレム地区。貧しいエリアにある公立小学校で、TABLE FOR TWOが支援に動き、肥満を呼ぶ給食の改革に取り組んでいる。アメリカの貧しい地域にある学校給食は全額、税金で賄われている。コストを抑えているため、栄養バランスは二の次というのが現実だ。しかしここではTABLE FOR TWOの支援によって、添加物を使わないなど、厳しい基準を持つ給食会社に切り替えることができた。

ある日のメニューでは、餃子には低カロリー、高タンパクの鶏肉が使われ、さらにサラダも。これでビタミンもしっかり摂れる。給食をヘルシーに変えるのにかかる費用は一食25セント。アメリカで使うお金はアメリカの企業から集めた寄付金だ。

「給食がヘルシーなものに変わってから、生徒たちは以前より授業に集中できるようになりました」(グレート・ガリーン校長)

アメリカ常駐スタッフのTABLE FOR TWO USA代表、上島カー真弓が向かった先は「ホールフーズマーケット」。全米でおよそ400店舗を展開する健康志向の食品スーパーだ。

上島が見に来たのは「ゲンジ」という大手寿司チェーンと共同開発した「ハッピー弁当」。ラベルにはTABLE FOR TWOのロゴが。この商品の代金12.49ドル(約1400円)から、25セントがアメリカの学校給食に回る。中身は、枝豆入りのおいなりさんとトロ・サーモン。酢飯は玄米で、ミネラル豊富なスーパーフード、キヌアも入っている。

「アメリカでは社員食堂より、お店やレストラン、食品企業で導入するほうがマッチしています。まだ支援を必要とする子どもは世の中にたくさんいるので、拡大していく必要があると思っています」(上島)

試食したニューヨーカーの反応も上々。この弁当プロジェクトを足掛かりに、アメリカでの給食支援をまだまだ広げるつもりだ。

~村上龍の編集後記~

小暮さんの著書に「学生時代はピアス&モヒカンだった」とあった。

元モヒカンの青年が、人工心臓研究、マッキンゼーを経て、社会事業、いい感じだなと思った。

社会に貢献したい世界をより良く変えたいという若者が増えている

その活動は、できれば、利益を生むビジネスであるべきだ。

テーブル・フォー・ツーは、「飢餓と飽食、双方の解決」という経済合理性に支えられている。そのポリシーが浸透すれば、事業規模は拡大する。

年間取扱高100億円を目指して欲しい、そう言うと、「型にはめられるのが大嫌いな青年は笑顔でうなずいた

<出演者略歴>

小暮真久(こぐれ・まさひさ)1972年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。1999年、マッキンゼー東京支社入社。2005年、松竹入社。2007年、TABLE FOR TWO International創設。

source:テレビ東京「カンブリア宮殿」

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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